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狭霧の竹藪ダンジョン①あっという間に倒しちゃったね

翌週の日曜日。

 蘇鳥と止木の二人はまたしてもダンジョンに来ていた。先週の白のダンジョンとは別のダンジョンだ。

 その名も狭霧の竹藪ダンジョン。

 ダンジョンランクは3。中級者向けのダンジョンだ。なので、蘇鳥単独だと戦力がちょっと心許ないレベルだ。しかし、止木がサポートしてくれたら問題ない。安心感のあるダンジョン探索となるだろう。


 狭霧の竹藪ダンジョンは効率のいいダンジョンとして知られている。そのため、冒険者のための建物がダンジョンの横に併設されている。

 更衣室に休憩所、魔石や魔道具を買い取ってくれる施設が揃っている。冒険者のための施設を用意しても、余裕で収支がプラスになる。

 稼げるダンジョンというのは不遇なダンジョンとまったく冒険者に対するアプローチが異なる。不遇で無価値なダンジョンは冒険者のためにお金を使わない。しかし、稼げるダンジョンは積極的に冒険者のために投資をする。

 最近の蘇鳥とは無縁の施設だが、かつては蘇鳥もこういった施設を活用していた。なので、勝手は分かっている。更衣室で冒険者装備に着替えて、ダンジョンに入る。


「狭霧の竹藪ダンジョン、ですか」

「そうだねー、久しぶりでしょ」

「まあ、そうだな。昔はよく来ていたな」


 狭霧の竹藪ダンジョン、蘇鳥と止木は初見ではない。昔に来ていたことがある。

 さて狭霧の竹藪ダンジョンだが、竹藪の中を進むダンジョンとなる。その上、狭霧の名前の通り、霧がかかっている。霧の濃さは階層を進むごとに濃くなる。

 一階層では霧が少しかかっている程度だが、奥に進むにつれ数メートル先も見通せなくなる。

 階層を進めば進むほどモンスターの奇襲に警戒しなければならない。霧の中から突如としてモンスターが現れるのだ。油断はできない。

 それに冒険者の同士討ちにも気を付けなければならない。稼げるダンジョンということで冒険者が数多く入っている。毎月のようにモンスターだと思って攻撃を仕掛けたら冒険者だったという事例が後を絶たない。

 モンスターにも冒険者にも気を付けなればならないダンジョンとなっている。

 ちなみに、出現するモンスターはバンブーブレード、バンブーブルーム、バンブーガンなど。竹に関連するモンスターが出る。また、上質な竹をドロップすることもある。これが高く買い取ってくれるので、冒険者の大きな収入源となっている。


「さて入口でたむろしていても仕方ない。攻略を始めようか」

「そうだねー。早速行こっか」


 止木がどうして狭霧の竹藪ダンジョンに来たがっていたのかは分からないが、もうダンジョンに入っているのだ。後は、探索するのみ。


「あっ、バンブーブレードが来てるよ」


 止木が数十メートル先のモンスターの気配を察知する。一階層、霧が濃くないとはいえ、数十メートル先は見通せない。モンスターの姿は一切確認できない。もちろん、モンスターの気配も察知できない。やはり上級の冒険者は一味も二味も違うということだ。


 バンブーブレードが刀身を振り回しながら近づいてくる。

 バンブーブレードは竹刀の形をしたモンスター。モンスターランクは3なので、一筋縄ではいかない。しかし、蘇鳥とて、大怪我を負う前はランク3のモンスターと戦っていた。一方的にやられることはない。

 しかも、蘇鳥の装備は刷新されている。蘇鳥が新しい装備を用意したのではなく止木が勝手に用意していた。蘇鳥を冒険者に復帰させるための投資は本当に惜しまないらしい。新しい装備を用意するだけで、少なくない金額がかかっているはずだ。


(そんな金、どこから出てくるのかね? ……口に出さなくて正解だな。それにしても、上級の冒険者ともなると、稼ぎが段違いだな)


 現在の蘇鳥の装備品はリヴァイアソード、アラクネナイトの外套、犬薔薇の盾となっている。

 リヴァイアソードはリヴァイアサンの下位互換のモンスターであるリヴァイアツーというモンスターがドロップする牙から作られる片手剣。切れ味が鋭く頑健なのが特徴。扱いやすいので、多くの冒険者が愛用している。

