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週刊スキルメール  作者: 鴨川京介
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 -05.共犯者

 明くる朝、美香にもう一度誰にも言わないように念押しして、学校前まで送っていった。

 昨日の朝より距離が近い。

 現金な奴だ。


 俺は途中のスーパーの前にある宝くじ売り場に寄ってナンバーズとロトとビンゴ5の投票用紙をそれぞれ10枚づつくらいもらってきた。

 俺はしおりと合流し、義男と合流して学校に向かった。

 授業は滞りなく進んだ。結構面白い先生が多いようだ。

 授業は中学からの復習のような範囲だけど、スムーズに頭に入ってきている。


 昼休みになり、俺が母さんに作ってもらった弁当を広げようとしていると、しおりと義男がやってきた。弁当を一緒に食べようってことらしい。

 俺は隣の席のイケメンの翼君に断りを入れて、今日は屋上で弁当にすることにした。

 翼君からも誘われてたんだけどね。クラスの女子の目が厳しくて…。

 俺を邪魔者扱いするんだよな。


 俺は解放された気分で2人と屋上に向かった。

 何組か先約はいるようだが、隅の方が空いていたんでそちらに行って座り込んで弁当を広げた。

 明日からもここで食べるんなら、敷物が欲しいな。


 俺はいただきますしてから弁当を食べた。

 うん。今日もうまい。さすが母さんクオリティ。


 俺は放課後の検証のことをそれとなく話し出した。

「今日の放課後って二人とも時間空いてる?」

「俺は昨日話してたサッカー部を見に行きたいんだけどな。」

「私は別に予定はないわ。しいて言えば紀夫と行くバイトを探すぐらいかな。」

「う~ん、そうか。なあ、義男。今日は俺に付き合ってくれねぇ?サッカー部は俺も付き合うからさ。しおりも頼む。」

「え、いいけど、何があるの?」

「うん、実はこれなんだ。」

 と俺はナンバーズの投票用紙をブレザーの内ポケットから2枚ずつ取り出した。


「実はある人から高校の入学祝にってお守りもらっちゃって。なんでも開運のお守りらしいんだ。それで昨日帰り際にスーパーの宝くじ売り場でスクラッチやってみたんだけど…。」

「え?当たったのか?」

「うん。当たった。そこでこのお守りの効力というか、それを検証してみたいんだよ。」

 と俺はどうやって検証するかを話していった。


「初めの購入金はまず俺がスクラッチを10枚買って捻出する。」

「うん。」

「それで外れたら、検証は終わり。昨日当たったお金でパフェでもおごるよ。で、当たったら、次にお前たち二人が選んだ数字を俺がそのお金で買う。もちろんそれが当たれば当選金は君たちのものだ。俺はどこまで効力があるかを確かめたいだけだからね。で、今日はしおりがナンバーズ4で義男がナンバーズ3。それぞれが当たったら、明日はそれを入れ替えて義男がナンバーズ4、しおりがナンバーズ3という風に検証していきたいんだ。それが終わったら今度は俺が選んだ数字をしおりと義男がそれぞれ買う。その次は俺が数字を選んで俺が買ったものを二人にプレゼントする。土日を除いた毎日抽選があるから今日は木曜日だろ?明日が金曜日そして来週の月曜日で、検証は終わり。どう?付き合ってもらえない?」


「それはいいけど、元はお前の金になるんだろ?お前が自分で買えばいいんじゃないのか?」

「俺はこのお守りがどれぐらいの範囲で効くのかを試してみたいんだよ。それにうまくいけば俺たち三人ともお金が入るしな。」

「それってよっぽどだよな。お前、昨日そのスクラッチでいくら当てたんだ?5千円?まさか一万円じゃないだろうな?」

 と義男は俺の襟首をつかんで前後にゆすってきた。


「目が回るからやめてくれ。話す前にこのことは絶対誰にもばれちゃだめだぞ。その代わりお前たちが買ったくじはお前たちにすべて上げるから、それを口止め料としてくれ。」

「わかったよ。それで、昨日いくら当たったの?」


 俺は二人に顔を近づけてぽそりと

「300万円」

 と呟いた。


 二人が叫びそうになるのを予測してたんで、二人共の口を手でふさいだよ。

 もごもご言ってるけど、こんなところで大声出されても困るからね。

「絶対叫ばないでよ?で、昨日の夕方の抽選に間に合いそうだからナンバー4とナンバー3、それにビンゴ5を買ったんだ。」

 二人はコクコクとうなづいた。


「そしたら全部1等が当たった。」

 また叫びそうになったが今度はお互い自分の口を慌てて抑えた。


「き…金額は?」

 俺はスマホを見ながら答えた。


「ナンバーズ3が113,500円。ナンバーズ4が711,500円。そしてビンゴ5が9,155,300円で合計で9,980,300円になって俺の口座残高が1千万円超えた。」


 あ、なんかこれ見たことある。

 昨日とおんなじだ。

 二人とも息をのんでしばらく荒い呼吸をしていた。

 落ち着いたところを見計らって


「だから、ちょっと協力してくれない?」

 と聞くと、二人は無言で何度も首を縦に振った。

 当選金額の多い週に1回抽選のビンゴ5は母さんと美香のために再来週までは保留。

 だから、毎日少しづつでもナンバーズを検証することにしていると話した。


 俺たちは放課後、足早に駅前にある宝くじ売り場に向かった。

 昼間渡した投票用紙にはすでに数字が書き込んであるようだ。

 俺も確認したが、間違いはないようだ。

 まずは俺の運ってやつを二人に見てもらうことにした。


 俺はスクラッチを10枚購入した。

 いくつかの束から選ばせてくれたので、その中から一つ選んだ。

 しかし、見せてもらった中でほかにも2つ気になるのがあったのでそれも購入した。

 全部で30枚。6,000円。

 俺は昨日の当選金の残りからそれを払った。


 一番初めの10枚だけ取り出して、あとの20枚は内ポケットにしまい込んだ。


 近くのバーガーショップでハンバーガーでも食べながらスクラッチを削ることにした。

 高校生はいつも腹ペコなんだ。

 しおりと義男に5枚ずつ渡して削ってもらった。

 これも検証の一つだ。俺が選んで他人が削る。これで当たるのか。


 結果、昨日と同様に1等から5等までが10枚の中から出てきた。

 二人とも口をパクパクしている。

 俺は二人から預かっていた投票用紙をもって、スクラッチの3等以下の当たり券と共に宝くじ売り場の窓口に出した。それぞれに1口の投票券を渡して番号を確認してもらった。

 俺は差引10,800円を窓口のおばちゃんからもらい、その場を後にした。


 二人ともまだ衝撃から復帰していない。

 俺が渡したナンバーズの投票券をじっと見ていた。


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宝くじ購入の描写がありますが、現実では未成年への販売を取りやめているようです。

フィクションとしてお楽しみください。

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