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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第8章 日常編
112/172

番外編 第5話 それぞれのクリスマス

クリスマス小説最終日です。


今回は主要キャラたちそれぞれのクリスマスです。


色々甘いところがありますので。

恭弥&雷花&悟空&トール


俺と雷花、そして相棒の悟空とトールで俺の両親……親父とお袋に会いに来た。

二人は考古学の教授で古代遺跡の調査で世界中の遺跡に行っていて、じーちゃん以上に家に帰ってこない。

俺が小さい頃から二人共全く家にはいないから正直な話、俺にとって大切な両親は誰よりも尊敬している冒険家のじーちゃんとお母さんのようにいつも側にいてくれたばーちゃんで、実の両親には愛想を尽かしている。

そんな二人にクリスマスプレゼントを送る必要はないと思ったが、雷花が俺の両親に会いたいというので仕方なく行くことにした。

二人がいる場所は南米の古代遺跡で、俺は遺跡調査をしている二人をすぐに見つけた。

こっそり二人の仕事をしている様子を見ていると、部下に的確な指示を出したり、刻まれた古代文字を読んだりしてその意味を調べたりと見たことない両親の仕事の顔を見た。

ワーカーホリックで子育てをばーちゃんに押し付けた二人の事は好きじゃないけど……何というか、あまり思いたくなかったけど、正直かっこいいと思った。

そして、その日の調査が終わり、調査員が帰ろうとしたその時に俺達は二人の前に現れた。

「きょ、恭弥!?」

「どうしてここに……!?」

「別に、大した用はねえよ。ただ……二人にこれを渡しに来ただけだ」

二人が驚く中、ぶっきらぼうに言いながら俺はクリスマスプレゼントを渡した。

中身はお菓子作りの上手な天音が監修の元、俺と雷花で作ったクリスマスケーキだ。

両親と言っても二人の趣味や好きな物がよく知らないから喜んでもらえそうなクリスマスケーキを作ることにした。

クリスマスケーキは甘さ控えめのクラッシックショコラのケーキで見た目と味は保証されている。

「これを恭弥が作ったのか?」

「そうだよ。料理が好きなダチがいるからそいつに教えてもらった」

「そう……ところで、あちらにいる女の子は?」

お袋は少し離れた場所にいる雷花に気付き、雷花は緊張しながら近付いて二人に挨拶する。

「初めまして……鳴神、雷花です。恭弥……恭弥君とはえっと……」

「雷花は俺の恋人だ。成人になったら俺の嫁にするから」

「えっ……?ふぇえええっ!?」

雷花が言いにくそうだったから代わりに俺が言うと、雷花は顔を真っ赤にして俺を見つめる。

「ん?どうした?」

「恭弥、幾ら何でも……突然過ぎだよぉ……」

「いいじゃねえか。いつかは言うんだし」

「はぅっ……今度実家のお父さんとお母さんに挨拶してね……」

「もちろん」

ポンポンと雷花の頭を撫でると更に顔を真っ赤になり、悟空とトールが近付いて声を送る。

『おーい、恭弥ー、お前の両親が呆然としているぞー』

『イチャイチャしている場合じゃないぞー』

「えっ?あ、ごめん」

若干忘れていた二人に向き合うと、親父とお袋は俺が嫁にすると言った雷花を興味深く見る。

「恭弥に勿体無いぐらいの可愛い子じゃないか」

「余計なお世話だ」

「雷花さん、恭弥はあなたに優しくしているの?」

「何聞いてるんだよ……ああ、もう!やるもんはやったから日本に帰るぞ、雷花!」

このままいても埒が明かないから雷花を連れて逃げるように立ち去ろうとする。

「恭弥!待ちなさい!」

「待って、恭弥!」

「あぁ?何だよ?」

引き止められた二人から何かを手渡された。

「何だ、これ?」

「今はこんなのしか渡せないけど、受け取ってくれ……」

「来年のお正月に送ろうとしたのだけど……受け取って」

それは綺麗な石が埋め込まれた不思議な紋章の形をしたペンダントだった。

「ふーん……いいペンダントだな。……ありがとう」

「ああ。こっちこそ素敵なクリスマスプレゼントをありがとう」

「実家にいるお義父さんとお義母さんによろしく言っといてね。お正月には必ず帰るから」

「ああ、分かった。親父、お袋。あんまり仕事ばっかしてねーでちゃんと休めよ」

