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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第8章 日常編
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第101話 体育祭の終わりと次の祭り

これにて体育祭の完結で日常編の終わりです。



side千歳


二つの幻想絶界にて壮絶な戦いを繰り広げた私と瑠璃華は元の世界である天聖学園に戻った。

周りを見渡すと、A組とD組の神器合戦は終わっていて、A組の旗が立っていたので、勝ったのはA組だった。

「ふぃー、やっと戻れたよ……」

短時間にあまりにも濃い内容の体験をしてきたので終わったら一気に疲れが出てしまった。

こんなに疲れていて残りの神器合戦は大丈夫かな?と心配していると。

「千歳!!!」

「ふぇ?あ、天音!」

天音達が私に駆け寄ってきた。

みんな私を心配していたらしく、良かったと笑顔を見せていた。

「大丈夫か!?何があったんだ!?」

「あー、それについては後で話すよ。ちょっと疲れちゃったから……」

天音の顔を見られて安心した私は気が緩んでそのまま天音に倒れこんだ。

「お、おい……千歳?」

「天音……少しだけ胸を貸して……」

天音は少し困惑していたけど、いつものようにやれやれといった感じで私をお姫様抱っこで抱き上げてくれた。

「全く……金羅と天羅のお陰で体が丈夫になったのはいいけど、あまり無茶するなよ?」

「うん……善処するぅ……」

『ふわぁ……私も疲れたぞ……』

隣にいた銀羅も疲れて大きなあくびをして眠そうな顔をした。

「それなら、栄養価の高いチョコレートを食べて少し休んだらどうだ?一回ぐらい神器合戦を休んで決勝に復帰すればいいからさ」

「そうする〜……」

『ではお言葉に甘えさせてもらう……』

私と銀羅は天音に甘えるように言うと、私達に話しかける人がいた。

「千歳さん。天音さん」

「瑠璃華……?」

「七海さん……?」

そこには双子の人魚と契約を解除した瑠璃華の姿があった。

もう天音には手を出さないはずの瑠璃華だが私と銀羅はすぐに警戒した。

すると、瑠璃華は綺麗な姿勢で頭を下げてきた。

「今までの数々の無礼な発言、申し訳ありませんでした」

「瑠璃華……」

「千歳さん、あなたの天音さんへの深い思いはこの身に深く伝わりました。幸せになってくださいね」

「ありがとう……」

「では、失礼致します」

軽く会釈をし、瑠璃華は双子の人魚を連れて立ち去って行った。

「千歳、七海さんと何があったんだ?」

「んー?さぁね……」

私は天音の首に腕を巻いて更に体を密着させる。

「何だそりゃ」

天音はまたいつものように呆れた表情をしながら私を運んでくれた。



side天音


D組との神器合戦が終わり、その後他のクラスの合戦を観戦したりして遂に決勝戦となった。

決勝戦が始まる頃には千歳と銀羅も復活したが、一日中体育祭で動き回ったため、みんなの疲労もピークに達していた。

さて、どうするかと考えていると、アリス先生からのアドバイスを頂き、その言葉をみんなに伝えた。

その言葉とは……。






「みんな、体育祭が終わったら祝勝会を開こう。俺が腕によりをかけてたくさん料理を作るからさ」








すると、







「うぉおおおおおおおっ!!は、蓮宮の手料理だとぉっ!?これは疲れている場合じゃないぞ!!!」

「勝つぞ……絶対にこの戦に勝つぞ!俺の、俺の命に代えても!!」

「馬鹿野郎!命を投げ捨てるなら天音の手料理を食べてからにしろ!!」

「天音君の料理……特にお菓子は絶品と聞いたわ!ああ、早く食べたい!!」

「どんな有名パティシエのお菓子よりも食べる事より、天音さんの手作りお菓子が食べられるなんて最高!!!」

「神様!料理を楽しむ五感を人間に授けてくれてありがとう!!」







何故に効果抜群なの……?

たった一言にみんなの心に残る疲れが消え去り、ここまでの効果を発揮するなんてどういうことだよ?

みんなやる気満々で目の中の瞳が炎のように燃え上がっているように見えた。

こりゃあ俺の料理スキルをフル使用しなくちゃマズイな……。

指の関節を鳴らして指のマッサージをして頭の中でメニューを考えた。

そして、神器合戦決勝戦。

体育祭のラストを飾る決勝戦に相応しい白熱した対決に……。







「死ねぇえええええええっ!!」

「どけぇえええええええっ!!」

「邪魔だぁああああああっ!!」

「「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!??」」」

「地の果てまで消えなさい!!」

「天音きゅんの手作りお菓子が待っているのよぉ!!」

「滅べぇええええええああっ!!」

「「「イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!??」」」







ならなかった……。

恐ろしい鬼や悪魔すら裸足で逃げ出すような迫力のある気迫を纏ったA組の一方的な殲滅戦となってしまう。

みんなが走り去った後には次々と倒れる敵の死体(もちろん死んでないけど)が無残に転がっていた。

おいおい、体育祭のラストを飾る神器合戦の決勝戦がこれでいいのかよ……。

そして、俺は本当に不思議に思う、どうしてこうなった……?

