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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第7章 千年京都編
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第89話 掴んだその手

活動報告にも書きましたが、携帯電話をiphoneに機種変更したので執筆スピードがかなり低下しました。

これから更新スピードがかなり遅くなります。

すいませんです。

はっきりと金羅のものにならないと断ると、金羅は執着心を剥き出しにしながら俺ばかりを狙ってきた。

『超銃変化、“シューティングライフル”!!』

無幻九尾銃は遠距離型狙撃銃のスナイパーライフルの形となり、スナイパーゴーグルで覗きながら撃つ精密射撃で俺の足を狙っていく。

昨日と同じく俺の足を動けなくしたいらしい。

「そう簡単に撃たれてたまるか!」

霊煌弐式で強化した身体能力を駆使して走り、金羅の精密射撃をかわしていく。

『ふふふ……いつまで避けられるかなぁ?力尽きたところを狙い撃ち、動けなくして天音を私だけのものにしてやる!!』

「……もしかしなくても……千歳の影響を受けてらっしゃる?」

これが素の性格かどうか分からないけど、千歳の肉体と契約していることで千歳のヤンデレが影響し出ている?

そうなるとますます厄介だ。

金羅の暴虐非道の性格に千歳のヤンデレ要素が加わったらもう最強じゃないか!?

しかも俺を執着して狙っている割には他のみんなに対する攻撃配分はちゃんとしっかりしている。

銀羅が宿っている無幻九尾銃の能力が凄いのか、あるいは金羅の九尾の妖狐としての能力が凄いのか分からないけど……ここまで恐ろしい強敵はなかなか無いだろう。

だけど、いつまでも避け続けるわけにはいかない、ここは思いっきり攻めてみるか!

「蓮宮流、裂空鳳凰紅蓮撃!!」

妖魔城の壁を踏み台にして足に力を込め、鳳凰剣零式と冥覇獣王剣を前に突きだし、二つの大剣から紅と黒の炎を放出しながら全身に纏って突撃した。

『返り討ちにしてやる!超銃変化、“フレイムミサイル”!!』

無幻九尾銃が今度は複数のミサイルランチャーとなって、妖炎弾のミサイルが四つ同時に発射された。

おいおい、ミサイルにも変化出来るってどれだけだよ!?

「天音!そのまま突っ込め!!」

「璃音兄さん!?」

璃音兄さんは先程金羅に向かって放った巨大な氷解を持ち上げると、霊力を纏った拳で殴って粉砕した。

「蓮宮流……」

砕いた氷解の残骸を霊力で宙に浮かせ、霊皇氷帝剣を振り下ろすと一斉に発射される。

「氷弾乱舞!!」

弾丸の如く発射された氷弾は一直線でなく、ミサイルに向かって飛んだ。

氷弾はミサイルに着弾すると、一度に全て爆発して俺に当たることはなかった。

「よし!!」

俺は減速せずにそのまま金羅に向かって特攻していく。

『……超銃変化、ストライクブレード!!』

「なっ!?」

金羅は無幻九尾銃をミサイルランチャーからリボルバー拳銃と剣を合体させたストライクブレードを肩に担ぐように構える。

『蓮宮流……』

ま、まさか……!?

ストライクブレードのトリガーを何度も引き、妖炎弾の熱エネルギーが刃に充填されていく。

『妖炎剣撃・紅蓮裂刃!!』

千歳が見様見真似で一度俺に向かって放った紅蓮裂刃が再び俺に向けられた。

しかも今度は銀羅と金羅の妖力が加わったので、より強力な炎の一撃となる。

そして、俺の裂空鳳凰紅蓮撃と金羅の紅蓮裂刃が激突し、幾つもの炎の色が混じり合う爆発が起きる。

「くっ!?」

『うっ……討ち滅ぼせ!』

金羅はストライクブレードを左手に持ち替えて空いた右手を高く掲げると、その手には金色に輝き九つの叉を持つ剣が姿を現す。

「九魔之魔剣!?」

『まずはお前からだ、天音!!』

妖力を込めた九魔之魔剣を金羅が振り下ろそうとしたその時、

「角端黒蓮陣!!」

花音姉さんの声と共に黒い触手が現れて金羅の体を縛る。

『何だ、これは!?うくっ……力が、吸い取られて……』

花音姉さんと流星が作り出した冥界の触手によって金羅を縛ると同時に力を奪っていき、振り下ろそうとした九魔之魔剣は振り下ろされることなく、金羅の手からすり抜けるように落ちて床に突き刺さる。

