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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第9章 文化祭編
124/172

番外編 第7話 甘々バレンタイン!?

バレンタイン特別小説です。


天音と千歳のイチャイチャしているだけかもしれませんがwww

一年に一度、日本中の乙女達にとっての聖戦がある。

諸説あるがそれは日本のお菓子会社が広めたイベントであり、女の子にとって自分の恋が実るかどうかの大切な一日になってしまった。

その日こそ2月14日、世間で言う『バレンタインデー』である。

「と言う訳だから、天音。明日のバレンタインデーで簡単にチョコレートを受け取っちゃダメだよ!」

「どう言う訳だよ……」

自室で休んでいた俺に服からチョコレートの香りを漂わせている千歳から注意をするように重ね重ね言われた。

「だって、明日になれば天音のファンクラブを初めとする行為を寄せる人たち(多分男女関係なし)が愛を込めたチョコレートを渡すのは火を見るよりも明らかだよ!」

「あのね……いくらなんでもそうホイホイとチョコレートが貰える訳無いだろ?」

「甘い!今の天音の考えはミルクチョコレートより断然甘いわよ!」

千歳はビシッと俺に指を指して声を張り上げる。

「天音がチョコレートを貰っていいのは私や風音ちゃんぐらいに親しい人だけ!それ以外からは貰っちゃダメ!じゃないと明日には恐ろしいチョコレート地獄に合うわよ!!」

「はいはい、分かったよ」

ベッドから起き上がり、体を伸ばしながら扉の前に立つ。

「あれ?何処に行くの?」

「俺も明日のために用意するのがあるから準備しに行くよ」

境界輪廻を指の中で回しながら扉を開き、そのままアリス先生の地下室に向かった。

地下室に入ると、白蓮と黒蓮がたくさん並べられているチョコレートを初めとした沢山の材料を目の前によだれを垂らして見つめていた。

『ピィー……』

『『『がぅ……』』』

全く、本当に二人とも本当に甘いものが好きなんだから……。

「白蓮、黒蓮。チョコレートお菓子は明日には山のようにたくさん食べられるんだから今日は我慢してな」

『ピィ、ピィッ!』

「食べられないならお菓子作りを手伝う?オッケー、それじゃあ白蓮。擬人化して手伝ってくれる?」

『ピィー……うん!分かった!』

白蓮は擬人化して可愛らしい小さな白髪の子供の姿になる。

『『『がぅ……ばう!!』』』

擬人化した白蓮を見て何かを思った黒蓮は何処かに走り出した。

俺と白蓮は何だ?と思いながら下準備をしておいたお菓子の材料を冷蔵庫から出してお菓子を作り始める。

作り始めてから数分が経過すると……。

「天音の兄貴〜!」

「えっ?」

聞きなれない声が響いて後ろを振り向くとそこにいたのは黒髪の少年だった。

何処か俺に似た感じの顔をしていたが、すぐにその少年が誰なのか理解出来た。

「黒蓮……?お前なのか?」

「うん!アリスに頼んで擬人化魔法をかけてもらった!」

なるほど、アリス先生に頼んでその姿になったのか。

「それじゃあ、一緒にお菓子作りを手伝ってくれるか?」

「もちろん!手伝うよ、兄貴!」

兄貴か……風音はいつも俺の事をお兄ちゃんと呼んで、俺は璃音兄さんを兄さんと呼ぶから兄貴と呼ばれるのは何か新鮮だった。

そして俺達三人は仲良くお菓子作りをするのだった。



翌日の2月14日、遂にその日……バレンタインが来た。

そのバレンタインデー故なのかどうか分からないけど、この日に限って男子と女子は朝からソワソワしていた。

そして、千歳は何かを警戒するように俺にくっついている。

呆れながら学校に向かい、靴を履き替えるために靴箱を開けた瞬間。

ボトボトボト!!

