StoryCode:“sekibaku”#1 『ミッドナイトサマーアゲインスト』
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出番。
俺には出番が無い。
俺以外のメンツには出番がある。与えられたキャラクターと台詞がある。俺には無い。
⋯⋯寂しい時間が長い。他人より、長い。
だから蹲る。
そして、ここに居ることが恥ずかしくなる。
周囲の人間から見れば、完全に置物と化している現状。だが皆は、俺に一切の興味を示さない。
なるべくだったら、イジってほしい。そっちの方がオイシイから。
でも、まぁ⋯⋯こんな大事な稽古の時間だし⋯俺に構ってる余裕なんて無いもんな⋯⋯⋯⋯。
はぁ⋯⋯⋯⋯俺、何やってんだろ⋯
どうしてこの配役になったんかな⋯。
俺、絶対こんなちっちゃい役で済むような演技してないんだけど⋯⋯。オーディションの時に俺が挑んだのは主役級と準主役級のキャラクター二人。もちろん、主役レベルの登場人物には、それなりの倍率が掛かるものであり、多くの希望者が存在。俺もその中の内の一人だ。
正直言うと、この主役級のキャラクター達をやりたい!⋯⋯とは、そこまで思えていないのが事実。
⋯⋯⋯⋯うるさいんだよ。講師が。
───────
『お前達は真ん中に立ちたくないのか!?』
───────
怒号⋯とまではいかないものの、それに相当するような鼓舞が果たされる。
俺はこれに対して物凄く嫌悪感を抱いている。確かに、アクターをやる上で、目立ちたい⋯と思うのは必然。だが、自分なんて主役の器にならない⋯というのは自覚している。それなのにも関わらず、他人からの圧を掛けてくるのは違うように思うのだ。
やりたくない⋯そう思っていても、結局、講師からの勧めによって、全員が主役級のオーディションへ参加することになった。
俺以外にも、いると思う。仕方無く、主役級のキャラクターに挑んでいる人は。
中にはいると思うよ、もちろん。
『主役しかやりたくありません!』みたいな、固い意地のある奴。でもそういう奴って、ロクな目に遭わないんだよな。今までの学校内公演オーディションを通して、同期のパフォーマンスを何度も見てきたけど、
『俺!私!主役の座を勝ち取ってみせる!』
みたいなやつほど、空回りするのがオチなんだよな。
言い方すっごい悪くなって悪いんだけどね⋯。でも、“統計”だから。それが。
しかたないもん。出ちゃってんだから。
まぁ他人の能力を計ってるほど、俺もデキた役者じゃ無いからさ、何も言う権利なんて無いんだけど。だけどこんなね、他者への評論をしてしまうぐらい、今の俺は“余白”で満ち満ちてるんだよ。
あー⋯あー⋯あー⋯⋯声を出そうにも、迷惑になっちゃうしな⋯だって、与えられてる配役の台詞だって、たったの二行だぜ?
ふざけんな。もっと俺より、ダメダメだったパフォーマンスしてたやつオーディションにいただろ⋯。
◈
「ねえ?」
「⋯ん?」
「ヒマ?」
「まぁこの通り、俺は出番激少なんで」
「じゃあちょっと頼み事あんだけど⋯」
当舞台ヒロインを演じている女がこちらにやって来た。純白のドレスを着飾った姿は美しかった。対する俺は⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯死にたくなるから、比べるのはよそう。
久々に『Kallistō Of The Souvenir』書きました。本篇に注力していますので。現在は10.22。12月を埋め尽くすのは、もうちょい先かな。




