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幕開けはチョコレートを携えて

カクヨムから移行しました

世界屈指のゲーム会社KUSSIは2032年、VRMMOゲームKUSSIを発売した。広まると同時に世界中の人間がそのゲームに参加し、世界一の座をかけて争った。


そのゲームで手に入れた称号はゲーム金貨に還元され、業務提携した企業のデータを購入することができた。


称号を得ることがある意味この世界でのステータスだ。俺は世界一の称号を得るべく日々研鑽を積んでいる。


この世界は戦いに満ち溢れている。何処でどんな奴が仕掛けてくるのかさえ分からないいわば無法地帯だ。


すべて無制限でもちろんパーティー人数制限もない。狂暴なモンスターとも契約することが出来るし友達とこの世界でダイブしてのんびり気ままに生活することもできる。


もちろん、俺は世界一のプレイヤーになることが夢である。前提として、この世界一決定戦にダイブするプレイヤーのほとんどが世界一の称号の欲しさにダイブするのである。


最強の魔獣を手にし、俺はプレイヤーを狩りまくり経験値を獲得しいち早くレベルを上げ世界一の称号に近づかなくてはならない。


このゲームの配信時間は朝9時なのだが、遅刻してはいけないと考え徹夜をして配信開始を待った。


絶対に俺が最強になることを俺自身が望んだ。


「配信開始、・・・・きたーーーーーーーーー!」

「カタカタカタカタカタカタ・・・・・」

「うおおおおおおおおおおおおおお」

「・・・・・・・・・・」

「カタッ」

「ブウーーーーーーーーーーン!」

「キター、これだ」


このタイムマシンの異空間的なところを抜けるとゲーム世界らしい。俺は懸命に異空間を駆け抜け、ゲーム世界を目指した。


「もう少しだ。はあ、はあ、はあ、はあ」

「はあはあはあはあはあはあ」

「もう少しでワープホールを抜けるぞー」

「俺が一番だろ絶対。はははっはー」

「はあはあ・・・・」

「一番乗りー。サイコーーーーー!」


俺はその時はこの世界を甘く見ていた。俺の頭の中はお花畑だったと言わざるを得ない。世界は残酷で非情だという前提を見逃していた。気づいたときには時すでにお寿司だ。


「ブン!」

「ぐわーーーー!」

「とどめだ」

「ぐわーーーー」


まさか入り口で待ち伏せしているとは、一撃で俺はゲームオーバーだ。ゲームオーバーの時はワープホールの前からやり直さなくてはならない。


「うおおおおおおおお!」

「はっ!」


気づいたときには現実世界だった。まさか俺より早く来ていたプレイヤーがいたなんて驚いてめんたまが爆発しそうになったが俺は食い止めてやった。


「くそ、次は切り抜けるぜ!」

「おらららららららららら!」

「ずりゃーーい」

「おら」

「ずりゃ」

「どすこーーーい」


VRMMOゲームだと言っても現実世界と全く違うわけではないだろう。現実は非情だが非常時には俺にも秘策がある。筋トレ、剣トレ、世界取れということわざがある通り、俺にもできることはある。


