表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HANDle my love  作者: 宍井智晶
18/36

18 懐中時計がぎりりりり

 海賊たちは、潮が引くように逃げ出した。

 殺される理由があると思っている、みんながみんな。

 見てただけのやつも、手をくだしてたやつも、どいつもこいつも。


 レオは、全気力を振り絞って、一人の年上の少年の前に立った。

 隣の少年が間に入って邪魔してきたのを一拳でぶちのめしたのも、レオ本人は意識していない。

 他の奴は目に入らない。

 レオは、銃を真っ直ぐにそいつの頭に向ける。

 いつも、裸に剥いて射的にしてくれたそいつに。

 「おい、助けろよ」

 そいつは言うが、いつもの取り巻きたちは後ずさる。

 レオは、眼をつぶり大きく一度息を吐き出した。



 そして、腕を下ろすと、言った。

 「剣を取れよ。1対1で勝負しろ。」

 レオは、そういって、銃を捨て、剣を抜く。



 相手は、拾った剣で、おずおずと受けてたった。

 レオの赤い眼に突き刺され、震えて距離をとろうとする相手。

 それに構わずに、レオは間合いに踏み込んでいく。

 耐えられなくなった少年は、剣を振りかぶった。

 レオの鼻先に微かに剣が触れる。

 レオの眼光はそのまま、相手を捕らえていた。

 相手の胸板に額をつけ、瞬間。刀背でえぐるように鳩尾みぞおちを突いた。

 突かれた方は、轢かれた猫みたいにふぎゅると鳴いて、身を屈めた。


 レオは、そいつの顎を蹴り飛ばす。

 二度、三度。

 顔中の穴から流れ出た血が、そこらじゅうに飛び散った。

 レオは仰向けに倒れた少年の上に馬乗りになり、いっきに両手で剣をつきたてる。

 剣は、首筋をかすめた。

 剣の半分が甲板に埋まり、相手の髪がばっさり切れた。



 その時、フック船長の懐中時計がぎりりりりとなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