「えっ?」

靴箱からラッピングされた大量の箱が落ちている。

それは紛れもなくバレンタインのチョコレートだった。

靴箱に入っていたのだけでも十個以上はあった。

「くっ!?まさか靴箱に入れる古典的な方法で渡すなんて!」

「うーん……とりあえずしまっておくか」

靴箱から零れ落ちたチョコレートを全て顕現陣の中にしまった。

大量の荷物がある時に顕現陣は特に役に立つ。

そして教室に戻ると目が眩むような光景があった。

「何だコレ……」

俺の机の中には靴箱と同じようにチョコレートが詰め込まれ、机の上にはチョコが山のようにたくさん積まれていた。

「おのれぇ……恋する乙女達め……どれだけ古典的な方法でチョコを置くのよ!?」

「とりあえず、これも入れるか……」

このままじゃ授業を受けられないからこの大量のチョコレートも顕現陣の中に入れた。

千歳が言っていた事は正しかった訳か……まさかこんなにチョコレートを貰えるとは思わなかった。

さて、どうするかな、この大量のチョコレート……それを考えながら今日の授業を受けた。

それから休み時間になる度に多くの女子生徒と……何故か男子生徒が俺にバレンタインデーのチョコレートを贈ろうとしてきた。

それを千歳が全力で阻止するために銀羅と共に奮闘した。

そして、お昼時になると俺はクラスメイトへの贈り物を顕現陣から出した。

「みんな、バレンタインの贈り物だ。受け取ってくれ」

顕現陣から沢山のチョコレートクッキーを取り出した。

何だかんだでA組のクラスメイトのみんなは俺の大切な仲間だから感謝の気持ちを込めてバレンタインデーのお菓子を用意した。

「イヤッホォオオオオオーーーッ!!」

「天音のバレンタインのお菓子キター!!」

「サンキュー、蓮宮!!」

「天音きゅんマジ天使!!」

「バレンタインデーに感謝感激です!」

「うーん、美味しい!本当に蓮宮君のお菓子は最高!!」

用意したチョコレートクッキーにクラスメイト達はみんな喜んでくれた。

すると、恭弥がちょんちょんと俺を突っついた。

「なあ、天音。俺の分はー?」

恭弥は物欲しそうに俺を見つめた。

まあ、恭弥も俺のお菓子のファンの一人だから仕方ないか。

「お前には雷花さんがいるだろ……でも、心配するな。冒険部のみんな用のお菓子はちゃんと用意してあるよ。放課後に地下室にな」

「やったー!楽しみにしているぜ、天音!!」

「おう!」

恭弥は笑顔で俺の肩に手を回した。

そして、待ちに待った放課後。

冒険部を連れて地下室に向かった。

地下室にはアリス先生ともう二人別の人がいた。

「天音お兄ちゃん!ハッピーバレンタイン!!」

「アマネ!ハッピーバレンタインだぜ!!」

「か、風音!?セシリア!?」

そこには実家の蓮宮神社にいるはずの風音とイギリスの王宮にいるはずのセシリアがいた。

『リーン!』

『久しいな、アマネ』

更に二人の契約聖獣の鈴音とアルトリウスもいた。

「はい、お兄ちゃん!」

「アマネ、受け取ってくれ!」

二人の手にはラッピングされたバレンタインデーのチョコレートがあった。

「ありがとう。風音、セシリア」

千歳は昨日、親しい人からチョコレートを貰ってもいいと言っていたので俺は喜んで二人のチョコレートを頂いた。

「それじゃあ、俺からもバレンタインデーの贈り物をさせて貰うよ。少し焼くのに時間が掛かるから待ってて」

昨日作っておいたバレンタインの特別なチョコレートお菓子を冷蔵庫から取り出し、それをオーブンに入れて焼き始める。

その間に生クリームやフルーツソースを作り、迅先輩はみんなに紅茶とコーヒーを淹れてくれた。

そして、焼き上がったチョコレートお菓子をお皿に乗せ、生クリームとフルーツソースをトッピングしてみんなに贈る。

「ハッピーバレンタイン。俺特製のフォンダンショコラだ」

俺が作ったのはフォンダン・ショコラと呼ばれるチョコレートケーキだ。

フォンダン・ショコラとはフランス由来のチョコレートケーキで、ケーキの中にとろけるチョコレートクリームが入っているのが特徴だ。

温めて食べれば、風味が豊かなチョコレート生地と切断面からトロリと出てくるチョコレートを同時に堪能することができる。

しかし、フォンダン・ショコラの作り方はとても難しくお菓子作りが得意な俺でも何回も試行錯誤を繰り返して、やっと俺自身が満足が出来る作り方や焼き方をマスターして、こうやってみんなに届けることが出来た。