「風音ちゃん!蓮姫様!」

花音姉さんが呼ぶと、風音と蓮姫様が神龍双覇と蓮音に霊力を纏わせながら走り出す。

「行きます、師匠!」

「ああ、思いっきり行くぞ!!」

纏わせた霊力が五百年前に蓮姫様が偶然生み出した人を守り、魔を破壊するための力……破魔を発動させた。

「「蓮宮流剣術弐式奥義!!!」」

二人は二つの刀を俺と白蓮の鳳凰光翼剣のように重ねて、一つの光り輝くの刀にした。

「闇を祓いたまえ、聖なる破魔の光!!」

「双頭の龍となりて、闇を貫け!!」

そして、二人が振り下ろした光の刀から応龍の鈴音の姿を模した光の龍が二匹現れる。

「「破魔・双龍聖蓮破!!!」」

『しまっ――』

そして、動けない金羅は口を大きく開けて襲いかかる光の龍の中に呑み込まれた。

『うがあああああああああああーーーっ!!!』

二人の破魔の力が金羅に襲いかかり、断末魔の叫び声をあげた。

急激に金羅の妖力が消えていくのを感じ、初めて金羅にダメージを与え、千歳と金羅を救う大きな第一歩を踏み出せた。

そして、光の龍が消えると、体中から煙を出して倒れている金羅の姿があった。

『うぐっ……おの、れぇっ……』

金羅は床に突き刺さった九魔之魔剣を呼び寄せて杖代わりにしながら立ち上がった。

『私が、ここまで追い込まれるとは……“四霊”が揃っているだけの事はあるか……』

「四霊?」

それはもしかして……白蓮達のことを言っているのか?

だけど、『四霊』って一体何のことなんだ?

『知らないなら教えてやる……』

金羅はそう言うとまず璃音兄さんを指さす。

『吉凶の霊亀……』

次に花音姉さん。

『信義の麒麟……』

その次に風音。

『変化の応龍……』

最後に俺。

『そして、平安の鳳凰……霊妙な力を持つ四体の聖獣を指す。四霊を集めた者は強大な力を持つ王となる事が出来る……』

璃音兄さんの霊亀の轟牙、花音姉さんの麒麟の流星、風音の応龍の鈴音、そして俺の鳳凰の白蓮……この四人の聖獣を手にすれば凄い王様になるのか。

俺は知らなかったが、みんなも知らない様子で自分の契約聖獣が宿るアーティファクト・ギアを見た。

『お前達、どうやら血の繋がった者同士だが、この世界を統べる王にでもなるつもりか?』

「「「「無い」」」」

キッパリと俺達蓮宮四兄弟姉妹は声を揃えてそう言った。

『ほう……王になれる力がありながら王にはならないか』

「俺なんかに王になれる器なんかねーよ」

「私は今の人生に満足しているから必要ないわ」

「王様になるよりも私はお兄ちゃんと結婚したい!」

「風音、その話はまた後でな。俺はのんびりと過ごしたいから王様なんて面倒な仕事は断る。それにただでさえ呪われている俺が王様になんかなったらすぐに国が滅びるわ」

こんな感じで特に俺達に大きな欲はない。

すると、蓮姫様が話を終わらせるように蓮音を構え直す。

「お喋りはその辺にしてさっさと続けるわよ。危ない感じもしてきたし……」

蓮姫様が言う危ない感じとはこの妖魔城に侵入した時から感じる金羅とは全く違う異質な妖気の事だろう。

それが少しずつ大きくなっている。

一刻も早く金羅から千歳を救い出してこの妖気の正体を調べないとならない。

「すぅー、はぁー……よし」

俺は息を大きく吸ってから吐き、鳳凰剣零式と冥覇獣王剣を強く握り直して構えた。



千歳side


「さてと……これからどうしょうかな?」

この精神世界からどうやって私の肉体を支配している金羅にアクセスするか銀羅と天羅の二人と一緒に相談した。

『千年近くも力を蓄えてきた金羅の力は凄まじい。奴の力が少しでも弱まれば何とかなると思うが……』

『だが、それ以前に千歳と金羅が契約で結ばれてしまっている。それを断ち切ることが出来なければ肉体を取り戻すことは不可能だ』

「うーむ、前途多難ね……」

これも天羅の魂を持って産まれてきた運命だったのかな……?