俺はそれを言い残すと、その場を後にして日本に戻った。

「良いの?あんな別れ方で……」

「良いんだよ。俺にとって父さんと母さんはじーちゃんとばーちゃんだからな」

「……いつか、仲直りをしてね」

「……いつかな」

俺が素直になればいい話だけど、十年以上も放ったらかしにされたら素直になれるわけない。

「恭弥、絶対だよ……?」

「分かったよ……」

雷花との約束を破るわけにはいかないからいつかは二人と若いしなくてはならない。

面倒だけどやるしかないな……。

「それじゃあ……ハイ。私からのクリスマスプレゼント♪」

雷花は満面の笑みで俺に大きな紙袋のクリスマスプレゼントを渡した。

何が入っているのかワクワクしながら開けると……。

「これって、セーターに手袋にマフラー……?」

俺の髪の毛の色に似た赤茶色の毛糸で作られたセーターと手袋とマフラーだった。

手触りの感じからするともしかして……。

「雷花。もしかして、これは手編みなのか?」

「もちろん。せっせと編んで作ったんだよ……?」

驚いた……洋服作りは得意なのは知っているけどまさか手編みでマフラーと手袋とセーターを作れるなんて知らなかった。

「暖かそうだな……ありがとう、雷花!」

「うん!ちなみに、みんなのもあるからね」

雷花は悟空とトールにも同じような紙袋を渡した。

『えっ?俺も?サンキュー、雷花!』

『何ぃ!?雷花、ワシもか!?』

「時間がなかったから二人にはセーターだけだけど……」

つまり俺だけ手袋とマフラー付きか。

何か恋人として嬉しい気分だぜ。

『いやいや、そんな事は無いぜ。こんな素敵な贈り物は数百年振りだ。ありがとうよ、雷花!』

『感謝するぞ!ずっと大切にするからな、雷花よ!』

「うん。ありがとう……」

悟空とトールにプレゼントを喜んでもらえて嬉しそうな顔をする雷花。

よし、今度は俺の番だな。

「雷花、俺からのクリスマスプレゼントだ。受け取ってくれ!」

「うん……えっ?」

雷花が驚く隙も与えず俺は雷花の左手の薬指にクリスマスプレゼント……黄色の綺麗な石が輝く指輪を填めた。

天音が千歳に誕生日に婚約指輪をプレゼントしたと聞いてから、ずっと雷花に指輪をプレゼントしたいと考えていた。

そして、俺もアリス先生に頼んで作ってもらった。

黄色の石はルチルクォーツと呼ばれる石で、雷花に似合いそうな綺麗な黄色の石なのでそれにした。

すると、雷花は笑いながら涙を流し始めた。

「恭弥……ありがとう、大好きだよ!」

「ああ。俺も大好きだぜ、雷花」

雷花は俺に抱きつき、ぎゅっと強く抱きしめながら日本へ戻った。

日本にいるじーちゃんとばーちゃんと一緒にクリスマスパーティーをするために。



雫&迅&ソフィー&クラウド


私と迅は海外で医療活動をしているお母様の元へ向かいました。

ちょうど今、お母様と相棒のアスクレピオスは病院で難病に苦しむ人の難しい手術の真っ最中で、手術が成功する事を信じながら私と迅は二人の為にお母様の部屋でこっそりクリスマスパーティーの準備をします。

でも、ただのパーティーではなく、二人を驚かせるためにサプライズにします。

その方が驚きや感動が倍増する事間違いないと思います。

料理は迅に任せて私とソフィーとクラウドは飾り付けとかの準備をしました。

そして、足音と一緒にお母様とアスクレピオスの声が聞こえてきます。

「ふぅー……手術が無事に終わって良かったよ」

『そうだな。それと、今日はクリスマスだから日本にいる雫と迅に電話したらどうだ?』

「クリスマスか……できれば雫と迅と一緒に過ごしたいけど無理かな……」

そして、お母様が部屋を開けた瞬間……!

パァン!パァン!!

「メリークリスマス!お母様!アスクレピオス!」

『『ヒヒィーン!!』』

「お仕事、お疲れ様です……紅様、アスクレピオス」

「……えっ?」

『なっ……?』

電気を付けると同時にクラッカーの紐を引いて一気に大きな鳴らし、お母様とアスクレピオスは呆然としてしまいました。

「し、雫……?迅……?」

『驚いたな……サプライズか?』

「はい!お母様とアスクレピオスに喜んでもらうために準備しました!」

「お料理はもう出来ています。早速頂きま……紅様?」

お母様は右手で両目を抑えて顔を上に上げました。

もしかして、涙を……?