 アラクネナイトの外套はアラクネを守護する昆虫騎士のモンスターがドロップする糸から作られる防具。軽くて丈夫、その上防御力が高い。

 犬薔薇の小盾はローズドッグという体の表面にバラを咲かせている犬のモンスターがドロップする犬薔薇の花びらから作られる小さい盾。取り回しがよく防御力が高い。しかし、華やかでいい香りがする点で評価が二分されている。

 蘇鳥はここ一週間で左腕のリハビリも行っていた。一週間という短い時間だが、かなり動くようになっている。自由自在とはいかないが、左手に盾を装備するのに憂慮はない。

 一式を装備している蘇鳥は、かつての冒険者時代と遜色ない姿になっている。姿だけなら立派な冒険者だ。

 ちなみに、止木の装備は前回と同じだ。


「今は目の前のモンスターに集中だ」


 蘇鳥の戦力は全盛期に比べると、どうしても落ちている。左足は義足だし、リ・バースポーションを飲んだとはいえ、左手は完全には治っていない。

 しかしだ、蘇鳥が以前と比べて弱くなっているかというと、そんなことはない。昔に比べて段違いに知識が増えている。その中にはバンブーブレードを攻略する知識も含まれている。


「バンブーブレードは適当に刀身を振り回しているように見えて、実は規則性がある。冒険者との距離や振り回した後の状態によって、次の攻撃パターンが決まるんだ」


 また、モンスターごとに微妙に形が違う。よく観察しないと分からないことだが、種類によって得意不得意があったりする。微妙の差なので、気にする必要はない。


「そうなんだねー。気にしたことなかったや」


 強者からすると、バンブーブレードのパターンを気にする必要がない。攻撃を避けて、その隙に攻撃を叩き込めば戦闘終了だ。わざわざバンブーブレードの攻撃パターンを解析しなくてもいい。

 ともかくだ、蘇鳥はバンブーブレードを一撃で倒せないので、攻撃を見極める必要がある。時に攻撃を避け、時に攻撃を盾で受け流して、戦場を支配する。


「ふっ、見えてんだよ」


 バンブーブレードは決して弱いモンスターではない。蘇鳥とて、知識がなければ勝つのに苦労するモンスターだ。しかし、攻撃を誘導すれば対処は簡単だ。

 次に来る攻撃が分かっていれば、先に準備ができる。どんなに強い攻撃でも何が来るか理解していれば、対処は容易だ。


「終わりだよ」


 バンブーブレードが刀身を大きく振り回し、大きな隙を作る。その隙を見逃さず、蘇鳥は剣を振るう。

 戦闘は終了した。残ったのは魔石と竹だ。

 魔石も竹も高値で買い取ってもらえる。魔石と竹、両方がドロップしたのは美味しい結果と言えよう。


「わぁ、すごいすごい。あっという間に倒しちゃったね」

「こうも容易く対処できるとはな……」


 今回の戦闘が簡単に終わったのは蘇鳥の知識が増えたというのもあるが、一番の理由は装備品だ。

 止木が用意した装備品は狭霧の竹藪ダンジョンでは過剰だ。もっとランクの高いダンジョンでも通用するレベルの装備となっている。

 レベル相応の装備品で挑んでいれば、もっと苦労したに違いない。

 蘇鳥の戦闘力の向上の大部分は装備品のおかげだ。そのため、手放しで喜べるものでもない。


 蘇鳥はその後もモンスターを倒しながら、ダンジョンを攻略していく。バンブーブルームもバンブーガンも容赦なく倒していく。装備品の力もあって、苦労もない。そして、大半のモンスターは魔石をドロップする。

 狭霧の竹藪ダンジョンでは魔石のドロップ率がかなり高い。なので、本当に効率的に稼げるダンジョンだ。

 ここでは霧が出て、とても厄介だ。それを差し引いても効率的である。


TIPS

狭霧の竹藪ダンジョン(さぎりのたけやぶダンジョン)

竹藪が広がるダンジョン。その上、霧がかっており、遠くを見通せない危険なダンジョン。

ダンジョンを進めば進むほど霧が濃くなり、より危険度が増す。しかし、価値の高い魔石や質の高い竹、タケノコを入手できる。

霧で遠くを見通せないが、それでもなお効率のいいダンジョンの一つ。モンスターと冒険者の不意打ちに気をつけなければならない。

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