だけど、大変な運命を背負って生きてきたのは産まれた時から。

「Break the Fate……私に降りかかる災厄な運命はぶっ壊すだけよ!」

私が一番大好きな台詞を言いながら絶対に何か手があると考えると……。

ピシッ!!パリィッ!!

精神世界の空(?)に大きな亀裂が入った。

「What!?な、何事!?」

『千歳、亀裂の裂け目を見ろ!』

銀羅の尻尾が指すように亀裂の裂け目をよく見ると……。

「あ、天音!?」

亀裂の裂け目には天音の姿が映っていた。

しかも天音だけじゃない、風音ちゃん、璃音義兄様、花音義姉様、そして蓮姫様も映っていた。

『それじゃあ今は旦那達と戦っているのか!?』

『そうなると、あの亀裂は金羅が千歳の目から見ている景色なのか?』

どうしてあの亀裂が起きたのか分からないけど、天音達が何かをしたに違いない。

でも私はそれよりも気になることがあった。

「それにしても……」

『『それにしても?』』




「天音、超カッコイイ〜!!!」




ズササササァーッ!!!

私が天音の姿を見てそう叫ぶと、銀羅と天羅は派手に地面に向かって撃沈した。

まあ、それはさて置き……亀裂から見られる天音は本当にカッコイイ!!

いつもの御子装束とは全く違う黒の簡単な鎧みたいな服装に、綺麗な紅いコート……今の天音は私が思い描くヒーローそのままの姿だった。

小さい頃から私よりも可愛いと思っていたが、あんなにカッコよくなるなんて……。

「天音、可愛いけど最高にカッコイイ!私だけのヒーロー、王子様!大好き、愛している!今すぐ抱いて〜!!」

ああ、もう、愛しの天音に対する気持ちが溢れてきたよ!

『……銀羅よ、千歳はいつもこんな性格なのか?』

『千歳は生まれた時からの不幸な境遇ゆえ、小さい頃からいつも一緒にいてくれた天音に心底惚れていて愛情表現が大胆なのですよ……』

『私が知っている人間の女性像と全く違うのだが……』

『それは母上が生きていた千年も前の話……今の世に生きる女性は個性豊かなのですよ』

『そうか……』

何だか天羅が黄昏ているけど今はそれを気にしている余裕は無かった。

「よーし、じゃあ早く天音に会いに行こう!!」

『『どうやって……?』』

「えっと……気合で!!」

『それで出来たら苦労はしないだろう……』

『本当にこいつが私の転生した女だと思うと頭が痛い……』

二人が私の事を馬鹿にしている気がするけど、私は進むしかない。

人間を憎んでいる金羅を救うためにも、愛しの天音に会うためにも!!




『あ、そう言えば金羅が天音を狙っているぞ』




銀羅の思い出した一言に私は停止した。

何ですと?金羅が天音を狙っている?

why?何故?

『天音を?何故金羅が狙う?』

『天音は霊力が高くて可愛い顔をしているから、金羅が千歳の体を使って強力な九尾の子どもを産ませようとしているんだ』

『要するに天音の子種が欲しいわけか』

ちょっと待って……天音が欲しい理由はそれ!?

絶対にダメダメ!天音は私の旦那様なんだから!

「銀羅、天羅、何としてでも金羅を止めるわよ!」

『いや、だから……』

「契約執行!」

『はいっ!?』

私がアーティファクト・ギアの契約を執行の言葉を宣言すると、銀羅は私の元へ来て無幻九尾銃となった。

「よし!」

『なんでだぁあああああああっ!?』

「精神世界だから何とかなると思ったのよ!」

私は無幻九尾銃を空に向かって構えた。

精神世界は心の世界……だから私の望んだことが反映される。

想いを力に変えて、金羅に干渉するんだ!

「銀羅、想いの力を解放して!」

『よく分からないが、分かった!』

私と銀羅は心を一つに重ねるようにして合わせると、無意識の内にアーティファクト・フォースが発動される。

『そう言うことか……』

天羅は何かを感じ取ると、体を粒子にして私の中に入り込んで一つとなる。

力が、溢れてくる……今なら何でも出来る気がする!

