マリーゴールド
「「おらっ!」」
春馬は豪快にダンクを決めた。
「さっすが〜、いつものことながら早いねぇ」
「またスピード上がったんじゃないですか?春馬くん!」
「そんなこと言って、先輩だって早いじゃないですか、それにユーゴ、ディフェンスが悪いな。普通あんだけ詰めてたらファールを取られてもおかしくなかったぞ。それと体幹をもっと鍛えないとな。」
「春馬くん厳しいっすね、、」
「まぁ、ユーゴ。それだけ春馬がお前に期待してるってことだよ。まぁ、ディフェンスが甘いのには変わらないんだけどね。」
「先輩まで、、、」
時計を見ると14時になっていた。
「あ、すんません。今から用事入ってるんでもう帰りますね。」
「あぁ、そっか じゃあな春馬。明日もいつも通りコートでするから、来いよ?」
「もちろんっすよ。」
俺はロッカーで着替えて、自転車を走らせる。
今日は、ユカリに勉強を教える約束があったから、、、
コートからユカリの家まではそう遠くない。
そこを曲がれば着く。
そう思っていた時
周りの様子がおかしいことに気づいた。
パトカーが2台も止まっていて、野次馬が沢山いた。
野次馬の中から女性の叫び声も聞こえた。
俺は、その叫び声を忘れることが出来ない位の衝撃を受けた、、、
「離しなさいよ!!!
大体ね、そこの女が悪いのよ。私が春馬のこと好きって知ってて、その上彼女の振りまでして こんなやつ殺した方がいいに決まってるでしょ!!!!」
「おい、早くこの女落ち着かせろ。手錠がかからないだろ。」
「それと救急車はまだか?早くしないと出血が酷すぎる。」
俺は、必死になって野次馬を押しのけた。
そこには、血まみれのユカリに懸命に救命活動をしてくれている人と、俺のストーカーをしていた女が包丁をもって暴れている所を抑えている警察官がいた。
俺は持っている荷物を全て落とし、膝から崩れ落ちた
「春馬!!!
違うの、これはね邪魔者を駆除してたの。だから私は悪くないの!!!!だから助けて!!!!!!」
ストーカー女が叫んでいるが、何も耳には入らなかった。
ただ自分の彼女の有り得ない状態が、夢だ 夢だ! 夢だ!!と思い込もうとしている自分に現実を押し付けているだけだった、
ユカリは助からなかった、、、
ただ悲劇はこれだけでは、終わらない。
彼の壊れかけた心を容赦なく粉砕していくのであった。