「やっぱり、雫は私の娘であると同時に“あいつ”の娘だなぁ……」

「お父様の事ですか……?」

「ああ。あいつは私を驚かせて喜ばせるのが好きだったからな……」

時折話してくれるお父様の事……本当にお母様の事を愛していらっしゃったみたいです。

「お母様……」

「紅様……」

「ありがとうな……愛しているぜ、雫!迅!」

お母様は全身からハートを出しまくりながら私と迅を抱き締めました。

苦しいと思うほど強く抱きしめて、お母様の私達に対する深い愛情を感じました。

『紅。ハグはその辺にしておいて、そろそろパーティーを始めないか?腹が減って仕方ない……』

「それもそうだな。よし、パーティーを始めようか!」

「はい!」

「かしこまりました……」

『ブルゥ』

『ヒヒーン』

私達はクリスマスに久振りに家族の団らんを過ごしました。

私と迅はお母様にプレゼントを用意しましたが、お母様はとんでもない爆弾発言をしました。

「来年のクリスマスプレゼントは雫と迅の子供が良いな〜♪初孫楽しみにしているぞ♪」

相変わらず私と迅の子供が欲しいというお母様に私達は顔を真っ赤にしてしまいました。

私と迅の赤ちゃん……作れたらいいと思いますけど、迅はなんて言うでしょう……。



刹那&麗奈&月姫&幸助


拙者達は気配を殺しつつ、生まれ故郷である『神影の里』に侵入し、麗奈の祖父殿で長の神影十蔵様の屋敷に訪れたでござる。

長は拙者と麗奈を神影流忍者から追放しましたが、長は祖父として孫の麗奈を愛しているのでござるよ。

今日はクリスマスなので、こっそりプレゼントを届けに来たでござる。

屋敷の前にこっそりプレゼントを置き、ささっと退散して遠くから見守ると、僅かな気配に気付いた長は玄関を出てプレゼントを発見したでござる。

「何じゃこれは……?」

長はプレゼントの包みをを開けると、中にはフカフカの暖かそうな毛布が入っていたでござる。

神影の里は毎年の冬は特に寒く、既に高齢の長に風邪を引いてもらわないように毛布をプレゼントしたでござる。

「ほぅ、これは暖かそうだな……ふむ、麗奈と刹那か……」

長はそのプレゼントが拙者達からの贈り物だとすぐに気付き、目を細めて笑った。

「全く……あの馬鹿孫が……忍の掟を破ってこんな事をしよって……」

体を震わせながら長は他人には全く見せない涙を流したでござる。

「お爺様……」

「麗奈、拙者達の気持ちは長に届いたでござるよ」

「はい……戻りましょう、蓮宮神社に……奥様と旦那様を待ちましょう」

麗奈は長に会いたいという気持ちを抑えながら里から立ち去り、蓮宮神社に戻ったでござる。

すると、忍獣石が光って二つの煙が現れたでござる。

『刹那!』

『姐さん!』

拙者達の忍獣である月姫と幸助が召喚されたでござる。

月姫の背中にはたくさんの野菜や米などのたくさんの食べ物がくくり付けられ、幸助にはお酒の入った瓢箪を持っていたでござる。

「月姫、幸助。それは……?」

『長から……神影十蔵からの贈り物ですよ』

「お爺様の……?」

『神影の里の野菜や米に酒……二人の故郷の食べ物だ』

その時、拙者達は察したでござる……長はクリスマスプレゼントのお返しに月姫と幸助に里の作物を託したのだと。

「お爺様……ありがとう、ございます……」

「長……感謝します」

涙ぐんだ表情をする麗奈を拙者は指で涙を拭い取って微笑みかけたでござる。

「麗奈、いつか拙者達が堂々と長に会える日が来るでござる。その時まで共に待とう」

「刹那……はい!」

拙者達は新たな夢を携え、お仕えする親方様と奥方様を待つために蓮宮神社に戻ったでござる。



サクラ&明日奈&ツバキ


俺は明日奈とツバキを連れて故郷みたいな場所である冥界に来ていた。

冥界は死後の世界だけど、冥界に選ばれた断罪者の俺や冥界の番犬であるツバキは特に影響はないんだけど……何故か明日奈も影響ない。

最初は危ないから来るなと言ったがソロモン王の生まれ変わりや72の悪魔を従えている影響なのか分からないけど、すぐに冥界の環境に適応してしまった。

半分呆れながら冥界に建てられた城……『冥界城』に向かった。

そこはハデスの親父とペルセポネの姐さんが住んでいる居城だ。

冥界城へ自分の家に帰るように入った。

「親父、姐さん、ただいまー」

二人は本を読んでいて俺の突然の帰宅に驚いた。

「んぁっ?サクラァ?」

「どうしたの?手紙もなく突然来て……ハッ!?」

姐さんは俺の後ろでツバキを抱き上げている明日奈を見て目を大きく見開いた。

「ハ、ハ、ハデス!つ、つ、遂にこの時が来たようよ!」

「この時ぃ?何のこと……ハッ!?そ、そ、そういうことかぁっ!?」

「はい???」

どうして二人が明日奈を見てテンションが上がっているのか全く分からなかった。

首を傾げる俺と明日奈に親父と姐さんはとんでもない爆弾を投下するのだった。







「サクラが素敵で可愛いお嫁さんを連れてきたわ!!」

「サクラ、かなり可愛い女の子じゃねえかぁ!どうやって付き合ったかじっくり話してもらうぜぇ!」







お嫁さん……誰が……?