そうか、これが……この力が……。




「『ギアーズ・オーバードライブ!!!』」




私と銀羅のアーティファクト・ギアの最終奥義である究極の力、『ギアーズ・オーバードライブ』が発動した。

私と無幻九尾銃から銀色の閃光が煌めき、この精神世界の全てを呑み込むように照らした。



始めて金羅にダメージを与え、この調子で戦おうとしたが、

『九魔之魔剣……九重之刃!!!』

九魔之魔剣から放たれる九つの斬撃から回避するのに必死で俺達は回避のチャンスを待った。

早く千歳を助けるために憑依を使って金羅を追い出したかったが、戦いの中で焦りは禁物だ。

『がんばって、ちちうえ』

『『『ガウッ、ガウッ!!』』』

俺の気持ちが両手にあるアーティファクト・ギアに伝わったのか、白蓮と黒蓮が俺を応援してくれた。

ありがとう、二人共。

大切な子供達の応援で俺はまだまだ頑張れる気がする!

『天音、いい加減私のーーぐぁあああっ!?』

突然金羅は苦しみだして体から電気のようなものを発生させた。

「な、何だ!?」

『ば、馬鹿な……お前の魂は閉じ込めて……』

「天音!!!」

金羅の目が金色から黒色に変わり、俺が一番聞きたかった声が部屋に響き渡った。

「千歳……千歳なのか!?」

「うん!そうだよ!待っていて、すぐに金羅を追い出して子供を作ってあげるからね!」

『お前はこんな時に何を言っているんだ!?」

こんな爆弾発言をするのは千歳しかいない!

でも、どうして閉じ込められた意識が出てきたんだ?

『き、貴様……大人しく私に体を寄越せ!!』

「ふざけないで!天音は私と結婚してたくさん子供を産んであげるんだから!!」

『ええい、天音は私と九尾の子供を産むのだ!邪魔するな!!』

「そっちこそ邪魔しないでよ!!」

千歳と金羅の意識が千歳の体で激しく入れ替わりながら主導権を奪い合う。

何とも不思議な光景だったが、このまま放置するわけにはいかない。

「千歳!お前から金羅を追い出す!そのまま金羅を抑えられるか!?」

「が、頑張ってみるけど、ちょっと難しいかも!!」

『私を、追い出すだと?ふざけ、るな!』

「ああ、もう邪魔しないでよぉっ!!」

千歳と金羅が相変わらず意識が入れ替わり、今近づいたら危険な気がする。

どうするか悩んでいると、風音が天装衣を握って言う。

「お兄ちゃん、愛だよ!」

「えっ?あ、愛!?」

「愛の言葉で千歳さんをパワーアップさせるんだよ!」

「そうだ!やるんだ、天音!」

「女の子は愛でパワーアップする存在なのよ!」

「とりあえず駄目元でやってみなさい!」

みんなが他人事のように言うけど、何を言えば良いのか迷った。

普通に愛してるじゃつまらないし効果はあるか分からない。

千歳が喜ぶ言葉は……あっ。

「ち、千歳!!」

「何!?」

「そ、その、戦いが無事に終わって学園に帰ったら……」

「帰ったら!?」

千歳やみんなはドキドキしながら俺の言葉を待っている。

あまり風音達には聞かれたくないけど、この際は仕方ない。

まさか妖魔城でこんな事を言うとは思わなかったけど、言うしか無い!




「千歳のご両親と学園長のお祖父さんに、挨拶をしに行こう!け、結婚の挨拶を!」




千歳と結婚の約束は誕生日の時にしたけど、海外でアーティファクト・ギアの研究をしている千歳の両親や天聖学園の学園長の厳武お祖父さんにはまだ話していない。

いつかは挨拶しに行かなきゃならないけど早いに越したことはないだろう。

さて、これで千歳の反応は……。

「うぉおおおおおおおおおっ!?天音が、天音がお父さんとお母さんとお祖父ちゃんに結婚の挨拶を!?よっしゃああああああっ!!」

千歳は全身に力を込めて歓喜の雄叫びを上げていた。

うん、大成功みたいだな。

そんなに嬉しかったのかなぁ?

