ここまでのあらすじ(新たな出会い〜灰の祭典開始)
第8話:灰が積もる街の底で 〜 第15話:笑って明日を迎えるために
までのあらすじ。
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──世界が崩れ始める。運命が交わる。祭典の夜が迫る。
フォーンシティの底で、
カズヤとアマネは外典の青年アイン、天才技師カムイと出会う。
存在が消えるという前代未聞の異常。
リムランド大陸から一人、また一人と消えていく。
その原因を追う断章の詩の一員である彼らと手を組む。
フォーンシティは、“灰の祭典”と呼ばれる催しの準備が進む華やかな上層と、
兵士が監視する陰鬱な下層に分かれていた。
下層と上層の格差が露骨に広がり、人々の間に燻る不満が渦巻く。
街を回る最中、アインはカズヤに言葉を投げた。
「外典は、世界の“傷”に向き合える者」
自分自身の災厄の記憶を恐れ続けてきたカズヤは、アインの言葉に揺さぶられる。
「外典は忌むべき存在」ではない。
世界の痛みを知り、向き合う者——そんな別の価値観が確かに存在していた。
存在消失現象を追うカムイの解析で分かったのは、
“人が世界に存在する”という根本を構成する基盤が“存在の綴り”であること。
それは、記憶・生命の痕跡が書式として結ばれた“名簿”のようなもの。
だが今、その綴りは乱れ、欠け、歪み、
その結果としてノエラをはじめ多くの人が、存在ごと消えている。
アマネの残響喪失も、綴りの異常も、大書院の過剰反応も――
全てはこの揺らぎと深く結びついている。
一方その裏で、大書院も動き始めていた。
リムランドの最高責任者――筆聖グレース・ユルスナールは、
アマネの残響喪失と、“存在消失現象”の同時発生に強い疑念を抱き、
一つの判断を下す。
――アマネ・チャペックは祭典後に“排除”する、と。
その決定を伝え聞いたアマネは怯え、涙し、
それでも「生きたい」と自分の意思を言葉にする。
カズヤも彼女へ誓う。
「お前が自分を責める分は、俺も一緒に背負ってやる。
……だから一人で潰れんな。お前は、生きていいんだよ」
一方で、徹夜で解析したカムイが、ふらつきながらも告げる。
「……できたっす。
“存在の綴り”を直す手段……」
希望の光が差し、全員が息を呑んだ。
だが成功には上層の中心にある“灰の塔”、
その最深部へ潜入する必要がある。
決戦の日は三日後。灰の祭典の当日。
──祭典の夜、運命が交錯する。
筆聖の意志か、外典の抗いか、あるいは第三の道か。
世界の綴りを揺るがす戦いが、いま始まろうとしていた。




