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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第8章 日常編
118/172

第100話 咲き乱れる思い

祝、100話達成!!!


いやー、なんだかんだで100話に突入することができました。


これからも、アーティファクト・ギアをよろしくお願いします。

side天音


神器合戦の第二回戦第一試合が始まってすぐに千歳と瑠璃華さんが激突しそうになったが、突然空間が歪むと同時に二人が忽然と消えてしまった。

「千歳……!?」

何が起きたのか分からず大将でも関わらず俺は飛び出した。

「白蓮!黒蓮!」

『うん!』

『『『ガウッ!』』』

鳳凰フォームになった白蓮とケルベロスフォームになった黒蓮も一緒に飛び出し、蓮煌と銀蓮を両手に持って契約する。

「契約執行!!!」

アーティファクト・ギアの鳳凰剣零式と冥覇獣王剣を手にし、千歳のいたところまで走る。

その際、大将である俺を狙ってD組の生徒達が襲いかかってくるが、

「邪魔だ……どけぇえええええっ!!!」

アーティファクト・フォースを発動して叩き潰すように生徒達を次々とぶっ飛ばして行った。

しかし、千歳が消えた場所に辿り着いても何も残されていなかった。

「千歳……千歳!!何処にいるんだ、千歳!!!」

思わず大きな声で叫ぶように千歳の名前を呼ぶと、その声に気づいた恭弥とサクラと明日奈委員長が駆け寄る。

「おい!天音、お前どうしたんだ!?」

「千歳と銀羅が……D組の七海瑠璃華って女の子と一緒にどっかに消えちゃったんだ……」

「何だと……?明日奈、探せるか?」

「うん。それなら……ソロモンブックス!!」

明日奈委員長はソロモンブックスを起動させてページを開いて魔法陣を展開させる。

「来れ、ソロモンナンバーズ、45!ヴィネ!!」

そして、ソロモン72柱の内の序列45位の悪魔が召喚される。

魔法陣から現れたのは黒い馬に跨り、片手に毒蛇を纏わり付かせた獅子頭の悪魔だった。

「ヴィネ、あなたの力で秘められた事物を解き明かしてくれる?」

『ああ』

ヴィネは毒蛇のある手を前に突き出して紫色のオーラを纏い、何かを感じて調べ始めた。

そしてわずか十秒で判明した。

『ここにいた娘達は異空間で戦っている』

「「「異空間!?」」」

『今その異空間で二人は真剣勝負の一騎打ちをしている』

異空間で千歳と瑠璃華さんが一騎打ち!?

どうしてそんな事になっているのかわからないけど、助けに行かなくちゃ!

「天音!助けに行こうと思うなよ!」

「え?何でだよ!?」

「千歳はその女と一騎打ちをしているのだろ?だったら!!」

「私達が余計な手出しをするわけにはいかないよ。それに……」

鋭い眼差しになった恭弥達が俺を囲み出した。

いつの間にか周囲にたくさんのD組の生徒達が集まってきた。

「お前、大将だから狙われているんだよ」

「しかし、さっきまで精神が磨り減っていたのに千歳に何かあると復活するなんてな」

「流石は、千歳さんLOVEの天音君だね♪」

「委員長……それは恥ずかしいよ……」

そうだ……今の俺はA組の大将を任されているんだ。

千歳は心配だけど、一騎打ちなら手を出す訳にはいかない。

目の前の敵を倒すために鳳凰剣零式と冥覇獣王剣を構えてあの台詞を叫ぶ。

「さあ、It’s Show Timeだ!!!」

千歳、頑張れよ!!