お嫁さんということは、女の子だから……つまり……。

「わ、私が、サクラ君のお嫁さんなの……?」

後ろを振り向くと、そこには顔を赤く染めてオロオロしている明日奈がいる。

「……ハッ!?ちょっ、親父!姐さん!いきなり何を言ってるんだ!?明日奈は俺の嫁じゃないぞ!?」

「まあ、アスナさんって言うのね?始めまして、私はペルセポネ。冥界の女王で、サクラのお母さんみたいな存在です」

「そして俺はぁ、サクラの親父で、冥界の王のハデスだぜぇ!」

「えっ、あ、はい!私は霧夜明日奈です!始めまして!!」

「ちょっと待て!自己紹介を始める前に俺の話を聞けぇっ!!」

俺を無視して自己紹介をする親父と姐さんに向かって叫び、明日奈が俺の嫁じゃない事を必死に説明する。

じゃないとこのままだと二人は勘違いしたまま暴走しそうだからな。

「明日奈は俺の嫁じゃない!天聖学園で出来た俺の仲間で、二人に会いたいって言うから連れてきただけだ!!」

「そうなの?じゃあ、明日奈さん。この際だから、うちのサクラと結婚を前提にお付き合いしてみない?絶対にお似合いだと思うけど……」

「お前さんが良いなら、すぐにでも冥界で派手な挙式を挙げてやるぜぇ!!」

ちくしょう!ますます二人の暴走に拝借がかかってやがる!!

「オイコラ!!そこの冥界一のバカ夫婦!明日奈に何変な事を吹き込んでいるんだ!?」

「サクラ!!」

「は、はい!?」

突然、明日奈が怒りの形相を浮かべながら俺に迫ってきた。

「自分のお父さんとお母さんをバカって呼んだらダメ!サクラを愛してくれている二人に失礼だよ!!」

「えっ、あの、その……」

いつもと全く違う雰囲気の明日奈に今度は俺がオロオロし始める。

「分・か・り・ま・し・た・ね?」

「はいっ!わ、分かりましたぁっ!!」

「うん、よろしい♪」

ビシッと敬礼して返事をすると明日奈はようやく笑みを浮かべる。

『『『がうっ!がう、わうーっ!!』』』

足元にいるツバキがラッピングされたプレゼントのリボンを咥えて引っ張る。

忘れる所……俺達が冥界城に来た目的を果たさなきゃな。

俺はクリスマスタウンで作って持ってきたクリスマスプレゼントを持って親父と姐さんの元に向かう。

「親父、姐さん……その、メリークリスマス……」

「「えっ???」」

俺達が用意したクリスマスプレゼントはお菓子が好きな二人のためにたくさんのケーキと親父と姐さんが似合いそうなアクセサリーだ。

「クリスマスって……俺達、冥界の住人だぞ?」

「俺もそう言ったんだけど、明日奈が……」

「確かにクリスマスは神様の生誕を祝う記念日ですが、私達にとって大切な人と過ごす日でもあるのです。国や宗教の違いは確かにありますが、そんな事を考えずにお二人に喜んでもらうためにサクラ君が心を込めてクリスマスケーキを作ったんですよ?」

「サクラがこのケーキを作ったの……?」

「天音と明日奈に手伝ってもらったけどな……」

ケーキ作りはかなり大変だったけど、お菓子作りが上手な天音と明日奈のお陰で立派なケーキを作ることができた。

「クリスマスと言うのは建前で、今日は楽しくパーティーをするのはどうですか?」

「……フッ。そうだなぁ、とてもいい考えだぜぇ!」

「ええ。サクラ、久しぶりに家族水入らずに過ごしましょうね」

明日奈のクリスマスの事をあまり深く考えず、楽しむ提案に親父と姐さんは賛同した。

「あ、あぁ……」

「では、私はこれで失礼します……」

明日奈は一礼をするとそのまま冥界城から出ようとする。

「は?ちょっと待て。明日奈、帰るつもりなのか?」

「うん。一応、ハデスさんとペルセポネさんに挨拶はしたし……サクラ君もプレゼントを無事に渡したからいいかなって……」

「……いないだろ?