俺は剣トレや筋トレを小一時間ほど実行したのちゲームを再起動した。


「さすがに今度は大丈夫だろう」

「おりゃーーーー」


ワープホールを颯爽に走る俺の姿はまさに天下を取ると言っても過言ではない。休憩をちょくちょく挟みやっと入り口の前までやってきた。


「あいつまだ待ち伏せているかもしれんな」

「しかし、俺は筋トレしたから絶対にいける!」

「だが、油断は禁物だ。そーぅと行くぞ、そーぅと」


「ズブッ」

「ぐわーーー」

「とどめの一撃、必殺ドラゴントルネード!」

「ぐわーーー」


嘘だろ。後ろからだと。


「ドン、ドン、ドドン」

「どわーーーー」


「ちわーー」

「お先に失礼しま―す」


後ろから雪崩のようにプレイヤーが押し寄せ、俺をひとりずつ押しつぶしていった。

世界でてっぺんとるんじゃなかったのか、俺はー。


「うおおおおおおおお!」

「はっ!」


2度目のゲームオーバーで俺の心もオーバーヒートしそうだ。このゲーム、なかなか鬼畜だぞ。


「再起動!」


「エメラルドサンダー!」


「うわーーーー!」


「再々起動!」


「ずらららららら!」


「うわーーーー!」


「さささい起動!」


「あ、な、た、を、い、と、め、て、あ、げ、る♡」


「ぐわわわわわ!」


おっさんの女装は破壊兵器とはよく言ったもんだ。


というかここまで起動して一度もあの世界に行けてないぞ。このままでは先を越されてしまう。


「頼む、今度こそ」

「起動!」


「うおおおおおおおおお!」


「走らなくては、走らなくては、俺はこのままではいけない!」


「はあはあはあはあはあはあ」


「ぐおおおおおおおおお!」


「まだいける、まだいける!」


「ぐっ」


「うわーーー!」


まさかワープホールの中に石ころがあるとは。俺は盛大にずっこけてしまった。あれ、あの少女は。


「ふんふふーん」

「世界を蹂躙するぞー♡」


軽快なステップで俺の目のまえを抜けていったあの女、どこかで見たことがある。


俺は気づいた。


「あああああああ!」

「まさか、お前3組の京香じゃないか?」


「ええっ!」

「勝助もこのゲームに参加してるの?」


「へへつ、まあな」


「勝助ができるゲームじゃないよ、やめた方がいいよ」


「んなことねえ。俺だって筋トレ、剣トレやってきたからな」


「京香もお前学校ではおとなしいお前が争うことですら難しいだろうよ」


「失礼ね、私だって実は強いんだから」


「へえ、楽しみだ。これからどんな活躍が待ってるのかなー」


「まあ、あなたよりはできるのは間違いないのよねえ」


「はあ、俺のゲームの強さわかってるんだろうな」

「地区大会でも、3位に躍り出たことがあるんだからな俺!」

「どうだ、すげーだろ!」


いってやったぞ。俺。やがて世界を駆け抜ける男の実力ってもんを見せてやるぜ


「へえ」


「え?」


「なに?」


「じゃなくて驚けよ!」


「地区大会3位でしゅか。ほめてもらいたいんでちゅか」


「名誉な賞じゃないか、それ。俺だったら子供と孫に言いつけて一生実家の家宝としてテレビの横に置いておかせるくらいのものだぞ」


「君の名誉が失墜しそうだけど」


「おだまり!」


「それで、お前なんでこのゲームに?」


「世界一になるためよ。過程を通じて皆としのぎ合いたいの」


「お前、もしかしてMか?」


「Mってなに?。MOTHERってこと?」


「とにかく、俺についてくんなよ。俺は一人で世界一になるんだからな」


「私だって一人でやるわよ」


駆け抜けて見せる、世界のてっぺんまで。


「おらららららららら!」


「走れ、俺」


「うおおおおおおおおお!」


「すべてを貫け!」


「おおおおおおおおお!」


「ワープホールだ!」


「駆け抜けて見せる!」


「うおおおおおおおおお、ずりゃー!」


「ドリルメテオ!」


「ぐわーーーー」


今回はいけるかと思ったのだが、現実は非情だ。そういえばあいつはどうなったのだろう。


37回目


「うおおおおおおおお!」


「トルネードサンダー」


「ずりゃ!」


間一髪で必殺技を回避し、会心の一撃をプレイヤーに与えた。