side千歳


幻想絶界で瑠璃華の海の世界に引きずりこまれた私はあまり自由に動けない状況で戦う事になった。

しかし、ここに来てある重大な事に気が付いた。

それはここは海……つまり水の中だから火の属性を持つ銀羅の無幻九尾銃は真の力を発揮することが出来ない。

水の中だから妖炎弾を打ってもすぐに消されてしまうのがオチだ。

どうしょう……と悩んでいると金羅の声が頭に響いた。

『千歳、私の妖力を銃に込めろ』

「えっ?」

『いいから早く!来るぞ!』

「あっ、う、うん!」

『……業火絢爛、獄炎之焰』

「は???」

金羅が何かの単語を言うと、無幻九尾銃に込めた妖力が金色と黒色に輝いて熱を持った。

『こ、これは……とてつもない炎を感じるぞ……』

銀羅は金羅から貰った妖力に大きな力を感じていた。

私達が話し込んでいると、瑠璃華が先にしかけてきた。

「行きます……水鱗弾!」

瑠璃華が笛を吹いて鳴らすと、周囲に幾つもの圧縮された水弾が現れ、私に向かって一斉に発射された。

「はっ!?Shoot!!」

ワンテンポ遅れた私もダブルリボルバーから妖炎弾を発射する。

すると驚く事に無幻九尾銃から発射された金と黒の妖炎弾が水の影響を全く受けてないように燃え上がり、瑠璃華の水弾に着弾して爆発し、そのまま相殺した。

「す、すごい……」

『姉上、あの妖力は何なんですか?あの炎は千年前には無かったはず……しかも、何故水の中で消えないのですか?』

『ああ、それは“獄炎龍”の業火だからだ』

「『獄炎龍???』」

私と銀羅は何それ?と疑問を持ちながら金羅に話を聞いた。

『あれは母上が殺され、銀羅と別れた後のことだった。私は人間や陰陽師への怨みを増幅させながら数百年の年月を重ねて九魔之魔剣を完成させた直後、突然地震が起きたと思ったら……何故か地獄に落ちていた』

「へぇー、地獄ねぇ……えっ?」

『じ、地獄!?』

つまり、金羅は地震……多分サクラがギリシャの冥界に落ちた時と同じ人間界と聖霊界の間で起きる未だに原因不明な時空が歪んで別の場所や世界に飛ばされてしまう時空地震で地獄に落ちちゃったみたいね。

『目の前にはあの閻魔大王がいてな。まだ死にたくなかった私は閻魔大王と死闘を繰り広げたぞ……』

ちょっと待って。

閻魔大王って地獄におけるあの有名な死者の裁判官じゃない!?

そんな大物と死闘を繰り広げるって凄すぎるよ!!

『死闘の末、私と閻魔大王は友情を結んで友となった。私はせっかく地獄に来たんだから地獄の業火を手に入れようとしたんだ』

そこでどうして地獄の業火を手に入れようとしたのかその時の金羅の精神状態をとても気になったがとりあえずそのまま話を聞く事にする。

『その際、閻魔大王は地獄で生まれた無差別に大暴れする龍を倒したら地獄の業火を少し分けてやると言ってくれてな。それが地獄の業火を見に宿した上級魔龍である獄炎龍だ。私は獄炎龍を命からがらに何とか倒し、倒すついでにそこ獄炎龍を“喰って”自分の妖力の糧にして業火を手にしたのだ』

ちょっとちょっと、金羅ちゃん……地獄の龍を倒すだけでも凄いのにそれを食べちゃうなんてもはや凄いを通り越して呆れちゃうよ。

あれ?でも業火を手に入れたならどうしてその力を京都で一回も使わなかったんだろう?

その疑問は金羅が予測していたようにすぐに答えてくれた。

『だが一つ問題があった。この獄炎龍の炎はあまりにも強力すぎて使うと私自身も業火で燃やされて死んでしまう事が分かったのだ。だから先日の京都の戦いでも使う事が出来なかったんだ』

