StoryCode:“suisou”#1 『天使に差し出す手料理』
StoryCode:“suisou”#1 『天使に差し出す手料理』
時刻、午後6時。
よし。もうそろそろ我が天使、帰還の時。
準備するとしますか⋯。
Message Application───────────┨
「今から帰るよー」
「いつでも帰ってきて大丈夫だよ。今日は何食べに行きたい?」
「うん?今日は外じゃなくて、家で食べる日じゃなかった??」
「あ!ゴメンゴメン!そうだったそうだった!安心して!ちゃんと用意してるから!飛びっきりの料理を振舞うよ!」
「ありがと。楽しみにしてるね」
「はーい!」
────────────────────┨
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え、どすんの。
俺、今日完全に⋯外メシのつもりで動いてたんだけど⋯⋯⋯⋯
俺は急いで天使とのスケジュール表をチェックする。
────────────────
9月22日、天使と家ご飯。俺が作る!
────────────────
ちゃああああんと自分で打ち込んでんじゃねええかあ!!!
かンンンっぜんに忘れてた。やべ⋯どしよう⋯⋯。え、マジで??
取り敢えず⋯!冷蔵庫を見よう。
がラララぁ〜と、冷蔵庫を開ける。
「野菜しかない⋯」
野菜だけで何が作れんだよー!!!
「⋯⋯⋯サラダ⋯?」
おいおいおい⋯冗談はよしてくれ。
天使彼女との一日のラストだぞ?そんなクライマックスの時間をサラダとかいうしみったれたモンで終わらせていいわけねぇだろうが。
天使だってガッツリ!ハンバーグとか⋯唐揚げ⋯とさ、そういった腹に溜まるような物を食いたいに決まってる!何せ、今日も数多くの客を相手にして来たと思うからな⋯。そこには天使の機嫌を損ねるような相手もいた可能性がある。
「サラダか⋯⋯⋯」
でも、冷蔵庫には、野菜が大量にあり、そしてちょっとしたベーコンぐらいしか無い。それと⋯⋯
「ゴマどれ⋯⋯⋯」
なるほど。ドレッシングがあれば、まぁ⋯サラダでも⋯⋯⋯、、
イヤイヤ!!ちょっちまてぇ。なんか俺の今の脳みそからビジョンされるレシピ⋯一人暮らしの男が寂しげに食うサラダみたいじゃんか。
天使に食わせる料理じゃねぇだろ。
あーやばい。刻一刻と時間が過ぎていく⋯⋯。
もう10分経ったの⋯?!
「⋯⋯仕方無い。サラダ⋯作るか」
仕方なく、俺はサラダを作ることにした。
「あ、、、たまご」
サラダが置いてある冷蔵庫の棚スペースにしか、気を取られて、冷蔵庫扉側のポケットコーナーに目を配ることを忘れていた。
「たまごか。⋯はぁ⋯⋯卵焼きでも作れたら、いいんだけどな⋯⋯サラダだけじゃやっぱり物足りないしな⋯⋯」
熟考する。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いっぱし、やってみっか」
天使に提供する料理だ。失敗は許されない。
俺は初めて今から、卵焼きの制作に挑戦する。