「えっ?」

「お前が一緒にクリスマスを過ごす家族……お前は居ないだろ?」

明日奈には家族がいない事を俺は知っている。

始めて出会った時、悪魔を使役した明日奈の力に、原罪の邪眼が発動してしまい、その際に明日奈の過去の一片を見てしまった。

「そっか……サクラ君、知ってたんだ。そうだよ、私には家族がいないよ……」

「何でいないか聞かないが、これだけは言わせろ。明日奈、俺達と一緒にクリスマスを過ごそう」

「えっ?い、良いの……?」

「良いも何も、俺は最初からそのつもりだ。明日奈、帰りを待つ家族と、帰る場所がないなら、俺の側にいろ」

『『『わうっ!!』』』

ツバキが「俺もいるぞ!」と明日奈に寄りかかり、明日奈はツバキを抱き上げて目尻に涙を浮かべる。

「サクラ君、ツバキ……ありがとう」

「ああ」

俺は明日奈の目尻に浮かんだ涙を指で拭い取り、ポンポンと頭を軽く撫でた。

「なあ、サクラよぉ……」

「天然かどうか分からないけど、今の言葉……どうみてもプロポーズにしか聞こえないわ」

「はい……?えっ!?いや、その、あ、明日奈!お、俺はそんなつもりで言ったんじゃなくて……」

二人に言われ、ようやく自分が言ってしまった言葉の重みに気付き、すぐに明日奈に弁明する。

「はははっ。分かっているよ、サクラ君」

「そ、そうか……」

「まだ私達は学生だから節操のある清きお付き合いをしてから愛を育み……その後に素敵なシチュエーションでプロポーズをお願いね♪」

「全然分かってない!?ま、待つんだ、明日奈!!お前はとてつもない勘違いをしているぞ!?」

「お嬢ちゃん、うちのサクラを頼むでぇ!」

「何時でもいらっしゃってね。私達はあなたを歓迎するわ!」

「ありがとうございます。ハデスさん!ペルセポネさん!」

「だからお前らは人の話を聞けぇえええええええええええぇえええええええええええっ!!!」

俺の慟哭に似た叫びが冥界城に響き渡るのだった。

その後、明日奈の契約聖獣であるソロモン72柱の悪魔達も呼んで、冥界城で盛大なパーティーを行った。

冥界で人間二人と冥界の王と女王、そしてソロモンの悪魔達がクリスマスパーティーをするという何とも不思議過ぎる光景だったが、明日奈やみんなが楽しそうにパーティーをしているので俺はその事を考えないようにした。



天音&千歳&風音&白蓮&黒蓮&銀羅&鈴音


俺達は天星導志として悪者を退治している璃音兄さんと花音姉さんにクリスマスプレゼントを贈る為、トナカイが引くソリに乗って二人の元に向かっていた。

「ママとパパ、喜んでいたねー」

「ああ。だけど……」

「うん。叔父さんが般若みたいな顔でお兄ちゃんを殺しに来た時は驚いたよ……」

アメリカにいる千歳の両親である千聖さんと悠斗さんに千歳がクリスマスプレゼントを贈った。

だけど、贈ったのはいいが、俺にべったりとくっついている千歳と風音を見て嫉妬したのか、般若のような怒りの形相を浮かべて烏天狗の朧と契約執行したアーティファクト・ギア、黒輪烏丸を手に俺を殺す気で襲いかかってきた。