なるほど、手に入れたのはいいけど自分自身も燃やしちゃう厄介な炎か……それじゃあ使いたくても使えないよね。

『しかし、千歳と一つになり、銀羅の無幻九尾銃にその業火を充填して使えば燃やされることなく使うことが出来ると分かったんだ』

「つまり……無幻九尾銃とその獄炎龍の業火と相性が良かったんだね」

『流石は姉上。これほどの隠し球を持っているとは』

『ああ。さて……この獄炎龍の業火を使ってあの人魚娘を焼いてやるぞ!!』

「だから焼いちゃダメだって」

とにかく、この圧倒的に不利な水の世界で存分に無幻九尾銃の力を使えるのは良い事だ。

やっぱり双子の九尾の妖狐だから二人揃っていると100%以上の力を発揮できるということだろう。

「さあ、二人とも、どんどん行くよ!」

『ああ!』

『久々に燃えてきたぞ!』

やる気が出てきた私達に対し、瑠璃華はとても驚いた表情を浮かべていたがすぐに落ち着いた表情になって笛を構える。

「水の中なら有利だと思いましたが、少し趣向を変えますか……海獣ノ円舞」

再び息を吹きこむと、今度は脈動のある音色が広がった。

まるで音が生きているような、音から生き物を感じ取るような音色が響くと水が集まって何かの形を形成した。

それは……聖獣以外で海の中で恐れられている動物の形をしており、私は目を大きく見開いて驚いた。

「サ、サ、サメ!?」

凶暴な海の捕食者、サメだった。

しかも一匹どころではなく四匹も水で作られたサメがいた。

四匹の水のサメは私を獲物と判断して睨みつけると尾ビレを振って泳ぎだして一斉に襲ってきた。

「うわぁあああああっ!?ちょ、超銃変化!ブレイズレーザー!ブラストビット!!」

ダブルリボルバーからレーザービームのブレイズレーザーにして、更にビット兵器のブラストビットを展開する。

「来るな!来るな!!来るなぁあああああっ!!!」

ブレイズレーザーとブラストビットから高温のレーザービームを大量に発射し、襲いかかるサメ達を狙い撃つ。

しかし、サメ達はレーザービームを華麗に回避して水の中を縦横無尽に動きまくる。

その瞬間、私はテレビで前に見たことのあるサメのド迫力のある捕食のシーンを思い出した。

「くっ!?思ったより泳ぐスピードが速い!!」

『千歳よ、銃がダメなら剣はどうだ?』

「剣……?それだ!超銃変化!ストライクブレード!!」

金羅のアドバイスに閃いた私はブラストビットをそのまま展開しつつ、ブレイズレーザーを銃剣のストライクブレードに変化させる。

そして、胸に手を置いて金羅と一緒に眠っている力を引き出す。

「招来!九魔之魔剣!!」

九尾の妖狐が持つ九本の尻尾の数と同じ九又の刃を持ち、人間と退魔の力を持つ人間を滅ぼすために金羅が生み出した凶悪な魔剣……九魔之魔剣が私の心臓のあたりから出てきて柄を持って引き抜く。

もっとも、今では私と一緒に誰かのために戦うための魔剣だけどね。

無幻九尾銃・ストライクブレードと九魔之魔剣を両手で持ち、天音の双翼鳳凰剣や風音ちゃんの神龍双覇を構えている時の姿を意識しながら構える。

「アーティファクト・フォース……」

目を閉じてアーティファクト・フォースを発動して私自身の体、そしてストライクブレードと九魔之魔剣にもその力を纏わせる。

その際、ブラストビットは銀羅が動かし、出来るだけ行動を制限させながら私の横周りに来るようにした。

「ストライクブレード、ブレードチャージ……」

そして、ストライクブレードの引き金を引いて妖炎弾の妖力を刀身にチャージし、その時のタイミングを待った。







『『千歳!!』』

「蓮宮流、水蓮天昇閃!!!」







銀羅と金羅の声が聞こえたその瞬間、私は目を開いて自分の体を回転させながら両手のストライクブレードと九魔之魔剣を操り、真横にいたサメ四匹の鼻を同時に切り裂いた後、まるで天を貫くような螺旋状の斬撃を放った。

螺旋状の斬撃はサメを細切れにして元の水の塊に戻った。

水蓮天昇閃は本来なら風音ちゃんが使う蓮宮流の技だが、蓮姫様がいずれ蓮宮に嫁に来るんだから剣を学んでも構わないだろうと言ってくれて、蓮宮流剣術を少しずつ学んでいたのだ。

