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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第7章 千年京都編
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第92話 帰り道

これで京都編が終了となります。

京都の戦いが終わり、修学旅行が終わった私達は帰りの新幹線の中にいた。

みんなは旅行と戦いで疲れ、一言も喋らずに眠っていた。

私の隣に座っている天音は白蓮ちゃんと黒蓮ちゃんを膝に乗せてスヤスヤと眠っている。

銀羅は九尾の妖狐の本来の力である変化の力を取り戻し、白蓮ちゃん達みたいに小さな姿になって私の膝に乗って眠っている。

私は新幹線の窓から見える次々と変わる風景を見ながら戦いの後に起きた出来事を思い出していた。



酒呑童子を倒し、妖魔城を封印した後に私達は今回の戦いでお世話になった新選組のみんなに御礼と金羅について報告した。

もう危険はない金羅だが、新選組のみんなは困惑していて副局長の土方さんは私に刀を向けた。

「たとえ危険が無くなったとしても、総詩を死に追いやろうとした事実はなくならない……私は金羅を許すことは出来ない。今すぐ金羅の首を差し出せ!!」

土方さんはいつも喧嘩しているが実の妹のように大切に思っている総詩に深手を負わせた金羅を許せないらしく、私の中にいる金羅を殺そうとした。

そんな事はさせないと天音たちが庇う中、土方さんを止めたのは局長の近藤さんだった。

「歳光、気持ちは分かるが金羅を殺すのだけはやめないか?」

「何を言っているんですか、近藤さん!」

「金羅は契約聖獣となってもう二度と悪さをしないと千歳に約束したからそれで良いじゃないか。それに、これ以上憎しみを生み出す必要は無いんじゃないか?この戦は俺達人間の祖先が金羅の母親を殺さなければ起こらなかったかもしれないんだからな」

「それは、そうですが……」

「憎しみは憎しみしか生まないのはお前もよく分かっているだろ?だから、金羅を赦すんだ。総詩もそれで良いか?」

近藤さんに言われ、金羅に殺されかけた総詩は笑みを浮かんで頷いた。

「僕はいいですよ〜。でも、千歳さんに一つお願いがあります!」

「お願い?」

金羅を赦す代わりに総詩が示すお願いに私は首を傾げる。

「はい!今年の十二月に行われる戦神極祭で……僕と真剣勝負をしてください!!」

「ええっ!?戦神極祭で私が総詩と真剣勝負!??」

新選組最強にして天才剣士と言われている沖田総詩から直々に真剣勝負を挑まれるなんて夢にも思っていなかったので私はとても驚いてしまった。

「私は新選組で最強と言われていて自分の心の何処か天狗になっていました。でも、金羅に私の力は通じず初めて大敗を味わいました……ですから、戦神極祭まで今よりも、もっと強くなりますから、是非とも私と戦ってください!!」

「ええっと……」

どうしたらいいか分からず混乱していると、頭の中に金羅の声が響いた。

『いいんじゃないか?この娘の要望に応えても。私としてはお前や銀羅ともっと一緒に戦いたいからな』

(分かったわ……金羅がそう言うならね)

