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燕二人  作者: K+
六暦620
16/45

15 術力

 八の月中旬、エンは両親とリィリ共和国に現れた。

 木洩れ日の差す森に、ぱちぱち瞬きする。昼間のこの国は、初めてだ。

 父はエンを腕に腰かけさせたまま、母の手を引いて木々の合間を歩く。すぐに、医療所のとんがり屋根が見えてきた。

 母が入口の扉を叩くと、どうぞ開いてます、とハイ・エストの声が聞こえてきた。

「こんにちは」

 母が綺麗な声で挨拶しながら戸を開ける間に、父はエンを地面に下ろす。

 奥から出て来た白金の髪のハイ・エストが、いらっしゃい、と夜と同様に優しい顔で言った。

「この時刻にお越しなんて、珍しいですね」

「もしお客さんが来たら、琇那(しゅうな)さんだけ、ちょっと席を外させてもらうってコトで」

 母が、父を振り返り気味に応じた。「お昼近くにお邪魔させてもらうと、早起きするの大変だから」

 大きな暖炉の上の時計の針は、八時へと向かっている。エンが寝る時間までの一時間、遊びに来たのだ。

 母は言わなかったが、早起きするのが大変なのはエンだけだ。ハイ・エストは言わなくても解ってしまう人だから、こちらを見て目を細めた。

「喉はすっかり治りましたね」

「蜂蜜紅茶の作り方を、ハイ・エストが教えてくれたから」

 エンは喉をさすった。「お蔭で治ったけど、治ったから、あんまり飲めなくなっちゃった。ちょっと残念」

 大人達が笑声をこぼした。父も喉を鳴らしていて、エンは嬉しくなる。

「餡寒天があります。シュウシン前ではたくさん召し上がっていただくわけにもいきませんが、どうぞ、お座りに」

 ハイ・エストが厨房に足を向けると、土産物を持った母が後を追った。

「日本でね、夏によく食べるクズキリって言うのを持ってきたの。おやつに食べてみて?」

 母の姿が厨房に消えると円卓を囲む椅子に父が座ったので、エンも斜め隣のによじ登った。

「クズキリ、又、食べたいな」

 腰を落ち着けてからエンが言うと、父は唇の端を上げる。が、すぐに下がった。医事者見習いの声が、階段の方から聞こえてきたからだ。

「いい声がすると思ったら、お前だもんなぁ」

 白い夏服を着た琉志央(るしおう)が、階段を降りきって横顔を見せた。「変な時間に来たな」

「エンが一緒なの」

 奥から盆を持った母が戻ってきて、琉志央はこちらに紫の目を流す。ちょっとだけ口を曲げると、夜空色の髪の青年は円卓の空いた席に横向きに座った。

 冷茶と一口大にした餡寒天が、それぞれの前に並んだ。いただきます、とエンは早速、寒天を頬張る。

 琉志央は、この面々の中で一番、偉そうに話す。偉そうといっても威張っているのとは何となく違い、ずけずけ言いたいことを言うからそんな印象になる。流石に父の前では言動が控え目になるかと思ったら言いたい放題で、最初はびっくりしてしまった。