「私のサメ達が……」

サメを一気に倒され、瑠璃華はとても驚いて呆然としていた。

『今度は私達の番だ!』

金羅がそう言うと、私の背後の空間が歪んで黒くなると、私はその中に飛び込んだ。

「消えた!?何処に……」

「ここだよ」

「えっ!?」

私はスッと音もなく瑠璃華の背後に立っていた。

これは京都で総詩を倒した時に見せた金羅の空間を移動する能力。

私はストライクブレードを肩に担ぐように持ち上げてブレードチャージをしながら振り下ろした。

「蓮宮流、紅蓮裂刃!!」

「くっ、水霊の守護壁!!」

瑠璃華は水の壁を生み出したが、業火を纏ったストライクブレードの刃はそれを無視して瑠璃華の纏うドレスを切り裂く。

「うがっ!?」

「九魔之魔剣、九重之刃!!!」

更に攻め立てて九魔之魔剣を振り下ろし、九つの斬撃を放った。

「あああああああああっ!!」

九つの斬撃が瑠璃華を襲い、切り刻まれてないけど、アーティファクト・ギアの笛やドレスがボロボロになってぶっ飛ばされた。

「瑠璃華!あなたに私は倒せない!!天音を諦めなさい!!」

私から天音を本気で奪う人間を私は容赦しない。

何があっても天音は絶対に守るし、天音を私から奪わせない!!

「諦めません……」

「えっ?」

ぶっ飛ばされた瑠璃華は起き上がり、再び笛を構える。

「私も、こんなところで諦めるわけにはいきません。私の乙女心を舐めないでください!!」

瑠璃華の体から水色の妖力が解放され、二つのアーティファクト・ギアに宿る双子の人魚から解放されたのは黄道十二宮を初めとする夜空に輝く星々の力……『星力』が一つになり、アーティファクト・フォースとなる。

「クー、ルー、行きますよ……」

『瑠璃華!まさか“あれ”をやるつもり!?』

『あれは人にやってはいけない……』

「もちろん、威力は抑えます。今、千歳さんに勝つにはこれしかないんです!奏でるは……狂いし海の音!!」

瑠璃華の足元に人魚が描かれた魔法陣が浮かび上がり、先ほどまで無かった水の中の流れが急に変わってきた。

「海よ、海よ。我が音色にて荒れ狂え、海よ……全てを飲み込む破壊の蒼き嵐となれ……!!」

詠唱を終えた瑠璃華はギアーズ・ブレイクを発動させる最後の仕上げをする。

それは今までとは異なる荒々しくも激しい演奏だった。

その演奏に合わせて海が荒れて、巻き込みながら全てを粉々にしてしまう海の災害である凄まじい『嵐』となった。

「蒼嵐ノ狂奏 (そうらんのきょうそう)!!!」

その嵐は私に襲いかかり、海の流れに呑まれて縦横無尽に流されていく。

「あっ、ぐっ、うわぁあああああっ!!!?」

まるでミキサーに入れられたようにグルグルとかき回され、体が引き千切られそうになり、意識が飛びそうになる。

ストライクブレードと九魔之魔剣を手放しそうになったが、そこは何とか踏ん張って強く握りしめた。

これが瑠璃華の奥の手……水の流れを操り、嵐を生み出して相手を呑み込む技。

今の状況をどう乗り切ればいいのか、どうしたらいいのか私には分からなかった。

こんな時、天音ならどうするだろうか……天音ならどう乗り切るだろうか……。

私はその事を考えていると、脳裏にある光景が思い浮かんだ。

それは、一面に広がる綺麗な蓮の花が広がる畑と蓮宮神社の歴代当主の姿……一週間前に天音の霊煌紋に触れた時に見た光景だった。

「蓮、宮……」

そうだ、私にとって蓮宮は大切な存在。

天音……風音ちゃんや花音義姉様や璃音義兄様、六花叔母様に時音叔父様……蓮宮を受け継ぐみんながいてくれたから私は生きることができた。

だから、私はみんなとの繋がりを切りたくない。

もっともっと、みんなと一緒にいたいんだ!!

『それなら、創ればいい……』

「この声……天羅?」

それは私の前世であり、銀羅と金羅の母親で美しい九尾の妖狐・天羅の声だった。

「創ればいいって、何を……?」

『お前が望む世界だ』

「えっ……?」

『今までお前を支えてきた天音達の思い出をお前の世界として創ればいいのだ』

「私の……幻想絶界?でも、出来るのかな……?」

こんな状況で熟練のアーティファクト・ギア使いでも発現するのが難しい幻想絶界を発動出来るかどうか……。

『ためらうな。全然お前らしくないぞ、千歳』

「銀羅?」

『そうだ。お前は私と銀羅が認めた唯一無二の契約者だぞ?私達が全力でお前を支える。だから……迷うな、恐れず行くのだ!』

「金羅……」

そうだ、私は一人じゃない。

銀羅と金羅、そして私の前世の天羅がいる。

この三人が居る限り、私は負けない……天音とみんなとの輝かしい未来のために!!

