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ゲーム仲間

「カタカタカタカタ・・・」

「カタカタカタカタ・・・」


「おりゃっ」

「そりゃっ」


「ふーっ」


「お疲れさーん!」


「あいつ俺の連続技をなめてかかったみたいだな」

「だが俺の技術の方が一枚上手だったようだな」


「トントン」


「ん?」


「勝太郎、またゲーム?」

「うるさいわよ」


「うるせえ!」


「ご飯だから降りていらっしゃい」


「わかったよ」


「わかってるのかしら」


くそ、ゲームではこんなに強い俺だが現実では学校でいじめられ、親に叱られてばかりの生活だ。それよりさっきのへたくそちょこまかと逃げ足が速いんだよ。イライラさせやがって。


「ガクブル」

「なんか寒いな!」


「勝助なに?」


「なにか俺の噂話をしている人がいるような気がして」

「あの猿軍団総勢100体は優に超えてますね」


「私たちがドラゴンであることを忘れているのではないか、勝助」


「ドラゴンでも数で押されれば負けてしまうかもしれない、なんて」


「倒すことが出来たらご褒美をもらいたいのだが」

「ジュースをもらいたい」


「ん?」


「さっきの友達と会話していた時ジュースがどうのこうのという会話があったのだが」


「ああ、京香はジュースを飲んだら必ずズボンにこぼすってやつ?」


「そう、そのジュース」


「いや、それここにはもって来ることが出来ませんよ?」


「そうじゃなくて、私もプレイヤーなのだが?」


「へ?」


「ドラゴンのドラコとしてこのゲームに入ったんだ。買ったらジュースおごってくれよ」


「わかったよ。連絡先教えろよ?」


「やだ、怖い!」


「お前から頼んだことだろうが!」


「わかった、教える」


「ったく」

「で、今回はまもってくれるんだよな」


「当然、私たちに任せろ」


「ったく信頼できるんだか」


「・・・」


「おにいちゃーん、助けてくれー」


な? 


「妹よ、僕が守ってあげる。任せてくれ」


「うん!」


「おいおいおいおい、お前が守ってくれるんじゃなかったのかよ」


「え?」

「私、そんなこといったっけ?」


「いやいやいや、確かに」


「いいじゃない」


「よくない!」

「なんか損した気分だぜ」

「ん?」

「なんか車の姿が見えないか?」


「車だね」


「プーン」

「車の屋根が開いていく!」


おいおい車の中から猿が出てきたんだが、どうなってるんだ?


猿はメガホンらしきものをもってこちらに呼び掛けてきた。


「えー、無駄な抵抗はやめなさい皆さん。私たちは世界を平和にするために結成された安寧バスターズです」


「何か聞いたことがあるような」


「いまからわが軍は四天王の一角、ゴリートスを始末しに行きます」


「あの、ゴリートスとは?」


「ゴリートスはゴリラの中にまれに出現するゴリラの進化系で戦闘力は100倍に跳ね上がります。しかも元々撃墜数1000人突破して抽選で決められるので四天王の名にふさわしいプレイヤーです」


「へえ、もうプレイヤーの序列とか決まってるのか」


「そんなことも知らなかったんですか!」

「説明書を読まなかったのですか?」


「正直知らなかったわ」


「だからどきなさい。わが軍のパレードを止めるつもりなら実力行使します」


「ちょっとまったー!!」


おいおいおい面白くなってきたー。あの人物の撃墜数5000で世界43位のバケモンがあの軍隊と交戦しようとしているなあ。


「俺と対戦してくれ」


「俺、自分で言うのもなんだが世界42位なんで、ん?」

「失礼、世界43位だった」

「とにかくこんな実力者に勝ったら経験値ガッポガポだぞ」


「ちょっとまったー!!」


「俺の世界ランキング48位なんだが、今の実力は正直お前よりは確実に上だろう。撃墜数も700ほどまでにはなった」


「へえ、それは楽しみだ。楽しみにしてるぞ」


「それよりあの猿を操っているプレイヤーの世界ランキング15326位って雑魚すぎだろ」


「ははは撃墜数3って700の俺の足元にも及ばないな」


「まずあの車の上に突っ立ってるやつと運転席にいるいかにも助手らしきヤツをコテンパンにしてから勝負だ」


「だな」


「どりゃー!!」


あいつらめちゃくちゃ悪口言ってなかったか? ゲームだからそんなのお構いなしってのかよ。でもあんな数相手に俺たちだって戦いたくないし倒してくれるんだったらまあいいか。


「うおおおおおおお!!!」


「なんだ?」


「あの猿に異変が」


「うおおおおおおおお!!!」

「ああああああああああ!!!」


「ボコボコボコボコ・・・」

「ググググググ・・・」


「あああああああああ!」


「はあはあはあはあ・・・」


「なに?」

「あの猿実力隠してやがったのか。驚いた」

「世界ランキング19位で撃墜数・・・」


「80万!」


「なんだと!」


「ここは」


「逃げるぞー!」


「グオオオオオオオ!!」


「ドカ!」

「ズガ!」

「ボコ!」


「ぐわーーー!」

「うわーーー!」


まさかまさかまさかまさかー!

