6.勇者くんの悩み
翌日、次の街を目指して出発である。
『勇者くん、今日も頑張ろうねー』
「うん、今日もよろしくアインザー」
と俺をひと撫でする。
そして街の外へ出た。しばらくすると魔物がうじゃうじゃである。俺の活躍時だな!むふふ。
『さあ勇者くん行こうじゃないか!』
と俺はウキウキである。
「う、うん……」
と勇者くんは目の前のスライムへ駆け、切り裂いた。
うんうん、昨日よりいい手際になってるじゃん!流石勇者くーん。
……でもハッキリ言って……クラウスくんの方が手際がいいね……。魔術でズバズバ倒してる。
それを感じたのか勇者くんはクラウスくんを見てため息をつく。
「やっぱりクラウスは凄いな……」
と俺にだけ聞こえるぐらいで勇者くんは呟いた。……勇者くん……。
それからしばらく進み続けた。勇者くんに色々指南もしながら。……俺ってば経験は豊かな剣だからね!悪の方にだけど……ぐすん。
勇者くんは指南するとスルスルと飲み込んでくれた……案外要領は良いようだ。てか、やっぱ素質はあるな?……でーもなんか自信が無さげである。
お昼の休憩中、勇者くんにコッソリ聞いてみる事にした。
『勇者くーん?何で君はそんなに自信無いのさ?コツさえ掴めればイケてる方になると思うんだけどなぁ……やっぱクラウスくんがネックなの?』
とスバリ突っ込む。
「あ、アインザーっ!」
と周りをキョロキョロして焦る勇者くん。
『あー大丈夫、大丈夫。勇者くんと俺の声は、クラウスくんとハンナちゃんには聞こえないように魔術でしてあるからー』
「そ、そうなんだ……」
と息をつく勇者くん。
『んで?何でそんなに自信ないのさ?このアインザーに話してごらん?』
「う、うーん……」
『まあ、話したく無ければ良いんだけどねー』
勇者くんはしばし黙り込んでしまった。
「……僕……僕は……クラウスの方が勇者に相応しいと思うんだ……クラウスは剣も強いし……それに……」
『それに?』
「……クラウスはずっと勇者に憧れて居たんだ。それでずっと修行してた……だからのんびり農家をしていた僕なんかよりもずっとクラウスの方が勇者に相応しいんだ……」
『ふーむ……クラウスくんへの負い目か……。でもレオンくんも勇者に憧れはあったんだろう?』
「まあね、そりゃ僕だって憧れていたさ……でもなれるなんて思ってもみなかった……だかさ、その……ちょっと自信が無いんだ……」
『大丈夫!レオンくんなら立派な勇者になれるさ!この俺が保証しようではないか!』
「ありがとう……アインザー……」
と勇者くんは弱々しく微笑んだ。
『だからこれまで以上にビシバシ指南するぞい!頑張れーレオンくーん!』
「うわー……大変そう……でも、よろしくお願いします。僕は立派な勇者にならないといけないんだ……!」
『あーダメタメ!ならないといけない!とか追い詰めちゃダメー!そのうちなれるや!ぐらいの心意気でさ!ほら!肩の力を抜いてーリラックスーリラックスー剣にまで緊張は伝わるんだぜ?』
「え?……うーん……リラックスね……でもそんなんで良いの?」
『今の勇者くんにはそれが必要だと思うなぁー』
「…………分かったよ……リラックスしてみるよ」
『うむ、それでいいのだ!』
「レオン、そろそろ行くぞ」
とクラウスくんが近づいてきた。
「あ、ごめん……そうだね、行こうか」
と勇者くん一行は再び進み出した。
……クラウスは勇者くんをちょっと不満そうに後ろから見ていた……。……もしかしてクラウスくんは……ふーむ……。
そして、ほぼほぼ順調に次の街へ着いた。頑張ったね勇者くん。お疲れ様。
……さて、勇者くんとクラウスくん……どーすべきか……。このアインザーの出番かな?




