0-7
『…………………』
………………。
「…おいちょっとまて悠人、何でいきなり窓を開けて身を乗り出そうとしてるんだ?ここは三階だぞ?」
「いやほら、よく言うじゃん?【窓があったら飛び降りたい】って」
「それを言うなら【穴があったら入りたい】だろ!?」
「離せ桜花!僕はっぼかぁもうぉ!」
「ええい落ち着けと言ってるだろうがっ!」
「違うんだ~今のは変な悪霊に憑依されて勝手に口走っただけなんだ~…うぅ、信じてくれよぉ~」
「まったく、これでは惚れ直した私が馬鹿みたいではないか…」
何やら桜花に言われた気がしたけどそんなの関係ねぇ!
だって卯月さんも笑ってる!失笑されてるぅっ!!
「大丈夫よユウ君!貴方の想いはこの生徒会長がしっかりと受け取ったわっ!!」
「そのままアマゾン川に持っていって放流してきてください、会長ごと。」
「えーんユウ君が最近冷たいよぉー…」
いや、だって会長だし?
あーもー…
「もういいよっ!卯月さんも嘲笑えばいいさっ!地球なんて右に7度くらい傾いちゃえばいいんだっ!!」
「ええっ!?わ、わたしは別にそんなつもりじゃ…って、地味に怖いこと言いますねっ!?」
「とりあえず落ち着け、悠人」
ごめすっ
「…あの……桜花さん…?なんか…凄く変な音と共に顔が180度回ったまま戻らなくなっちゃったんだけど…。」
「そんなことよりも、聞かなくてはいけない事があるだろう?」
そんなことって、結構な命の危機だと思ったんだけど…。
そんな桜花の視線に促されて振り向くと、そこには真剣な表情の卯月さんが。
「卯月さ…」
「ここで茶化したら…わかるな?」
い、いやだナー桜花サン?僕だって空気くらい読めマスヨ?だから居合いの構えを解いてクダサイ。
「悠人先輩は、本当に生徒会のことを想ってるんですね…」
そう言って微笑む卯月さんはいつもの小動物じみた雰囲気はなく、全てを打ち明けてしまいたくなるような、何処か大人びた雰囲気をしていて…
だから…
「想っている…と言うと偉そうに聞こえるけど、俺にとってこの生徒会とそのメンバーは本当に大切で、掛け替えの無いものだから。それだけは卯月さんにも知って欲しかったんだ。」
そうだ、俺は知って欲しかったんだ。
それが一人だけも構わない
ただ純粋にこの生徒会と、このメンバーのことを…
「わたしも、もっと知りたいです。
悠人先輩や生徒会の事を、人から聞く噂なんかじゃなくて、自分自身で…」
何故だろう?
人は嬉しいときって泣くか満面の笑みになると思ってたのに
その時、何故か俺は苦笑していた。
「卯月さんも変わり者だね。」
「悠人先輩には言われたくありませーん♪」
そう言って悪戯っぽく笑う卯月さんには最初の頃の怯えた表情はなく、そんな姿を見ていると今まで悩んでたことがとても小さく感じて、何だかどうでもよくなってきた。
「よーし、じゃあ今日は綾瀬ちゃんの歓迎会をやるわよっ!!」
「あれ、会長…まだいたんですか?」
「ひどいっ!ユウ君の私に対する扱いが秒刻みで酷くなってるっ!?」
「そんな些細な事は兎も角として、もう完全下校時刻を30分も過ぎているのだからまずは後片付けをして、歓迎会をするにしても場所を変えないとな。」
「そんな些細な事って、桜花ちゃんまでぇ…」
3人から4人に増えた生徒会
楽しい事だけじゃなく、辛い事や悲しい事だってあるのかもしれない。
でも、大丈夫だろう
この4人なら、この生徒会ならどんな事でも乗り越えて、最後には皆で笑ってみせる!
「ほら悠人も、いつまでもくさいこと考えてないで後片付けを手伝え。」
「…あっはっはっ、いざ行かん!無限の宇宙へ~♪」
「きゃあああっ!?ゆ、悠人先輩が窓からっ!?」