実力隠しのプレイヤーなんて胸アツ展開すぎだろ。まさか変身してあそこまで強くなるなんて


「さあ、どきなさい!」


「しょうがないな」


走り去る猿の軍隊と先陣を切る車。なんてかっこいい。俺もこんな軍隊をつくって世界を席巻したい。そして世界ランキング1位の称号をゲットだぜ!


相棒も欲しいなあ。俺のことをすべて理解してくれる助手でもいい。


「おい」


車の上に突っ立っているプレイヤーが話しかけてきた。ことを荒立てない方がいいと判断し俺は答えた。


「なんでしょう?」


「なんか俺の小学校にいた同級生の顔に似てるんだよな。まあ、気のせいだよな」


確かに俺は小学5年生の時に転校した。転勤族だったのでいろいろな学校に顔を出すのは不思議ではないがこんな偶然があるのか。


「たしか、そう勝助!」

「おまえ勝助だろ!」


「どうしてわかったの?」

「間抜けで特徴のない顔をしているから簡単にわかったよ」


「へえ、それでなんでこのゲームプレイしているんだよ」


「ああ親父のゲーム会社でつくっているゲームをプレイしないかと2か月前に誘われてな」


「リリース前からしてたの?」


「じゃないとこんな強くなれないよ」


「へえそうなんだ。それでなぜ四天王倒そうとしているの?」


「このゲームには四天王の名前に反して四天王が10000体配置されていてそれを倒すことで報酬を得ることが出来るんだ」


「中でも四天王を倒したときの報酬はすごくて、普段絶対に手に入らないレアアイテムを獲得することが出来るんだ」


「もちろん俺はレーシングカーを狙ってるけどな」


「そういうのもアイテムなの?」


「そうさ、この車派手でかっこ悪いから登場をもっとかっこよくして気持ちよく決めたいんだ。そのためにはレーシングカーの存在が必要不可欠なんだ」


「この話を学校でしたら友達いなくなっちゃった。てへ」


「すげえな、俺もレーシングカー乗ってみたい」


「おお、相棒!」

「この話を聞いて俺のことを異常者と思わないとか神様かよ」

「うおおおおおおおお!!」


「愛す!」


「そんな冗談やめてよ」


「いいやアイスあげる」


「え?」


「こんどお前んち遊びに行ってやるから、そんときな」


「ありがとう」


「じゃあな、また今度な」


「またねー」


「あの人、小学校の時同級生でね俺と同じでゲーマーなんだ。おいつの親がゲーム会社に勤めてるからかいろいろ有力な情報を俺に教えてくれて感謝しているんだ。俺が一度地区大会3位に入ることが出来たのもあいつのお陰なんだ」


「一度も連絡をよこさなかったから嫌われていると思ったんだけどそうでもなかったらしい」


「やぱり勝助、魅力的!」


「そうか?」


「魅力的!」


「ドラコだってかわいいな」


「へへへ」


「これからどうする?」


「さあ」


「とりあえず私たちの家に行かない?」


「案内してくれるのか?」


「当然!」


「助かった、サンキュー」


「お互い様でしょ」


ドラスケの背中は大きかった。彼の背中に乗って飛んで彼らのお家に飛んできた。


「ドラスケ!」

「お帰り、ドラスケ♡」

「おかえりなさい、ドラスケ兄さん!」


「ドラスケ!」

「ドラスケ!」

「ドラスケ!」


えええええええええ!!!

めちゃくちゃドラゴンいんじゃん。1,2,3、4・・・・

うおおおおおおおおおお!!!

数えられん。俺には無理だ。多すぎて訳が分からない。


「ドラスケ、今回どんな旅だった?」

「ドラスケ、ここの答え教えて?」


「ドラスケ、今晩のおかずはドラゴンフルーツよ」


「となると、母さん、今晩はごちそうか?」


「ポン」

「そうだわ、今日カーテン買ってきたの。高かったわよー。奮発しちゃった」


「このカーテン、まあまあだな!」


いいやそこは良いなとかだろ・・・


「わしの目はごまかせないぞい。世界ランキング27位のプレイヤーの鑑定は桁外れだぞい」


「じいさん、わかったよ」

「ここに人間を連れてきちゃいました、てへ」


「ドラスケ、現実生活で人間を見るのに飽き飽きしてまでドラゴンになったっていうのに人間を連れてくるなんてどういう考えなの!」


「そうだそうだ!」


「私も、職場が辛くて辛くて、逃げるようにこのゲームの世界にやってきたのに、な、に、を、考えてるのだ!」


「わーわーわー!」


「これは私の独断です」

「ニコ!」


「でもドラスケだから仕方ないよ」

「ねえ、やっぱり受け入れない?」

「ドラスケがいうんだったら」


「ありがとう、みんな!」


ドラスケはどれだけ皆に信頼されているのだろう。俺はここにはお邪魔だったようだ。できれば早く退散したいのだが。


「みんなに迷惑はかけるつもりはない。俺は彼が気に入ったから一緒に旅をするだけだ」


「受け入れてれないか?」


「とっ」

「村長!」


「ドラスケの向かう道をみんな応援しているんじゃ。行ってこい」


「ありがとうございます」


「ドーラスケ!」

「ドーラスケ!」



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