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突如鳴り響いた鳥の鳴き声に、俺はトランプを使ったピラミッド(36段からなる超大作…になる予定)を作る手を止めて、視線を上げた。

その先には壁掛け時計の小鳥が、能天気な鳴き声で18時をお知らせしている。

この時期の完全下校時刻は18時30分なのでまだ時間はあるが、殆どの生徒はもう校舎に残っていないだろう。

上げていた視線を前に戻してみる。

そこには手を付けられる事の無かった資料の山と、何処に隠していたのかと驚くほどのお菓子が、これまた手を付けられずに並べられている。

そしてその先には…こちらに背を向けて、椅子に体育座りをしている会長。


「…来ませんでしたね」


「っ……」


俺が発した言葉を拒絶するかのように、会長はその小さな身体をビクリと震るわせた。

…予想できた事だ。

入学前ならともかく、学園で生活していれば噂話などは自然と耳にするものだ。

その噂の中に、生徒会の事が入っていてもおかしくはないだろう。


「ゴメンね…ユウ君、こんな時間まで付き合わせちゃって…」


いつの間にかこちらへ振り向いた会長が苦笑していた。


「もう遅いし、後は私に任せてユウ君は先に帰ってて…」


「会長は、どうするんですか?」


「私は…もう少しだけ待ってみるわ。」


そう言った会長の表情は、いつもの輝くような活き活きとした表情ではなく、どこか陰りがあった。


…………っ


「…どうして」


「え…?」


「どうしてですか…もう誰も来るわけ無いじゃないですかっ!それなのにどうしてそんな事が言えるんですか!?」


突然の事に会長が目を丸くしている。

当然だ、怒りたいのは会長の方なのに…


「…そうね」


その声に伏せていた顔を上げると、目を丸くしていた筈の会長が笑っていた。

「確かに、ユウ君の言うとおりにもう誰も来ないかもしれない…でも、もしかしたら誰か来てくれるかもしれないわ。

その子が生徒会室に来たときに、誰もいなかったらきっと悲しむと思うの。


…それに」





「私って、負けず嫌いだから」





そう言って微笑む会長は、




いつものように輝いていた。








強き願いが必ずしも叶うなんて程、世界は綺麗ではない。





差し出した手が全て救われる程、世界は優しくは無い。





それでも…





それでも…っ!









「あ、あの…」









差し伸べられた声は、何処か間が抜けていた。


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