「どわわわわわわあああ!」


「・・・・・」


「勝ったぞーーーー!」


「そう、随分嬉しそうね」


「当たり前だろ、待ちわびたゲームに入れなかったんだぞ」


「あんなプレイヤーに手こずるなんてまだまだ未熟ね」


「おまえそんなに強いのか?」


「プレイヤーの待ち伏せなんて日常茶飯事だから余裕ね」


「けっ天才はいいよな」


「なんか言った?」


「いや、何でも」


「じゃあ、私はこれで」


「おう」


京香は天才だ。彼女の熟達した腕はトッププレイヤーでも負けることがあるくらいだ。事実彼女は世界大会のトップ10入りを幾度か経験している。


その点、俺は地区大会で一度だけ入賞したくらいだ。俺は彼女に追いつきたいから世界一になって対決したいというのもありこのゲームに参加した。


「それじゃーあー」


「メテオスラッシュ!」


「ぐわーーーーー」


「うおおおおおおおお!」


「はっ!」


「また戻ったか」


「それより一度ゲームオーバーになったらワープホール前に戻るの鬼畜すぎだろ。誰がその設定考えたのか」


「ここまで来たらやり切ってやる」


「起動!」


「うおおおおおおおお!」


「サンダーサンダー!」


「ぐっ」


「ずりゃ!」


「ぐわわわわわ」


「っしゃー、今回はいけるんじゃないか!」


「サンダーサンダーサンダー!」


「今度はトリプル技か?」


「ぐわーーーーー!」


「はっ!」


「起動!」


「お金くれっしゅ」


「くれるかー!」


「おまえ、順平か?」


「違うよー」


「邪魔者ばかりだな、でも今度こそは」


「うおおおおおおおお!」


「ずりゃ」


「ワープホール、抜けちゃったぜ」

「今度は大丈夫みたいだな。やっと楽になれそうだぜ。とりあえず横になろっと」


「ん?」

「ふわふわした寝心地だが、これはいったい?」

「まあ、いっか。疲れたし寝るかー」

「ぐううう!」


「うーーーーーん。はあーーーー」

「ここはどこだ」

「ん?」

「周りにドラゴンが一匹、ドラゴンが2匹、ドラゴンが3匹」

「まさか」


「うおおおおおおおおお!」

「逃げろーーーー!」


「グガガガガガガガガガ!」


「やべー、逃げろ」


「おぬし、待たれよ」


「ん?」


「おぬしの寝顔、とてもかわいかった。亡くした我が子にそっくりだ。仲間になってやろう」

「皆、あのもの仲間になってくれんか?」

ドラゴンA「もちろんだとも」

ドラゴンB「当たり前でしょ」

ドラゴンC「君が言うなら」

「皆そういっていますし、どうでしょう?」


「はい、ありがとうございます」


「お主われわれ人間の姿になってついていきたい、よいか?」


「君たちがいいなら」


「決まりじゃ」

「皆の者、変化じゃ」


「ズボン!」


「我々は君についていく」

「君じゃけったいだから君の名前を知りたい」


「俺は勝助です」


「勝助!」

「いい名前ですね」


ドラゴンA「勝助!」

ドラゴンB「しょうちゃん」

ドラゴンC「よろしくね」


「ああ、こちらこそよろしくお願いします」


「じゃあ旅に出るか」


「ドリルメテオ!」


「ドカン!」


「やったか」


またゲームオーバーかと冷や冷やしたがドラゴンが守ってくれた。守ってくれたのはドラゴンA。一番小柄でかわいらしい見た目をしている。


「しょうを傷つけようとした。許さない」


「ぐわーーーーーー」


ドラゴンAは火を吐いてプレイヤーを難なく倒した。


「しょう、無事でよかった」


「君も俺を助けてくれてありがとう。君の名前は?」


「ドラコ!」

「最強の上位竜なんだぞ」


「そうなんだ。俺も君に会えてうれしい」


「私も、しょうが好き」


「ねえ、あれ見て!」


「ん?」


「猿軍団が我々に向かってきてる」


「なんだと!」


「我々が迎え撃つ。勝助は待っててくれ」


「ズバッ」


「私のパパとママと兄さんだったら大丈夫だよ。だって最強の竜だもの」


「そうだといいが」

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