「総詩、その申し出をお引き受けいたします!」

「本当ですか!?では、戦神極祭を楽しみにしていますからね!!」

「こちらこそ!!」

私と総詩は握手をして十二月の戦神極祭で全力で共に戦うことを約束しあった。



新選組と話をつけた後は晴香と話をした。

晴香は真っ先に私と銀羅に頭を下げて謝った。

「ごめんなさい。私の勘違いであなた達を傷つけようとして」

「もう良いわよ。晴香の占いはあながち間違ってなかったからね」

『ああ、姉上と私は双子の姉妹だからな。勘違いをして当然だ』

「……金羅はまだお前の中に?」

「ええ。私の中で生き続けているわ。体を再生させて妖力を取り戻すのに時間が掛かるみたいだからね」

「それから……本当にもう、金羅は人間を滅ぼすつもりはないんだな?」

晴香が確認のために聞くと……。

『心配するな、陰陽師よ』

金羅の声が今度は晴香にも聞こえるように響いた。

『まだ人間を赦した訳ではないが、私は千歳と銀羅、そして母上と一緒に生きると決めた……もう身勝手な事はするつもりはない』

「……分かったわ。あなたの言葉を信じるよ」

「それじゃあ、はい」

私は晴香に向けて手を差し伸べた。

「これは……?」

「もう、私達の間にわだかまりはないから、私と友達にならない?私は結構晴香の事を気に入っているからね」

私はこの修学旅行が終わるまでに晴香と仲良くなろうとずっと考えていた。

「私は……面倒な女だぞ?」

「なら尚更友達にしなくちゃね。私も結構面倒な女だからね」

「……天音といい、お前といい……東には本当不思議な奴がいるんだな」

呆れるように言う晴香はようやく笑顔を見せて私の差し伸べた手を握ってくれた。

「じゃあ今からあなたの事を“はるちゃん”って呼ばさせてもらうね!」

「は、はるちゃん!?」

『ぶふっ!?』

晴香にあだ名をつけてそう呼ぶと、はるちゃんは驚き、後ろにいた十二天将達は噴き出して笑いを堪えていた。

「や、止めろ!はるちゃんなんて恥ずかしい!!それから十二天将!!何笑っているの!?」

私や天音達も一緒に笑い、晴香は顔を真っ赤にしていた。

その後、私達は今回の戦いで協力してくれた貴船神社の祭神・淤加美神様に会いに行った。

淤加美神様が晴香に協力する代わりに約束として天音に美味しい料理を作って欲しいと言ってきたので天音は仕方なく宇迦之御魂神様の時と同じように料理を作って淤加美神様を満足させた。

何だが天音の料理のファンが着実に広がっているからちょっと不安になっていく。

ちなみに淤加美神様は実は水神だけじゃなく縁結びの女神様でもあるので、私達女子組は大切な人とずっと一緒にいられるように縁結びの絵馬を書いて貴船神社に飾った。

明日奈委員長は誰に書いたのか教えてくれなかったけど……アリス先生だけはそれを知っているみたいでニヤニヤしていた。



淤加美神様の用事が終わると私達は天聖学園の先生やクラスメイトのみんなと合流した。

この時に知ったんだけど、クラスメイトのみんなは天音達に協力してくれて、一緒に京都で妖怪達相手に戦ってくれていた。

私はせっかくの修学旅行が一日潰してしまって申し訳ない気持ちになり頭を下げて謝ったが、事情はある程度聞いていたみたいで、みんなは無事でよかったと言ってくれた。

そして、関東校にいる学園長のおじいちゃんの計らいでもう一日京都で過ごすことが出来るようになり、私達は風音ちゃんと蓮姫様、璃音義兄様と花音義姉様、アリス先生と雫先輩や迅先輩、そしてセシリアと英国騎士団のみんなと一緒に京都を楽しむことにした。

日が暮れるまで私達は京都を楽しむと、京都駅に集合した。

天音の援軍に来ていた風音ちゃんと蓮姫様はアリス先生の転移魔法で蓮宮神社に帰して、セシリア達はたっぷり京都を楽しみまくりながらイギリスに帰り、雫先輩と迅先輩はアリス先生と一緒に一足先に関東校に帰った。

