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週刊スキルメール  作者: 鴨川京介
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 -08.プロジェクト始動

「それに汗流すためには、駅前のホテルに併設されているスポーツジムに会社として加入して、社員は利用できるようにしようと思うんだ。」

 これには全員がキャーと悲鳴を上げた。

「え?あそこタダで利用できるの?まじ?」

「うん。あとで契約に行っておくよ。皆さんも利用してくださいね。多分運動したくてうずうずしてくると思いますから。」

 俺は全員にそう言った。


「話を戻しますね。3.はあとでまとめて話しますので飛ばして、4.の温泉計画は米田工務店にお願いして、図面が上がってきたそうなんでそれを見て検討してください。お年寄りが利用する前提で、段差とかスロープとか手すりとか必要になってくるところもあると思いますし、車いす利用もあり得ると思っています。それとくつろげるスペースも欲しいですし、中の売店で販売するものも選んでください。それと昨日お願いしていたデザインはできてますか?」

 と俺が聞くとしおりが

「パソコン上では一応完成してるわ。」

「じゃあ、それをプリントアウトしておいて。あとでみんなで見て決めよう。」

 しおりはさっそく自分のパソコンをいじりだした。


「では続き行くね。それ以外のリサイクル項目を考えてほしいんです。例えばこれは俺たちみんなで考えたんですが、宝石やパワーストーンなんかをうまく販売できないかと考えています。」

 と言いながら俺はアイテムボックスから水晶の原石を取り出した。

「例えばこの水晶。これはまだ加工前のものですそういう原石をいくつか先日卸商から購入してきたんです。これを見てもらえばわかりますが、不純物が混じって濁ったり、欠けていたりしています。これをアイテムボックスで不純物を解体し、欠けているところを復元します。するとこうなります。」

 と、俺は一度アイテムボックスにしまって加工してから会議机に出した。

「すごい。透明度が上がって、欠損もなくなってる。」

 皆がそれを手にとって口々に感想を言い始めている。

「それをさらに俺の中で学習した様々なものの形に加工することもできます。」

 と、俺は水晶の自由の女神像を会議机に置いた。これには曇り一つなかった。

「ここまで純度が上がっているとガラスなのか水晶なのか見分けはつかないわね。」

 他にも水晶球やほかの宝石の粒も大量に出してみた。

「これらはすべて原石から購入しているので加工品に比べてはるかに安いです。しかし、この粉々になったもの。こういうものが輸入できないでしょうか。これらを収納して加工することでこんなことができるんです。」

 と、粉末状になった宝石を収納してそれらから不純物を取り除き一つの塊として球で出した。

 みんなはそれを見て息をのんだ。


「これはルビーですが、こうやって粉々になっているものからでもこうやって復元できるんです。多分こんな大きさの球のルビーは世界中探してもないかもですけど。」

 俺は20㎝程の直径があるルビー球をみんなに見せた。

「宝石の砕かれたものを入手するルートがあればダイヤモンドであろうと再生できます。初めは質流れの指輪なんかを加工してデザインしなおして販売しようかと考えたのですが。」

 と、質屋から購入したままの指輪と最新デザインに加工したものを出した。

「原価がかかりすぎるんです。それに鑑定書もついてませんからね。これじゃ宝石として売れないんじゃないかと思うんです。」

「鑑定書なら有名な宝石店で出してくれるわよ。それなりに値段はかかるけど。」

「う~ん。これらの入手元が出せないんですよね。質流れの商品を加工したものですから。割り切って、マジカル・ワールドで加工したと言い張るのも一つの手なんですけどね。」