「私に、恐れるものは何もない。輝いて……私の記憶にあるみんなとの思いの全て!!!」

私は妖力を全て解放して足元に新たな魔法陣を展開する。

それは銀羅と金羅と天羅の姿が絡み合うように描かれた魔法陣で、その中心にレイジングとストリームを持った私の姿も描かれている。

思い描くのは私だけの世界。

「幻想絶界……」

生まれてから今まで歩んできた私の人生の記憶を一つに集めた世界。







「“記憶の花園”」







私の体から光が溢れ出し、瑠璃華が生み出したこの荒れ狂う海の世界全てを呑み込んだ。

そして、視界が開いたその先には……。

「蓮の、花園……」

そこは霊煌紋を触った時に見た蓮の花が広がる世界とよく似た場所だった。

「そんな……私の、蒼海ノ楽園が……」

瑠璃華は自分の幻想絶界が私の幻想絶界に書き換えられたことに呆然として立ち尽くしていた。

私はそんな瑠璃華に無幻九尾銃の銃口を向けて叫んだ。

「さあ……Show Time Againよ!!」

「くっ……まだ、まだ私は負けません!!」

抵抗する瑠璃華は笛を鳴らして水の弾丸を生み出して発射するが、私にはまだ『これ』がある。

「無幻九尾銃、ギアーズ・オーバー・ドライブ!!!」

無幻九尾銃から銀色の妖力が解放され、瑠璃華の水の弾丸を全て弾き消した。

九つの形態を持つ無幻九尾銃が同時展開し、ダブルリボルバーを両手に持ち、残り八つの銃器と火器を絢爛九尾の尻尾で持つ。

「炎帝九尾銃!!Full Burst!!!」

炎帝九尾銃を一斉発射し、無数の妖炎弾が瑠璃華に襲いかかる。

全ての手を出し尽くした瑠璃華はもう何もすることが出来ずにその場に座り込んでしまった。

「Brake The Fate……!!!」

パチン!と指を鳴らし、妖炎弾が瑠璃華の目の前で爆発した。

「くっ……がぁっ……」

瑠璃華は直接爆発を受けなかったが、爆発に吹き飛ばされて倒れた。

私はゆっくり瑠璃華に歩み寄って言い放った。

「私の勝ちよ、瑠璃華……約束通り、天音にはもう手を出さないで」

「蓮の世界……」

「えっ?」

「あなたのこの幻想絶界……この世界を見れば、あなたがどんなに蓮宮天音さんを愛しているのか……」

瑠璃華は私ではなく、この幻想絶界を見ていた。

その瑠璃華の視線の先には……。

『天音』

『千歳』

半透明で小さい頃の私と天音の姿があった。

私がまだ幼く虚弱体質で天音が支えてくれた支えてくれた私の思い出の一つだった。

しかもそれだけじゃなく、幼稚園から小学生、小学生から中学生時代の私と天音の姿が次々と現れては消えていく。

それは全て私と天音が一緒に歩んできた思い出の姿だった。

「千歳さん、あなたの天音さんへの思いはとても強い……最初から私の入り込む隙はなかったんですね」

「分かってくれればいいのよ……」

「天音さんの事、必ず守ってくださいね……」

「言われなくても、私は天音を守るわ。天音と一緒に、未来を歩むためにね……」

瑠璃華、あなたと戦えて良かったわ。

私にとって大きな意味のある戦いになった。

天音に対する思いを再確認することが出来たし、幻想絶界を発現することが出来た。

私は炎帝九尾銃の契約を解除し、銀羅と一緒にこの世界を眺めた。




次回、体育祭の終わりでいよいよ文化祭編に突入しようと思います。


文化祭編から皆さんのオリキャラを出せると思います。

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