表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/40

第一章2

 ★


「ふっうーーーーーーーーーん」


 羽伊奈の席で頬杖付いてこちらに向いて座る若紫詩衣奈わかむらさきしいなが、眉で八の字を作って口をへの字に曲げている。

 心の底から納得いってませんってのが雰囲気で伝わる。

「不満? はっ! もしかして嫉妬か?」

「馬鹿。不満っていうか……、あんたみたいなのがどうしてって感じ。私や礼二ならともかくね。ま、付き合ってまだ一週間も経ってないんでしょ? そのうち向こうから振られるのは分かってるけどね。私が意外なのは、羽伊奈さんってあんたみたいなタイプ、むしろ嫌ってそうじゃない? やっぱり注意しといた方がいいわ」

 礼二。中学の時の親友だ。詩衣奈とも知らない仲じゃない。

 あの頃の、数少ない、最後まで俺の味方をしてくれた友達。

「なんでそんなことが分かるんだよ。詩衣奈だって、羽伊奈と出会ってまだ二週間だろ? 同じクラスだけど、口を交わすことさえ今のところ無いじゃないか。それで羽伊奈のこと分かったような口を効くのは傲慢ってもんだろ」

「私が言いたいのは――」

 詩衣奈は頬杖を解き、俺を睨めつけた。

「時間の問題ってことよ。あんたは羽伊奈さんが女子相手だと社交的だって思ってるかもしんないけど、男子とそう変わらない。気に入った相手となら羽伊奈さんは仲良くなるけれど、気に入らない相手とはとことん相容れない。自分で言っててわかるでしょ? はあーあ。ま、今は入学して間もないからあんたのことに羽伊奈さんも気づいていないんでしょうけど――」

 そこで俺は詩衣奈を遮って言う。

「分かってる分かってる。俺とお前だけじゃないもんな。うちの中学から上がってきてる奴。幸い、このクラスにはいねーけどさ。他のクラスにはいらっしゃいますし。つったって、向こうだってもう俺のことには気づいていそうな……って、んなわきゃねえかー。いやでも待てよ中学の奴らと接点があったらほら絵里とかと話してるとこだって俺見たことあるし。あれそもそも絵里って俺んこと知ってるんだったっけってむぐぐぐぐぐ」

 詩衣奈が俺を無理やり黙らせて言う。


「例え気づいていたとしても――時間の問題ってことよ」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