頭を抱えて必死に答えを探し出そうとする俺に千歳は一言。

「天音、今考えていることを止めて、この後の祝勝会のメニューとかだけを考えたら?」

「ああ、そうする」

俺は答えを探し出すことをやめて、千歳の素晴らしい英断に従うことにした。

そして、結論から言うと……神器合戦は予想通りA組の優勝となり、結果体育祭の総合優勝はA組となった。

みんな曰く、これも全て俺の応援のお陰らしい。

どうして俺が応援したぐらいでみんなが本気以上の力を出せるのかイマイチ理解が出来ない。

まあ、とにかく無事に優勝出来たので宣言通り祝勝会で俺が料理を振るうことになった。

ただ、流石に俺一人じゃ手が足りないので明日奈委員長や迅先輩の手を借りて一緒に料理を作った。

「う、美味い!!美味すぎる!!」

「生きてて良かった……」

「俺、今なら死んでも構わない!」

「お母さん、私を産んでくれてありがとう!!」

「もう普通のお菓子じゃ満足出来ないかも〜」

「神様!このような素晴らしい機会に巡り合わせてくれてありがとうございます!!」

お菓子を食べたみんながこれでもかと言うぐらい感動していた。

大袈裟だなと思いながら俺はみんなが満足したのを見計らって祝勝会の会場から立ち去ってある場所に向かった。



俺が向かった場所は天聖学園の校舎の屋上だった。

そこには二人の男女がお酒を飲んで楽しんでいた。

「璃音兄さん、花音姉さん」

「んぉ?おぉ、天音!」

「いらっしゃい、天音」

二人は瓢箪に入ったお酒を杯に注いでチマチマと飲みながら楽しんでいる。

「兄さん姉さん、今日はありがとうございました。細やかだけど、俺からのお礼です」

さっき二人が好きな料理やお菓子を作って持って来たのだ。

「おおっ!?やった!久々の天音の料理だ!!」

「やっぱり天音の料理を食べなくちゃ、やってられないからね〜」

二人は美味しそうに俺の料理を食べてくれた。

美味しい美味しいと連呼しながら笑顔で食べる二人の表情に俺も笑顔になる。

しばらくワイワイと楽しい話をしていると、璃音兄さんは唐突にこんな話をし始めた。

「なあ、天音。今日の事を含めて偶には逃げたくなる時はないか?」

「逃げたくなる時……そりゃあ色々あるよ。母さん似のこの顔の所為でね……」

「そこでだ、天音に最高の駆け込み寺を教えてやるよ」

「最高の駆け込み寺?」

璃音兄さんの言う駆け込み寺とは何なのか、少し期待しながら耳を傾けると、そこはとんでもない場所だった。

「天星導志のメンバーが集う難攻不落にして秘密のアジト……“梁山泊”だ!!!」

「りょ、梁山泊!?」

悪人を叩き潰す正義の集団である天星導志のメンバーが集まるアジト……梁山泊。

そんな場所を俺が逃げる場所の駆け込み寺ってどうなんだ?と思いながら璃音兄さんの話を聞き続ける。

「実は天星導志のボスがお前に会いたいと言ってな。瑪瑙を倒したり、イギリスのクーデターを防いでくれた功績を認めてくれたからな」

「俺は対したことをしてないよ。みんながいてくれたから……」

「それに、みんなは親父の跡を継いだ蓮宮十三代目当主を見てみたいって言ってるんだよ」

そう言えば先代の詩音叔父さんも天星導志のメンバーだったな。

うーん、璃音兄さんと花音姉さんが所属している天星導志か……。

「行って見たい……かも」

「本当か!?それなら早速……花音!」

「はいはい。すぐに儀式を始めるわよ」

「えっ!?ちょっ、まっ!?」

思わず言ってしまった言葉に即座に反応する二人。

ってか花音姉さん、今儀式って言わなかった!?

今から俺に何をするつもりなの!?

オロオロする俺に璃音兄さんと花音姉さんはサクサクと儀式の準備を始めた。

変な形をした魔法陣を床に引き、花音姉さんは装飾のある短剣を取り出して俺を魔法陣の中央に立たせた。

「天に輝く百八の星々よ……この正義の志を持つ者に、星の導きを与えたまえ……」

短剣の刃から綺麗な光の粒子が溢れ出て、その粒子が俺の左手の顕現陣に覆いかぶさる。

光の粒子は璃音兄さんから貰った顕現陣を少しずつ侵食するように陣形を書き換えていった。

少しくすぐったいけど、我慢出来る程度なのでそのままにした。

そして約一分ぐらいの時間が経過し、光の粒子が消えて顕現陣の形が書き換え終わった。

前と比べるとデザインが少し変わったぐらいでそれ以外は特に変わっていなかった。

強いて言うなら中央に剣の形をした絵が描かれていたぐらいだった。

「これで終わり……?」

「ああ。その顕現陣に梁山泊の道標が刻まれた」

「だから天音が祈ればいつでも行けるわ」

「そうなんだ……ありがとう、璃音兄さん、花音姉さん」

とりあえず天星導志のアジトである梁山泊への道標を手に入れた。

いつ梁山泊にお邪魔するかわからないけど、その時を楽しみにした。

その後、璃音兄さんと花音姉さんは梁山泊へ帰って行き、俺は祝勝会に戻った。

祝勝会を大いに楽しみながら俺たちの体育祭は終わりを告げた。

地獄だったチア衣装やブルマ姿もすぐに忘れてのんびりと平和な日々を過ごそうと考え、いつも通りとなった天聖学園の日常を過ごした。

もう二度と、女装なんかするもんか……そう心に違って。







しかし、この数日後、俺は璃音兄さんの言葉通りに梁山泊に駆け込むように逃げることになるのだった……。





次回から長くなるかもしれない文化祭編に突入します。


もっとも、ラストのアレは天音が色々問題行動を起こすかもしれませんが(笑)


文化祭で色々と新キャラがかなり登場します。


皆さんのオリキャラを登場させられると思います。


とりあえず、天星導志と……天音が文化祭で歌うかもしれないバンドのメンバーを集めたいです。

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