あまりの迫力に俺は逃げるしかなかったが千聖さんがフライパンで悠斗さんを撲殺するような勢いで後頭部を殴り倒し、撃沈させた。

「千聖さん、凄かったな……」

「お母さんは暴走するお父さんをフライパンでよく撃沈させてきたからね……」

「流石は千歳さんのお母さん……」

うちの母さんといい、千聖さんといい……お母さんはやっぱり強いんだな……。

『ピィー、ピピピ、ピィ』

『『『がう、ががう!』』』

『リーン!リリリ、リン!』

『全く、悠斗は本当に子煩悩だなぁ……時音の方はまだ子煩悩じゃないが……もし風音が嫁に行く時になったらどうなるか分からないな』

親父も何だなんだで風音を溺愛しているからそうなるかもしれないな……まあ、それ以前に風音が俺以外の男を好きになるかどうか分からないが。

「さあ、兄さんと姉さんの元に行こう!」

トナカイとソリに導かれ、兄さんと姉さんのいる場所に向かうとそこは……。

「おお、おう?こ、高級レストラン……?」

二人がいたのは外国の高級ホテルで、その最上階に璃音兄さんと花音姉さんが二人っきりで食事をしていた。

遠くから双眼鏡で覗くと、驚くべき光景があった。

璃音兄さんはタキシードを着用してビシッと決め、花音姉さんは綺麗な黄色のドレスを着用していて、二人は優雅な食事をしていた。

傍から見れば恋人同士が楽しそうに食事をしているようにしか見えなかった。

「花音義姉様……やっぱり璃音義兄様の事を……天音、どうするの?」

千歳に言われてるけど、俺にはどうすることは出来ない。

「……どうするも何も、俺は二人の幸せを願っているから……」

「私もお兄ちゃんとお姉ちゃんが幸せなら……」

「ちょっとお二人さん!?あそこでディナーをしているのは双子の姉弟ですよ!?凄い禁断の関係になりそうですけど良いんですか!?」

珍しく千歳がツッコミを入れているけど……本当に俺達にはどうすることも出来ないからな。

「取り敢えず、このプレゼントはレストランの従業員に頼んで渡してもらうか……」

額に手を添えてためいきをついたあと、紙とペンを用意して二人に向けて簡単な手紙を書く。



璃音&花音


クリスマスの今日、俺は双子の姉である花音を連れて高級レストランに招待し、一緒に美味しい料理に舌鼓を打った。

「どうだ?花音」

「ええ。とっても美味しかったわ」

「そうか。良かった」

「でも、珍しいわね。璃音が私をこんな高級レストランに連れて来るなんてね」

「ま、せっかくのクリスマスだし、日頃世話になっている“花音姉ちゃん”のお礼かな?」

「ふふっ、久しぶりね。璃音が私を姉ちゃんって呼ぶの」

「そうだっけ?」

「そうよ。確か、父さんと母さんが亡くなって、戦うようになってから私を呼び捨てにして来たからね……」

「そう言えば、そうだったな……」

「まあ、今はその事は忘れましょう。せっかく恋人同士みたいにクリスマスデートを楽しんでいるからね♪」

「はっ?恋人同士?クリスマスデート?」

花音……姉ちゃんは一体何を言っているんだ?と耳を疑う俺だった。

「だって、今の私達は姉弟というより、恋人同士みたいに見えるわよ?」

姉ちゃんはテーブルに膝をついてニッコリと笑みを浮かべながらそう言った。

いやいや、お姉様、ちょっと待ってくださいな。

「オイオイ、冗談だろ?俺なんかじゃ姉ちゃんに相応しくねえよ」

「あら?それはどういう意味?」

「……姉ちゃんはハッキリ言って美人だし、スタイルが良いから俺には勿体無ぇよ」

「あら?嬉しい事を言ってくれりじゃない。でも、私個人としては璃音で充分だけどね♪」

何かがおかしい……。

まるで俺を誘っているかのような普段の姉ちゃんからは考えられない数々の意味深な発言……。

「……姉ちゃん、もしかして酔ってる?」

姉ちゃんはアルコールには強いはずだけど、今日頼んだシャンパンのアルコールが高かったのか?

化粧で隠されているけど、ほんのり顔が赤くなっているような……。

「璃音、そう言えばあんたは恋人を作らないの〜?」

「いきなり過ぎだ。俺は恋人を作るつもりはねぇし、その言葉をそのままそっくり姉ちゃんに返すぞ」

「だったら、姉ちゃんが璃音の恋人になってあげようか〜?」

「姉ちゃん、ホテルに行こうか。酔ってるなら今すぐ寝ろ」

やっぱり姉ちゃんは酔っ払っている。

早く予約してあるホテルに連れて行って寝かせないと……。

「な〜にぃ〜?ホテルに連れ込んで眠っている私の純潔を奪うのぉ〜?」

おいこら姉ちゃん、双子の弟にそんな事を言うな。

「ダメだこれ。この酔っ払いを何とかしないと……」

「失礼します、お客様」

「んぁ?」

突然このレストランのウェイターに声をかけられ、手紙を差し出された。

「先程、お客様の弟様からこれを預かりました」

「弟?天音か?」

ウェイターから手紙を受け取り、すぐに読んだ。

『璃音兄さん、花音姉さん。メリークリスマス。直接会って渡したかったけど、俺達のクリスマスプレゼントを二人に贈ります。by天音』

「クリスマスプレゼント?」

「あちらにお客様へのプレゼントを預かっております」

「あ、はい。どうも」

クリスマスプレゼントの存在を確認し、手紙の続きを読む。

『お兄ちゃん、お姉ちゃんをエスコートしなくちゃダメだよ?私、二人の仲を応援しています!メリークリスマス!by風音』

風音ちゃん、俺達の仲を応援するって……何か勘違いされているな。

『璃音義兄様、花音義姉様。二人は双子の姉弟ですけど、天音と風音ちゃんが応援するなら私も全力で応援します!幸せになってください。メリークリスマス!by千歳』

ち、千歳ちゃんまで勘違いを……これは正月に蓮宮神社に帰って三人に誤解だということを説明しないとな。

「へぇー、天音達が応援してくれるんだ……ねぇ、璃音。どうする?」

背後に現れ、後ろから俺に抱きつきながら手紙を見る姉ちゃん……って、止めてくれ、姉ちゃん!

あんたのそのデカイ胸が背中に当たってるから!!

巨体の轟牙のような俺の不屈の理性が今にも崩壊しそうだから!!