「銀羅、契約解除!天音達の元に行って!」

千歳の手にある無幻九尾銃の契約が解除され、銀羅と契約媒体のレイジングとストリームが床に転がる。

『うっ……や、やっと解放されたのか……』

「銀羅!よし、後は千歳だけだな!千歳、少しだけそのまま金羅を抑えられるか!?」

「No problem!!今の私は神様だって倒せるよ!」

それは流石に強過ぎです。

まあ、何にしてもこれなら行ける!

「千歳、今そっちに行くからな!」

「うん!Welcomeだよ、天音!」

『貴様ら、いい加減にーー』

「あなたは静かにしていなさい!今良いところなんだから!」

あっさり金羅を抑え込みやがった……なんて言うかあれだな、千歳はますます強くなっているな。

昔はあんなにか弱かったのにな……とにかく、今ならこれが使える!

「霊煌捌式!」

霊煌紋から霊力を解放し、鳳凰剣零式と冥覇獣王剣を床に突き刺して千歳の元まで走った。

右手に霊力を込め、金羅を抑えている千歳の心臓がある胸にそっと手を置いた。

「霊煌捌式・憑依!!!」

その瞬間、意識が一瞬にして奪われ

、俺の魂が右手を通じて千歳の中に入り込んだ。

そして、千歳の中に入るとそこには幾つもの大きな亀裂が入った金色の球体みたいなものがあった。

その球体を縛るように金色の鎖が巻かれていた。

「あれか……全霊力解放!!!」

俺自身の魂に宿る霊力を全て解決する。

そして、霊力を一つの形に姿を変えた。

「鳳凰光翼剣……」

巨大な鳳凰の羽根をもした光の剣を霊力で形成して両手で持つ。

「千歳を返してもらうぞ!!」

思いっきり振り下ろし、金色の球体を鎖ごと破壊した。

そして、破壊した球体の中から……。

「天音!!!」

千歳の姿があった。

「千歳!!!」

俺は霊力で形成した鳳凰光翼剣を魂の中にしまい、千歳に向かって手を伸ばした。

千歳も手を伸ばし、一日しか離れていなかったけどまるで何週間も何ヶ月も会っていなかった気分で、お互いに必死に手を伸ばしながらようやく二人の手が重なって握り合い、一つとなった。

その瞬間、俺と千歳は光に包まれて再び意識を失った。

すぐに目を覚ますとそこには花音姉さんに支えられた千歳の姿があった。

俺は璃音兄さんに支えられていて、銀羅や風音達が周りにいた。

「千歳……」

千歳はもう金羅の九尾の妖狐の姿になっておらず、元の黒髪でいつもの姿に戻っていた。

「んっ、んんっ……天音……?」

千歳はゆっくり目を覚まし、寝ぼけながら俺を見つめた。

「おはよう、お寝坊さん」

やっと、千歳を取り戻すことができた。

「天音!!!」

千歳は俺は見るなり抱きついてきた。

いつもの心地よい千歳の温もりと匂いに包み込まれる。

『ははうえ!』

『千歳!』

『『『がうっ!』』』

白蓮、銀羅、黒蓮が千歳に駆け寄り、一瞬に抱き締めた。

「やったな、天音!」

「千歳ちゃんを取り戻したわね!」

「流石はお兄ちゃん!」

「よくやった、十三代目!」

みんなが祝福してくれた。

俺だけじゃ千歳を救い出すことは出来なかった。

「ありがとう、みんな!」

「ところで、金羅はどこ?」

千歳は金羅を探して周りを見渡した。

「金羅はそこだよ」

風音が指差した方角には金羅が倒れていた。

『まさか、私の契約が解かれるなんて……』

「金羅……後はお前だけだ!」

千歳は取り戻した。

後は金羅を倒すだけだ!

そう思ったのもつかの間、千歳は起き上がって俺達に立ち塞がるように両手を広げた。

「ダメーッ!金羅を倒したらダメなの!!」

「千歳!?何で……?」

「だって、金羅は……」

そして、千歳はとんでもない爆弾発言を口にした。




「金羅は、私の娘なんだから!!」




シーン……。

その千歳の一言に場は一瞬で静かになった。

そして、

「「「「「えぇええええええええええええええっ!!!???」」」」」

俺達は目を見開いて絶叫して驚愕した。

ちなみに金羅は、顎が外れるほど口が開いてしまい某然とするのだった。




千歳を取り戻し、次回はいよいよ金羅戦クライマックスです。


そして、いよいよ千歳と銀羅のギアーズ・オーバードライブが見られるかも!?

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