StoryCode:“titujyo”#1 『この世に不要な人間を裁く仕事』
聞いてた話と違うじゃん⋯、
StoryCode:“titujyo”#1 『この世に不要な人間を裁く仕事』
「いい加減認めろ!」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
「このまましらばっくれても、何も未来は変わらないぞ」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
「黙っていられるのも今のうちだ」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
そう、強気に言い放つのは異端審問執行官。俺は今、拘留されている。何人もの無辜なる民を殺したからな。あの時の記憶は鮮明にある。今でも、脳が震えた時の手の感触と、感情の起伏が極地に達した瞬間は脳内再生できるほどにだ。
どうしてこの男は、俺からの言葉を待っているのか。俺には理解出来ない。
殺めたんだ。もうそれでいいじゃないか。
殺すか?俺を殺すか?
ハハ、無理だな。無理な話だ。お前らじゃ俺を殺せない。
「お前、ここから抜け出そうとしているんだろ?」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
男は、異端審問執行官に少しだけ顔を向ける。そして、鼻で笑うように乾いた笑いを零した。
「止めれるとでも?」
ようやく口を開いた男。その発言があった直後、男の顔面に一発の右ストレートが放たれる。
「へぇー、異端審問執行官が暴力ですか」
「お前、今どんな立場に置かれてるのか分かってんのか?」
「ええ、わかってますとも。まったくの罪の無い人間を殺した⋯んで、俺はここに居る」
さっきまでの黙りようはなんだったんだ⋯?やはりこれも超越者遺伝子の発現なのか⋯?
「さっきまで黙っていたのはなんだ?どうして急に饒舌にペラペラと喋るようになった?」
「そんなの聞いて何になるってんだよ」
「“お前達”をあぶりだしてやる。最悪の異分子であるお前達の力を調べ尽くして、根掘り葉掘り⋯⋯ンフフフ⋯」
「何笑ってんだよ」
「お前⋯⋯⋯なんだよその顔⋯⋯⋯ンフフハハ!」
「ンアハハハハハ!!なんだよ〜お前ぇ!そんなにおかしな顔してたか?!」
「だってよぉ、お前、そんな顔⋯殺人者でもなんでも無いぞ??」
「え、マジで??」
「大マジ。それただの窃盗クラス」
「マジかよ⋯でもさ、お前のその究明の手段もなんなんだよ」
「なんだよ?何か文句あんのかよ」
「いやお前⋯超越者に直接聞いちゃダメだろ〜」
「案外さ、言ってくれるもんじゃねぇのかなぁって思ってよ」
「いやいや無いな。絶対言ってくれないよ。超越者を舐めるな」
「アイツらはただの殺戮の悪魔だろ」
「伝説をまだ信じないつもりだな?」
「伝説を信じているから言ってんだよ。“超越の帝劇”、始まりから終わりまで、ありゃあただのお馬鹿騒ぎだぜ」
「イカれてるよな本当⋯。さてと、続き続き」
「んえ?まだやんの??」
「やるさ。当然だろ」
「もういいってー⋯。第一、超越者を捕らえる任務は、剣戟軍に任せておくもんだろ?」
「なんだけどな、最近、仕様が変わってよ」
「は?まさか⋯俺らも?執行官も関与するのか?」
「そうらしい」
「は、マジかよ⋯⋯死にたくねぇからこっち選んだのによ⋯」
「だよな。無様な奴らを取り締まるだけの生活だったのにな⋯」