 今日も、琉志央は変わりない口調で言った。

「つーか、栩麗琇那は、大陸の守護とやらはどうしたんだよ。なんなら、琴巳(ことみ)とエンは俺に任せて仕事に戻っていいぞ」

 冷茶の杯を片手に琉志央が親指で自分を指すと、父はさらりと応じた。

「じゃ、せっかくだから、エンを任せよう」

「え」

 エンと見習いは異口同音に声をあげる。父は冷茶の杯を手にしつつ、言を継いだ。

「このメンツの中では、琉志央が一番エンと歳が近い。九時前まで遊んでやってくれ」

 ハイ・エストが可笑しそうに口添えした。

「子供の命帯(めいたい)は大人のモノより判断が難しいんです。この機会に、エンのを見せてもらったらどうですか」

 琉志央は口を開閉させる。母が、くすくす笑った。

「見習いさんが遊んでくれるなんて初めてね。雨降らないといいケド」

「お外、いい天気だよ?」

 エンが窓外の青々とした森を見やって教えると、琉志央がぶっきらぼうに言った。

「モノの例えだ。降ってたまるか」

 両親とハイ・エストは笑い、エンは胸がきゅんとした。琉志央の口調が、幼馴染みを思い出させたから。


 ひと月前に地下蔵(ちかぐら)を目指して散歩に出た夜から、ぱったりとツバメは来なくなってしまった。

 あの晩、何がどうなったのか……

 母に起こされて目を覚ますと、翌朝になっていた。喉はヒリヒリちくちくするし、口が重くてうまく喋れなかった。

 父が、夜は魔の動く時間だ、と言った。あの出し抜けに目の前が真っ白になった時、多分、その〝魔〟が襲ってきたのだ。殺されずに助かったと判ったら、涙が出てしまった。

 しばらくして診察に来てくれたハイ・エストが、夜気を吸い過ぎて喉が悲鳴をあげたんですね、とやんわりと言った。母が、喉にくる風邪をひいちゃったんだわ、と切なそうに言った。

 三人共言い方は違ったけれど、最も言いたいことは同じだった――夜中には、部屋から出ず、きちんと寝た方がいい。

 翌日には喉から痛みが消えた。けれども、その後もエンは落ち着かない。友人が顔を見せないから。

 ツバメは魔に襲われずに済んだのだろうか。エンが倒れてしまった時、どちらの父を呼びに行ってくれたんだろう。

 エンの父を呼びに行ったとしたら、問題だった。エンの父母がツバメを知ってしまったら、父母には悪いことが起こる。何か起こったらどうしよう、と、エンは元気になれても気が気じゃなかった。

 だが、一週間経っても、一ヵ月経っても、何も起こらない。となると、ツバメは自分の父親を呼びに行ったことになる。それはそれで問題だ。

 ツバメは、魔の蠢く時間帯に、エンの家に遊びに行っていたことがバれてしまったろう。行っていいと言われて来ていたなら大丈夫だが、ツバメは瞬間移動ができたから黙って来ていた気がする。