「わあ!美味しそう!いただきまーす!」

千歳のいただきますの挨拶を皮切りにみんながフォンダン・ショコラを食べ始める。

フォークでフォンダン・ショコラを半分に割ると、中から俺が望んだ通りにチョコレートソースが溢れ出した。

そして、生クリームやフルーツソースと一緒に口の中に入れると……。

「「「美味しい!!」」」

「「「美味い!!」」」

みんな笑顔になって美味しいと言ってくれた。

そして俺にバレンタインデーのチョコレートをくれた風音とセシリアに感想を聞く。

「風音、セシリア。俺からのバレンタインチョコは如何かな?」

「うん!最高に美味しいよ、お兄ちゃん!!」

「やっぱりお前のお菓子は最高だぜ、アマネ!!」

「良かった。作った甲斐があったよ」

風音とセシリアは満面の笑みで美味しいと言ってくれた。

その言葉に満足した俺は昨日お菓子作りを手伝って白蓮と黒蓮の元に行く。

白蓮と黒蓮は擬人化魔法で子供に変身してフォンダン・ショコラを食べている。

「どうだ?白蓮、黒蓮」

「おいしい!おかわり!!」

「俺もだ、お代わりだ!」

「了解、少し待っててな」

二人の頭を軽く撫でて新しいフォンダン・ショコラを用意する。

その後、みんなで雑談しながら楽しい時間を過ごしていき、セシリアとアルトリウスはイギリスに帰り、風音と鈴音は蓮宮神社に帰って行った。

学生寮の部屋に戻ると、今日貰ったチョコレートの数を数えた。

「ひぃ、ふぅ、みぃ……うーん、三十個以上あるなぁ……」

流石にこんなにチョコレートを食べることは出来ない。

全部食べたら絶対に体に悪いからな……ふむ、どうするか……。

「天音、いい方法があるよ〜」

「いい方法?」

千歳はどっさりとある大量のチョコレートを座っている黒蓮の前に置く。

「うん。とりあえず、風音ちゃんとセシリアから貰ったチョコレートはちゃんと全部天音が食べるとして……その他みんなから貰ったチョコレートは全部黒蓮ちゃんに食べてもらうの!」

「いやいやいや。流石にこんなにたくさんのチョコレートを黒蓮が食べられる訳が……」

『『『わうっ!がぅうっ!』』』

「食べられるみたいだよ?」

昼間にフォンダン・ショコラをたくさん食べておきながらまだまだ食べられるらしい。

そう言えば黒蓮の真の姿であるケルベロスフォームは巨体だからその分胃袋は大きくてまだいけるのか。

「でもいいのかな?バレンタインに貰ったチョコレートを俺が食べずに黒蓮に代わりに食べてもらうなんて……」

「バレンタインのチョコレートは気持ちさえ伝われば良いのよ。でも、天音が一番愛している女の子は誰……?」

千歳はじぃーっと俺を見つめて近付いてきて、座っている俺の膝の上に乗って俺の首に手を巻いた。

『よーし、可愛い弟達よ。私と散歩に行くぞー』

『ピィー!』

『『『がうっ!』』』

銀羅は白蓮と黒蓮を連れて散歩と称して部屋から出て行った。

本当に空気が読める九尾の妖狐で助かったよ……。

「ねぇ、天音。あなたの愛している女の子は誰?」

「……言う必要は無いけど、千歳だよ……」

千歳の頭を撫でてそのまま髪を軽く撫でる。

「ん!よろしい!じゃあ私のチョコレートをプレゼントするよ〜♪」

千歳は笑みを浮かべると顕現陣からラッピングされたバレンタインのチョコレートを取り出した。

それを千歳が開けると、中にはハートの形をした沢山の小さなチョコレートだった。

意外にも飾りが特に無い本当にシンプルなチョコレートで、千歳ならホワイトチョコレートで『I LOVE AMANE』と書いてもおかしくないからあまりのシンプルに驚いていた。