私達修学旅行生はちょっと予定が狂ったけど、新幹線で京都から関東に帰ることになった。

見送りには新選組のみんな、晴香と十二天将が来てくれた。

「天音よ!」

「何だ、勇刀?」

「今年の戦神極祭……千歳と一緒に参加してくれよ」

「え?えぇっ?な、何でだよ?」

「決まっているだろ。お前と戦いたいからだ!!」

何と近藤さんは総詩が私にした時と同じように天音に宣戦布告をしてきた。

「で、でも、まだ俺が選手に選ばれた訳じゃないし……」

「天音なら絶対に戦神極祭の代表選手になれるはずだ!楽しみにしているからな!!」

「ちょっ、ええーっ!?」

天音は近藤さんの宣戦布告に驚き、やっぱり天音は何時でも何処でも何らかのトラブルに巻き込まれるんだなと思う私達だった。

「天音、戦神極祭に参加するの?」

はるちゃんは天音に確認するかのように尋ねてきた。

「いや、まだ分からないし……」

「もし参加するなら、一つ聞いて欲しい名前がある」

「誰のことだ?」

「私の知る限り、蓮宮は東でも屈指の実力を持つ術者の一族だと思う」

「あ、ああ。ありがとう」

「でも、西には……この京都に近い三重にある、蓮宮に匹敵する力を持つ術者の一族が存在する」

蓮宮に匹敵する術者の一族の存在に天音は珍しく興味を持ったように尋ねた。

「……それはどんな一族なんだ?」

「それは伊勢神宮に住まい、神の力を持つと言われる“神宮一族”……そして現当主の名前は“神宮叢雲かみやむらくも”だ」

「神宮、叢雲……?」

「戦神極祭で、神宮叢雲と天音が対峙するかもしれないな……」

「そうか……ありがとうな、教えてくれて」

はるちゃんの口から語られたまだ見ぬ日本に住む大きな存在……神宮叢雲に天音は何故か興奮しているように見えた。

もしかして、天音はその神宮叢雲と一度戦って見たいのかな……?

私は敢えてその事を天音には聞かず、私達は京都で出会ったみんなと別れの挨拶をして新幹線に乗った。

長いようで短かった修学旅行も終わり、私は天聖学園・関東校に帰るが帰ってもまだ騒がしくも楽しい日々が待っている。

新幹線からの風景を楽しんでいた私もウトウトし始め、肩を貸している天音に頭を預けて私も目を閉じて眠りについた……。



side???


京都から離れた三重にある神社にて髪が長く、神子装束に身を包んだ一人の少年が夜空を見上げていた。

そこに背後から一人の少女が近づいてきた。

「……晴香か?」

「ええ、久振り……叢雲」

少女は安倍晴香で、少年は西の地方で屈指の術者の一族である神宮一族の現当主、神宮叢雲だった。

二人は実は知り合いでこうして偶に会っているのだ。

「聞いたぞ。京都は大変だったらしいじゃないか」

「うん、まぁね……何とか被害を出さずに済んだけど」

「すまなかったな、助けに行けなくて……」

「そう言って……あなたは妖怪達から京都を影から守っていたのを知っているんだからね」

「ばれてしまったか……お前が心配だったからな」

叢雲は影ながら妖怪達から京都を守るためには奮闘していたのだ。

「そう言えば、強かったな……東から来た術者達は。特に髪の長い剣士と、九尾を肉体に宿した銃士が」

「剣士の方は蓮宮天音で、銃士は天堂千歳だよ」

「蓮宮か……これも運命なのかな?」

「戦神極祭……私の占いではそこであなたと天音が戦うかもしれないよ」

「ふふふ、楽しみだな……お前はどう思う?」

叢雲の隣に一人の女性が座る。

それは煌びやかな和風の衣装に身を包んだ絶世の美女だった。

美女はただ微笑んで叢雲に寄り添った。

それは、叢雲の契約聖獣で、日本の太陽神と言われる偉大な神。

その名は……。







『天照大御神』







そして、天音と叢雲の道が交わるのは数ヶ月後の十二月……戦神極祭の時。





次回は体育祭編か、日常の話を数話書くかもしれません。


一応ネタとしては天音が千歳と一緒に千歳の両親に会うとかです。


もし何か書いて欲しい日常のネタがあったら書き込みお願いします。


もし書けるとしたら採用されるかもしれませんので。

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