 魔に捕まる前に思った――ツバメの父が厳しかったら、ラル宮殿には二度と行くなと言いつけるんじゃないかと。そうして、二度とツバメは来なくなるんじゃないかと……


「こらエン、なんで俺が遊んでやることになったら、この世の終わりみたいな顔になるんだ」

 琉志央の声に、エンはハタと冷茶の杯を両手で包んだ。向かいで母が、小首を傾げた。

「あーんな口の悪いお兄ちゃんとは遊びたくない?」

 杯を片手に琉志央は頬を引きつらせる。エンは、ふるふる首を振った。せっかく遊んでくれるなら、遊んでほしい。彼には訊きたいこともある。

 餡寒天を食べ終えると、遊びなんか分からんから散歩に行くぞ、と琉志央が言い、エンは後を追って森に入った。



 皇帝一家が帰宅してから一時間後、調べ物が生じ、蒼杜(そうと)は二階の書庫へ上がった。扉を開け、いささか驚く。見習い青年が、書物を開いていた。

 蒼杜の斜め上に居る気配が、こちらの気持ちを代弁するような声音で言った。

〈そなた、こんな所で何をしておるのじゃ〉

「本を読んでいるに決まっている。こんな面白味の無い所で他のことをするか」

 琉志央は応じると、面倒臭そうに頁をめくる。挿絵が垣間見え、医術書だと判った。

〈夕刻辺りまでには、ひと雨来そうじゃな〉

「やかましい」

 見習いは不機嫌そうに書物を閉じた。「客続きで訊くに訊けなかったから、仕方無く自分で開いてみただけだ。けど、さっぱり解らん」

「皆、お帰りになりました。何が疑問でしょう」

 蒼杜は書見台へ歩み寄る。「エンの命帯を診てみたんですか」

「風邪の治りかけかと思ったんだが……喉の所にもう一つ命帯が見えたんだ。何度見ても」

 見ることだけはできるようになった見習いに、蒼杜は頷く。

 莫大な術力を六箇所で完全封印されていたラル家の皇子(みこ)は、先月、経緯(いきさつ)は定かではないが、立会人も無いまま内一箇所を解除した。無理矢理してしまったに等しく、蒼杜が往診した時には、幼子の命帯は実に稀な症状を見せていた。

 命帯は水面のようなもので、健康な時はぴくりとも動かず、日を反射するように輝いている。病んでいると、症状によって波を作る。状態が酷いほど激しくうねる。

 ひと月前の(つばめ)の命帯は、喉の辺りが大きく波立っていた。にも関わらず、眩いばかりに銀の光を放ち、その体力と術力の膨大さを示していた。いたく心配する琴巳が哀れな程、生命力に溢れていた。

 実際、静かに白い輝きを帯びる健やかな母親より、一部が波打ち異状の出ている息子の方が輝きが強かったのだから。

「今現在、エンは言霊に頼れば術が使える状態にあります。わたしは、術力が集っているのだと判じました」

「なんだ――そうか」

 琉志央は、気が抜けたように髪に指をうずめた。「どうりで。何というか、外に出ようか出まいか迷っているような……出るわけにいかず、踏ん張ってるような……変な感じだったからな。ひょっとして、ああいうのも病なんじゃねぇかと思ったんだ」

「なるほど……」

 蒼杜は顎に手をかける。先入観に捕らわれずに琉志央は診れる。もう一つ命帯があるという見方も否定はできない。その場合……

 幼少時に多い、二重人格症の予備軍と考えられなくもない。

 一つの可能性として浮かんだが、蒼杜は別のことを口にした。

「時間ぎりぎりまで戻ってこないと思ったら、ずっとエンの命帯を見せてもらっていたんですか」

「いや、時々だ。エンが何かと尋ねてきたから、集中できなくてな」

 なんと、と姿を見せない冰清玉潤ひょうせいぎょくじゅんが再び声をあげた。

〈燕も尋ねる相手を見定める目を養わねば。青二才を選ぶとは焦慮な〉

「俺以外が答えても、どうしようもない質問だってあるだろうが」

 あまり冰清玉潤の姿を拝ませてもらえずにいる琉志央は、慣れてしまったのか、何も見えない中空に応じた。「俺が栩麗琇那を嫌いかどうかなんて、俺が正直に答えない限り真実は判らないじゃないか」

 蒼杜は、少々面食らった。

「エンは、そんなことを訊いたんですか」

「ルウの民ってのは、成長が速いんだか遅いんだか……変な連中だよなぁ」

 琉志央は両腕を組む。「どう言っていいものかさっぱりで、思った通りに答えたけどな。嫌いじゃないが邪魔だ、と」

 蒼杜と冰清玉潤は言葉も無い。琉志央は天井を仰ぎながら続けた。

「そしたらあいつ、それなら良かった、と言ってた。邪魔なのは好きな人が父上と仲良しだからってだけだもんね、と言い当ててきやがって」

〈そなたの琴巳への態度は、あからさまだからのう〉

 呆れたように響く精霊の台詞に、蒼杜は苦笑と共に付け足す。

「子供は、大人の仕業をよく見ていますし」

「いいや、エンは全然見てないぞ」

 琉志央は、むすっとした表情で言い出した。「期待外れもいいとこだ。どう〝仲良し〟か是非とも見聞を語って欲しかったのに。琴巳の惚気と大差無い話ばかり聞かされちまった。栩麗琇那と琴巳は、エンが完全に寝ついてからいちゃついてやがるんだ」