 そう言ってそれらの指輪もみんなに見てもらうために回した。

 それぞれが手にとって光に透かしたりして見ている。

「そこでパワーストーンぐらいに利用するのが丁度いいかなと思っていたんです。」

「なるほどね。わかったわ。これはみんなでいろいろ考えながら候補を挙げていって紀夫君が試してみるって方法で試行錯誤していくのね。」

「はい。思いついたらすぐ言ってもらえれば材料を買いに走りますんで、いろいろ考えてください。あ、それと。」

 俺は部屋の隅に置いてあったスタンドピアノに向かった。


「このピアノも昨日リサイクルセンターで買ってきたんです。3,000円でした。これをこうすると…。御覧のように新品になります。」

 俺はピアノを一度収納して修復、復元してから元の位置に戻した。

「美智子さん。弾いてみてくれませんか?音が外れているとか、弾きにくいところがあるとか少し試してみてください。」

 そう言って(徳田)美智子さんにピアノを弾いてもらった。

 流れるように左から右に弾いていき、俺たちが知っている歌謡曲をジャズ風にした感じで弾き出した。

 これには俺もテンションが上がった。


「すごーい。美智子さんすごく上手。」

 と美香も大興奮だ。

 しばらくピアノリサイタルは続いたがやがて終わり美智子さんは俺を見て言った。

「調律の狂いもなく完璧ですね。それに新品のようです。」

 と、ピアノをなでながら言った。

「よかったです。今このピアノを鑑定したら300万円程の値が付いていました。」

「そうですね。その程度のピアノだと思います。」


「こんなリサイクルでの転売も考えられるんです。今受けているのは呉服の修繕です。これだけで月に1,000万円程になっています。この修繕方法と洗浄方法は玉田家の秘伝で、その部分を探らないという条件で呉服店から修繕を受けています。」

「そういえばのりちゃん。呉服店からどこまで受けてもらえますかって電話があったわよ。かなり量が多いみたい。」

「それはこの後母さんと俺とで一度呉服店に行ってみようよ。今度から会社で受けることになるしね。」

 母さんは納得してくれたようだ。


「あ、あと、この階にあるすべての部屋を昨日買い取ってきました。この部屋と同じ間取りがあと二部屋です。そこの使い方も検討してください。」

 とそれぞれ3502,3503と書いてあるカギを会議机に出しておいた。


「基本この部屋に出勤するということでいいと思います。この部屋のカギを人数分用意しますね。だからこの3502と3503のカギはこの部屋のどこかわかりやすい場所に置いておいてください。」

 俺はそう言ってあとの打ち合わせはそれぞれに任せて、母さんと一緒に呉服屋に行くことにした。


 その呉服屋は駅前商店街の中にあった。

 俺たちは呉服店に入ってごめんくださいと声をかけた。

 俺は先日買ったスーツ姿だ。ポケットには名刺も持っている。

 しばらくして店主が出てきてくれた。


 店主に話をして、今後こういう洗浄修復を引き受ける会社を作ったのでそことのやり取りになること、納入先は今まで通りうちの蔵でいいことなどを話した。


「いや~。あれから様々なところで修復をお願いされて困っているんです。今まで以上の量を受けてもらうことはできますでしょうか?」

「…いったいどれぐらいの量なんでしょうか?」

「先日の量が大体1,000枚で、一枚当たり1万円としてお願いしておりました。どこまで直るのかこちらも模索しておりましたので。こちらが前回の補修の再評価額からの修復金額の差額です。」

 と、5,000万円ほど積み上げた。


「これは、希望小売額と元の値段の差を、折半した状況です。今まで使い物にならないとあきらめていた着物が新品によみがえったのです。これらはそのままもうけになりますので折半が妥当だと考えた次第です。」


 なるほどね。それならもう一歩踏み込んでみようか。


「実は私どもの秘伝に『鑑定』というものがあるんです。それでどこをどう直せばいいのか、材料はどんなものを使ってるのかがわかるので修復もできるのです。それには大体の金額を出すこともできます。つまり、評価額というやつですね。それをつけさせてもらいます。」

「へー。そんな秘伝が。まあ、私どもはプロとして目利きには自信がありますので、それでよろしければ評価額を決めていただいてもかまいませんが。」


 う~ん。ちょっとプライドを傷つけたかな。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] フィクションとしてるので、つまらないことはスルーしますが、ワンフロアを買ったので、スケルトンにして、間取りを切り直したらどうでしょうか?
[気になる点] 何を目的としているのかわからない。お金を稼ぐのなら投資だけでいい。社会貢献がしたいなら利益で会社を買収してもいいし、他の仕事でもいい。宝石は大口は出来ない。リサイクルでは儲けは中途半端…
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