「は、離れろって、姉ちゃん!」

「璃音〜。私、酔っちゃって動けないから負んぶして〜」

「はぁ?」

「ねぇ、負んぶ〜!負んぶ〜!」

「ああ、もう!分かったから静かにしろ!」

「わーい!」

「ったく……」

俺はすぐにレストランの会計を支払い、天音達のクリスマスプレゼントを顕現陣に仕舞うと、仕方なく酔っ払って子供みたいになっている姉ちゃんを負んぶする。

俺自身が鍛えているのもあるけど、負んぶした姉ちゃんは意外に軽く、そんなには辛くはなかった。

「璃音の背中、とっても温かいよ……」

「そうか。とにかく、姉ちゃんは寝てろよ。酔っ払っているんだから」

「……ホテルで眠っている私を襲ってもいいからね」

「襲わねーよ、馬鹿」

「もう……璃音のいけず……」

その言葉を最後に姉ちゃんはゆっくりと俺の背中で眠って行った。

ったく、手のかかる姉ちゃんだな。

たまに本当に姉なのか疑いたくなるぜ。

まあ、そこもまた可愛いんだけどな……。

そう思いながら俺は姉ちゃんを起こさないようにしながらホテルに向かった。



璃音兄さんと花音姉さんにプレゼントを贈り終えると、俺達はすぐに蓮宮神社に戻った。

ソリから蓮宮神社に降りると、俺達を乗せてってくれたトナカイ達は休まずにそのままクリスマスタウンへ帰って行った。

「じゃーな!」

「ありがとう!」

「元気でねー!」

手を振りながらトナカイ達が見えなくなるまで見送った。

「さて……クリスマスパーティーを……」

「天音!」

「お兄ちゃん!」

「えっ?」

千歳と風音が俺にグイッと近づいて来た。

「「私とクリスマスデートをしましょう!!」」

あ、はい、それですか。

クリスマスタウンに行ったり、ブラックサンタと戦ったりしてすっかり忘れていたけど、クリスマスデートに誘われていたんだよな。

しかも二人だけじゃなくて、後もう一人……。

「アマネ!!」

「セ、セシリア……?」

サンタさんからプレゼントを預かり、サンタさんの代わりにイギリス中の子供達にプレゼントを配っていたセシリアが戻ってきた。

セシリアはラッピングされたプレゼントを俺に渡してきた。

「メリークリスマス、アマネ」

「え?ありがとう、セシリア。あ、ごめん……セシリアにプレゼントを用意してなくて……」

「別にいいぜ。アマネが俺にキスしてくれるなら……」

「「ダメェッ!!」」

俺にキスしようとしたセシリアに千歳と風音がそれを阻んだ。

「ちぇ……まあ、アマネのプレゼントはもう貰ったから良いぜ」

セシリアはクリスマスタウンで俺が作ったたくさんのケーキの内の一つを取り出した。

「この素敵なケーキはみんなと一緒に食べるぜ。それから、クリスマスデートの話は……今回は諦めるぜ。アルティナやシスター、騎士達や子供達と一緒にクリスマスを過ごすからな」

「そうか。みんなによろしくな」

「ああ!じゃあな、アマネ!愛しているぜ!」

セシリアは元気良く挨拶をすると、境界輪廻を使って蓮宮神社からイギリスに帰って行った。

「ふぅー、寝取り騎士王はようやく帰ったか……」

「これで残るは千歳さんと私……」

千歳と風音は俺とのクリスマスデートを巡り、火花を散らしながらスッと顕現陣から武器を取り出そうとしている。

全くこの二人は……。

「千歳、風音。無益な戦いは止めなさい」

「じゃあ、天音が選んでよ!私と風音ちゃん、どっちとクリスマスデートをするのか!」

「そうだよ!お兄ちゃんが選んで!!」

「阿呆」

バシッ!!

「「痛っ!?」」

両手で二人の頭を同時にチョップした。

「もう!何するのよ天音!」

「痛いよ、お兄ちゃん!」

「やかましい。今日は俺のわがままに付き合ってもらうぞ」

「えっ?天音のわがまま……?」

「お兄ちゃんが……?」

「いつもいつも俺はみんなに巻き込まれて振り回されているけど、今日はみんなで楽しく過ごしたいんだ。今年は色々な事があり過ぎて、何時死んでもおかしくないことがあった……」