「望ましいことです」

「風呂にも栩麗琇那とばかり入ってるみたいでよぅ」

「そんなことまで聞き出したんですか」

 それは行き過ぎではないかと蒼杜は眉をひそめたが、琉志央は倒置していただけだった。

「暑かったから泉まで行ったんだ。そしたら、父上にお風呂で教えてもらったの、と水をこう噴射して見せるから――琴巳に風呂で教えてもらったことはないのかと訊いてみたら、お風呂は父上と入るんだよ、と常識のように言いやがって。くそー」

〈鉄壁じゃな〉

「母親の素っ裸も見てないくせに、女との交わり方は知ってやがるし」

 琉志央は、ぶつぶつ言う。既に性教育を始めているのかと、蒼杜は感心した。

「栩麗琇那が、入浴時に教えたと?」

「最近、教えてもらったことだとさ。ただくっつくだけだと思ってたら違ったの、とか、将来母上みたいな人に会えたらくっつけていいか聞くんだ、とか……まぁ、生々しいことも無邪気な顔して言ってた」

〈完璧じゃな〉

「ったく……実感させられた一時間だった」

 自嘲気味に、琉志央は同意した。



 八の月最終日、ラル宮殿の中庭で、柴希(さいき)は親友と午後三時の茶に興じていた。

 朝から曇り空で、連日の暑さが和らいでいる。先日はとうに屋内へ入って日差しを避けていた時刻だが、今日は快適に庭で過ごせた。

 ひと足早く茶菓子を平らげた二人の幼子は、毬投げをしている。先月の皇子は一年半ぶりに対面した羽衣に、あまり興味を示してくれなかった。本日は、頼もしささえ感じる風情で、遊んでくれている。

 羽衣(うい)も今夜からは〝コロミしゃま〟だけではなく皇子とも、あしょびらい、と駄々をこねそうだ。

 いいなぁ、皇子が〝ウチの子〟……

 柴希は、ささやかに夢見てしまう。それでも、過分な望みだとも判っている。落ち着け落ち着け、と念じつつ、琴巳が淹れてくれた、美味なる冷珈琲を飲む。

 今年になって(てい)が完成させたという小卓と椅子は、中庭に居心地のいい一角を新たに提供した。

 元から在った、柔らかな芝。小さな菜園と花壇。臨機応変に使えるよう拓いた土地。杏の木陰の長椅子。一昨年に一番大きな桜に吊るされた、ブランコなる遊具……

 それらが調和し合い、まるで原寸大の箱庭だ。それもこれも琴巳の為だろうと察する柴希は、つくづく感じ入る。

 溢れんばかりの愛情を一身に受ける皇妃は、卓上で両腕を組み、漆黒の双眸を興味深げにして問うてきた。

「サっちゃんは、五歳になってすぐ学舎(がくしゃ)に通ったの?」

「えぇ。よく判ったわね」

 ルウの子供は、五歳から十歳まで初級学舎に通う。五歳になった翌日から入学資格が生じるが、一年間の課程は一の月から組まれている。

 大半の子供は五歳の誕生日を迎えると、好きな日に仮入学をして授業の雰囲気に慣れ、翌年から正式に通いだす。なので実質、十一歳を迎える年まで通う子が多い。

 だが、二の月や三の月に五歳を迎えた中には、翌日から早速通いだし、遅れた二、三ヵ月分を必死に詰め込んで追い着き、その年内で五歳課程を済ませる子も居る。

 昼夜問わず励めば六の月生まれでも追い着けると言われており、五の月生まれの柴希は親によって実行させられた。五ヵ月分の遅れを、残った七ヵ月の内に叩き込まれた。

 柴希は苦い心地で思い出し、そういえば、と親友を見た。

「皇子は、後ひと月ほどで仮入学ができるのね」

「うん。いつ連れて行こうかって、相談してるところなの。色々聞いてるうちに、サっちゃんはどうだったのかな、って思って。ひょっとすると俺と同じだ、って琇那さんが言ってて――」