千歳はチョコレートの一つを手に取って俺の口に向ける。

「天音。はい、あーん」

「一応聞くけど、……媚薬とか怪しい薬を入れてないよな?」

「だ・か・ら!!どうして私が作った物にそんなものが入っているといつも思うのー!?」

「いや……千歳ならやりかねないと思うから……」

「ああ、もう!天音の意地悪!いいから食べなさい!!」

「むごっ!?」

千歳に無理やりチョコレートを口にぶち込まれた。

いきなり口の中にぶち込まれたから思わず吐きそうになったが唇を強く閉じてチョコレートを噛み締めた。

「んっ!?」

噛み締めたチョコレートが口の中に広がり、ほろ苦くもしっとりとした甘さが舌を包むようだった。

口の中で溶かしながらチョコレートをゆっくり呑み込んだ。

「……美味しい」

「本当?良かった〜」

「本当に美味しいよ。ありがとう、千歳」

「うん!それじゃあ……」

千歳はもう一つチョコレートを手に取ると、また俺の口へ持って行くのかと思ったが、

「ほい、ほうほ(はい、どうぞ)」

「ちょっと待てぃ」

チョコレートを自分自身の唇に咥えて俺に向けてきた。

「千歳、そのチョコレートを俺はどうすればいいんだ?」

「んー!んんーっ!」

唇に咥えたチョコレートを俺の唇に向けて少しずつ近付いている。

つまり、そのチョコレートを千歳の唇と一緒に食べろという事か?

「これ、何の罰ゲーム?」

「ふほへーふ(罰ゲーム)!?ひはふ(違う)!!」

千歳は俺の体をしっかり掴んで逃げられなくした。

これはもう完全に逃げられないな……覚悟を決めるか。

俺は千歳の後頭部に右手を添え、左手で千歳の腰を抱くと、そのまま千歳の体を自分に近づけ……チョコレートを咥えた唇に自分の唇を重ねた。

「んっ……んちゅ、んくっ……」

「んむっ……んっ……れろ……」

唇を重ねるだけでは留まらず、お互いにチョコレートを味わうように口の中で舌を絡ませながらチョコレートを唾液と口の中の熱だ溶かしながら転がした。

そして、チョコレートが口の中で溶けてなくなると、お互いの唇を離した。

「はぁ……はぁ……これで、良いのか?」

「天音のキス……チョコレートと一緒だと余計に甘く感じるよぉ……」

「阿呆……恥ずかしい事を言うな」

「ねぇ、天音。もっとやろう……?」

千歳はもう一つのチョコレートを手に取って再び唇に咥えた。

俺は千歳のその行動に血の気が一気に引いた。

「ま、まだやるのか……?」

「んっ……」

唇に咥えたチョコレートを再び俺の口に向ける。

今日はバレンタインデーと言う訳あって千歳はいつもより俺に大胆でとっても甘えてくる。

「分かったよ……チョコを飽きるまで堪能させてもらうよ」

「んむぅ……天音ぇ……」

千歳が用意したチョコレートが全部無くなるまで俺はただひたすらに千歳の唇とチョコレートを一緒に味わい続けた。



バレンタインデーの翌日。

「「何、これ……?」」

チョコレートを堪能し尽くした俺と千歳は信じられない異様な光景に思わず呟いた。

『うわぁあああああっ!!ちちうえ、ははうえ、たすけてぇー!!』

『こ、黒蓮が……黒蓮がご乱心だぁああああああああっ!!』

『『『ワゥウウウウウウーーーッ!!!』』』

白蓮と銀羅が逃げていた……黒蓮から。

黒蓮の目は何故かハートになっていて白蓮と銀羅を全力で追いかけていた。

何でこんなことになったのか分からなかったが、アリス先生によると俺に送られたバレンタインのチョコレートの中に魔法薬の一種である『惚れ薬』が入ったチョコレートがあったらしい。

その惚れ薬入りチョコレートを黒蓮が食べ、黒蓮はすぐ近くにいた白蓮と銀羅に惚れてしまった。

そして、黒蓮は動物の発情している時と同じ状態になって白蓮と銀羅を追いかけている。

もしも俺がその惚れ薬入りチョコレートを食べていたと思うと……ゾッと恐ろしい寒気がした。

下手したら千歳じゃなくて恭弥や雷花さんなど関係ない人に惚れてしまったかもしれないからだ。

「とにかく、黒蓮を止めなきゃ……!!」

「うん、そうだね!」

俺と千歳は追いかけられている白蓮と銀羅を助けるために発情している黒蓮を止めに入った。






ディープキスしながらチョコを味わうのは高校生のやることじゃねえ!!!www


まあ自分は一生できないことですが……。

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