StoryCode:“zetsuen”#1 『スターライトスマイル』
StoryCode:“zetsuen”#1 『スターライトスマイル』
鳴り止まない歓声。轟く音響。多種類な色彩を帯びた証明。光という光がステージ上に直射し、一人の女に狙いを定めている。まるで、スナイパーポインターの如く。
私は戮世界テクフルで一番有名なアイドルグループを卒業。今はシンガーソングライターとして活躍している超人気者。今日はなんとドーム公演。
この日を待ち侘びていたのは私だけじゃない。私の目の前に広がるファンのみんな全員が今か今か⋯と楽しみしていたのだ。ドーム公演前は、様々な意見がインターネット及び、SNSにて拡散され、大きな話題を集めた。
『ドームはまだ早い』
『ドームの価値が下がる』
『埋められるはずが無い』
『大赤字待ったなし』
『オワコン』
こんなの上辺だけ。ホントならもっと⋯もっともっと酷い言葉が書きなぐられていたけど、これを思い出すと、私の精神が持たないし、今、目の前で私のパフォーマンスに歓喜してくれているファンに悪いから、やめておこう。異物となる感情は捨て去った方が良い。絶対にね。
それにしても、ドーム公演。公演前の意見なんてなんのその!
大成功じゃん!!機材席すらも満員なんだよ!?
一番なんだから。
一番なのよ?
【機材席解放!】っていうチケットが出されさえすれば、もうこっちのモンなんだから!だって機材席なんて普通解放しないもん。でも、あまりにも多くのファンがチケット応募サイトに集中したおかげ。
どうかなぁ⋯あ、あそこだよね⋯機材席。
あー、、、、ありゃ本当に【機材席】だなぁ。しかもスタッフ専用の足場とか、円盤映像制作スタッフのロケットランチャーみたいなドデカカメラも搭載してるし⋯⋯⋯でも!!
ファン、座ってくれてるじゃん!
買ってくれてるじゃん!
【機材席解放!】の注意書きに、映像制作スタッフが常駐しますので、“ほとんど見えない可能性があります”と、警告していたのに⋯!
機材席すら満杯って⋯⋯⋯もう嬉し過ぎる。
ファンのみんなの応援のおかげ。
これに尽きる。
私なんて、全然⋯独りだったし、一人だと何も出来なかった。
だけど今じゃあ、1曲、私が口を開くと、とんでもない歓声が上がる。
正直、ちょっちコワイ⋯⋯。
そ、、そんなに、私の歌声に価値あるのー??
と思ってしまう。
でも、、あるんだろう。ここは自分の価値を信じよう。
だって、ドーム公演を⋯⋯成功出来ているんだから!!
「さぁー!!みんなァーー!ーーー!!!」
「「「「オオオオオオオオオー!!!!」」」」
「みんなの声、こんなもんじゃねぇよなァーー!!」
これぞ、ライブ。これぞ、アイドル。
グループを辞めても、私はいつまでもみんなの憧れ。
落ち込んだりしたら私を見て。
絶対に君を、赤ちゃんみたいに笑わせてあげるから。
帰り道は遠回りしたくなる