「え!?」

 柴希は、思わず声を挟んでしまった。「同じって――帝は十一の月のお生まれでしょ!?」

「ん。二ヵ月で五歳課程を終わらせたんだって」

 琴巳が肩をすくめて言い、柴希は唖然とする。一体、彼はどういうツクリになっているのだろう。

「まさか、皇子も三ヵ月に集約させるなんて言わないでしょうね……?」

「琇那さんの場合は、やむなくだったそうなの。大君(おおきみ)をされてたお祖父様(じいさま)がお年で、お父様が明日にも後を継いでおかしくなかったし、琇那さんも皇帝の位に関してそういう状況だったから、学舎に通いだす前から、ここで泰佐さんに教えてもらってたんだって」

「ああ――言われてみれば……」

 柴希は合点する。先帝は奥方の身体が弱かった所為か、大分遅くに皇子をもうけた。連なり、当時の大君が初孫を得たのもかなり老齢になってからだったのだ。

「エンの場合は差し迫った事情が無いし、今は魔術が全然使えないから、例え急ぎたくても無理なのよね」

「え――あ、そうそう、そうだったわね」

 柴希は、数度頷く。

 皇子が偶然自力で封印の一つを除去したことを、未だに栩麗琇那は琴巳に黙っている。

 彼女は過保護な向きがあるから。先月に皇子が体調を崩したのは封印が解けた結果だったと知ったら、残る封印を正攻法で解く折も大層心配してしまうだろう。敢えて無用の気苦労をかけることもないので、知らせていないのだ。

「七の月から魔術の授業が始まるんでしょ? その頃に、少しだけ使えるようにしてあげるんだって」

 琴巳は、ほんの少し声量を落とした。「だから今度のお誕生日に、実はちょっとだけ魔法が使えるんだよって打ち明けることにしたの」

「ちょっとだけ?」

 繰り返すと、琴巳は何やら澄ました顔つきを作った。

「これは俺の経験なんだが、魔術の難易度と術力は比例させた方がいい。基礎的な術を覚えるのに大量の術力は、却って障害になる」

 どうやら帝の真似らしい。「小出しに封印を解いていった方が身体にも優しいし、エンの術力は数年かけて解き放つことにしたい」

 可愛らしい顔と声の所為で帝が話している様が想像できなかったが、理路整然とした台詞は確かに彼だ。柴希は、御意、と堅苦しく応じる。

 ルウの民が大陸の守護者を名乗るには、統治能力もさることながら、術力と魔術技能が無いと話にならない。

 たまたまとはいえ、いい塩梅に術力が解放でき、皇子は将来の皇帝として魔術を学ぶ下準備が整いつつある。

 後は、教官のなりてを待つばかりか……

 春から(みやこ)で公募されているが、今のところ志願者は居ないという。

 先日、事務役の空依(そらい)が、復職を打診できないか歴代の五歳担当を調べています、と教えてくれた。

 空依は、何かを調べ上げることにかけては右に出る者が居ないと思われる。報告の必要があると判断するまでは何も漏らさないだろうから、柴希は聞かされたこと以上は追究していない。

 いずれ羽衣も入学するし、適任者が見つかるといいけど……

 冷珈琲を含む柴希の前で、素に戻った琴巳が、くすくす笑った。

「先走り過ぎかもしれないけど、エンと羽衣ちゃんは一緒に学舎に通える時期があるよね。わたしは、チュウガクって言う二番目に進む学舎に上がってからは、弟とも一緒になれなかったけど。お兄ちゃんとは初めから、すれ違いっぱなしだったし」

 その〝お兄ちゃん〟が、〝琇那さん〟だったりするのよね。

 羽衣が皇子を〝兄様(あにさま)〟と呼んでいいかと、柴希は許可を得てみたくなった。

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