聖霊狩りの瑪瑙、イギリスでのドラゴン、暴走した風音、京都での金羅や妖怪達……本当に色々な戦いを繰り返し、心の中で何度も死ぬかと思った。

でも、俺達は今ここにちゃんと生きている。

「だからこそ、クリスマスに家族で一緒に楽しく過ごしたいんだ。デートならいつでもしてやるから今日は俺のわがままに付き合ってくれないか?」

「天音……うん、分かったよ!」

「りょーかいです、お兄ちゃん!」

二人は俺のわがままに快く了解してくれて、蓮宮神社でクリスマスパーティーを行うことになった。

「ありがとう。それじゃあ、みんなにクリスマスプレゼントを贈りましょうか」

顕現陣からみんなのクリスマスプレゼントを取り出して贈る。

「千歳と風音には……これだ」

千歳と風音の首に俺が用意したクリスマスプレゼントを付ける。

「これ、銀羅と金羅のペンダント?」

「こっちは鈴音のペンダント?」

千歳には銀羅と金羅の形を模した二人の九尾の妖狐が絡み合うような形をしたペンダントで、風音には鈴音の形を模した応龍のペンダントだ。

「うわぁ、可愛い〜。天音、ありがとう!」

「ありがとう!ずっと大切にするね、お兄ちゃん!」

「ああ。次は白蓮、黒蓮、銀羅、鈴音だ」

『ピピピィー!?』

『『『がうぅ!?』』』

『私達にもあるのか!?』

『リリーン!?』

白蓮達にもプレゼントを用意していると言うと、とても驚いていた。

「白蓮には新しいバスケットの寝床。黒蓮には牛皮のガム。銀羅には髪飾り。鈴音にはボードゲームだ」

白蓮が今使っているバスケットの寝床は白蓮が成長して少しずつ大きくなっているので新しいバスケット。

黒蓮は歯を丈夫にしてストレスを解消させるために大きな牛皮のガム。

銀羅は擬人化した状態でも似合う狐をモチーフにした髪飾り。

鈴音は最近暇つぶしに始めた囲碁や将棋にハマっていると聞いたので色々なボードゲームが入っているオモチャだ。

『ピィー♪』

『『『わうっ!』』』

『ありがとう、旦那!』

『リリリーン♪』

用意したクリスマスプレゼントにみんな喜んでくれて良かった。

選んだ甲斐があった……あれ?

顔に小さな冷たい物が当たるのを感じ、上を見上げると……。

「あっ……雪だ」

いつの間にか夜空を雲が覆い、空から雪が降り出してきた。

「みんな、あれを見て!」

すると、千歳が雲の中から何かを見つけた。

それは……クリスマスに子供達に希望を届ける一人の老人とそれを手伝うトナカイ達だった。

「ホゥホゥホゥ。メリークリスマス!!!」

サンタさんは俺達に向かって手を振り、世界中の子供達にプレゼントを贈りに向かった。

「ホワイトクリスマス……サンタさんからのクリスマスプレゼントだな」

「綺麗……素敵なクリスマスね」

「明日には積もるからみんなで雪遊びをしようね!」

「そうだな。あ……そうだそうだ、忘れるところだった」

俺は顕現陣からカボチャの形をした指輪を取り出して左手の指にはめる。

「ジャック!」

『あん?何だよ、天音』

指輪からハロウィンキングのジャックが現れる。

「これからみんなでクリスマスパーティーをするんだ。一緒に参加しないか?」

『良いのか?』

「いいに決まっているよ。ブラックサンタのアジトを見つけてくれたし、何よりもお前は俺の契約聖獣だからな」

『天音……分かった。ハロウィンキングだが、契約者のお言葉に甘えてクリスマスパーティーに参加するぜ』

「よし!じゃあ、すぐにクリスマスパーティーを始めよう!!」

「「おーっ!!」」

『ピィー!』

『『『がうぅ!』』』

『ああ!』

『リーン!』

こうして俺達はとても貴重な体験をしたクリスマスとなった。

そして、クリスマスに大切な家族と一緒にいられるこの時を俺は大きな幸福を感じた。

いつまでもこの幸福が続くことを願いながらクリスマスを過ごした。



アリス&ゼクス


クリスマスタウンから戻った私は愛しの蓮姫がいる蓮宮神社に行こうとしたが、その前にやることがあった。

「行くのね、ゼクス」

「はい、お世話になりました。みんなによろしく言っておいてください」

キリストの生まれ変わりのゼクスは天音たちに別れを告げず、相棒のレオンと一緒に旅立っていた。

ゼクスはキリストの生まれ変わりとして、世界中を旅し……困っている人を助ける、人助けの旅をしている。

本来なら天聖学園みたいな高校で勉強すべき歳だが、ゼクスは人助けの旅をする道を選んだ。

「あ、そうだ……アリス殿。一つ小耳に挟んだ情報をお伝えします」

「何かしら?」

「近い将来、大戦の元凶である“混沌の始祖”が目覚めるそうです。そして、裏で“十二使徒”が動いているそうです」

「そう……分かったわ。何か分かったら教えてね」

「はい。それでは」

ゼクスからの不吉な情報に私は大きなため息を吐いた。

また、あのような大戦が始まってしまうのかと思いながら暗い顔をすると、後ろから音もなく突然誰かが抱きついてきた。

「ア〜リス〜♪」

「蓮姫……」

私を迎えに来た蓮姫が私の背中に抱きついて、そのまま私を包み込むように優しく抱き締める。

「何くらい顔をしている?」

「ちょっとね、大したことはないわ」

「そうか。なら、早く蓮宮神社に行くぞ。今日は“栗巣鱒”だからな!」

「ふふっ……そうね、じゃあ行きましょうか」

「ああ!今日は天音や六花の作ったご馳走がたくさんあるからな!」

私は混沌の始祖や十二使徒の事を忘れ、蓮姫と一緒にみんなでクリスマスを過ごすために蓮宮神社に向かった。






如何でしたか?


アーティファクト・ギア風のクリスマスは?


次はお正月小説で、天音×千歳の甘々にしようと思います。

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