30.二人旅
翌朝、勇者くんはサーシャさんに名残惜しそうに別れを告げて、クラウスくんと合流した。
そこには村人が集合していた。勇者くん達を見送ってくれる様だ。
皆が皆、レオン頑張ってねとか、クラウス頑張れーとか、色々声を掛けてくれた。
「皆ありがとう……行ってくるよ!じゃあね!」
と勇者くん達は村を後にした。
遠くになっても村人は手を振ってくれていた。それが勇者くんにはウルウル来たようだ。グッと涙を堪えている。
『いい村だったねぇ……勇者くーん』
「うん、皆いい人だから……」
とちょっとグズグズだ。
『さて、勇者くーん。ここから先は魔物が闊歩する領域だよー?気を取り直してシャキッとするっ!』
「う、うんっ」
と勇者くんは目の周りをゴシゴシした。
『クラウスくんはどうだった?』
「相変わらずだったな……心配されたが……」
『そっかそっかー』
とか言っていたら魔物が出現した。まあ、弱ーいスライムとかである。
すぐさま勇者くんとクラウスくんは剣を手にしてスライムをぶった斬っていく。
クラウスくんの剣も魔剣の類になるのでスライム系にも斬撃が効くのだ。
「……手応え無いな……」
と殲滅し終わってクラウスくんは呟く。
『まあねぇー。お二人さんが強くなり過ぎたのさーん。でもこの先はドンドン魔物が強くなっていくからねー』
「そうか……なら退屈しなさそうだ」
とクラウスくんは不敵に笑う。
「……僕はあんまり敵が強くなくていいんだけど……」
と勇者くんはため息をつく。
そうしている間にも次の魔物が襲い掛かってきた。ので、二人は簡単にぶった斬っていく。
昼食はそれぞれの家族が持たせてくれたお弁当を食べた。
それにまた勇者くんはウルウル来ていた……勇者くん……。
『そういや、お二人さんでの二人旅って初めて?』
「そうだね……僕は村も出たこと無かったし」
「だな。ところでハンナは元気にしているのか?」
『元気に修行しているよー。めちゃ頑張ってるよ!襲撃とかも聖堂教会の中だし心配無いよ!』
「そっかー良かったー」
と勇者くんは微笑む。
「ああ」
とクラウスくんもちょっと微笑む。本当はもっと喜びたい癖にー。ふひひ。
『さて、そろそろ行かないかね?日が暮れたら弱い魔物の領域といえヤバいぜー?』
「うん……そろそろ行こうか」
「そうだな」
と二人は立ち上がって歩み出した。
道中そこそこ二人は喋りつつ魔物を蹴散らしながら進んでいく。
うーん……この辺には二人に手応えのある魔物がいないなぁ……ちぇっ。
そしてはっきり分かった……ハンナちゃんがいない二人旅は潤いが無いっ!!……まあ俺は分体でハンナちゃんと共にいるから大丈夫だけど。ふふふ。
それはもうハンナちゃんは毎日丁寧に分体をお手入れしてくれますとも……ふひひ。
でもまあ、勇者くんとクラウスくんの間に口数が少ないといえども、二人は阿吽の呼吸で繋がっているから大丈夫そうだけど。……熟年夫婦かよっ!
そして夕方ぐらいに次の村へ着いた。こじんまりととした村だ。でも勇者くんの人相は知れ渡っているようで歓迎してくれた。
二人が夕食を取り終わって、部屋で休憩していると部屋のドアがコンコンとノックされた。
「勇者様、夜半に失礼します……この村の長老です」
「どうぞ」
と勇者くんは迎え入れる。
「ありがとうございます。勇者様……突然で申し訳ないですがこの老いぼれの忠告を聞いては貰えませんかね?」
「何でしょうか?」
「それが……ここ最近この付近に盗賊団が出没する様で……勇者様なら大丈夫だと思いますがくれぐれもお気を付けて下さい」
と長老は心配そうだ。
「……盗賊団……」
と勇者くんは眉根を寄せる。魔物じゃないもんね……。
「ちっ、めんどくさいな……」
とクラウスくんは眉根を寄せる。
「うん……うーん……盗賊団かぁ……人か……」
『勇者くん……大丈夫だよ。必ず出会うわけじゃないし』
「そうだね。……長老さん……ご忠告ありがとうございます」
「はい、ではお気を付けて……」
それから長老に盗賊団のだいたいの出没場所を聞いてから長老は帰った。
「アインザー……盗賊団の居場所感知出来るか?」
『うーん……村以外に人が多くいる場所があるからそこかな?』
「なら明日はナビゲート宜しくね。会いたくないよ……」
と勇者くんは俺を撫でる。
『任せてよーん……んで勇者くーん……そろそろお手入れしてくれませんかねぇ?今日いっぱい働いたっしょ?』
「はいはい……」
と苦笑いしつつも丁寧にお手入れ開始してくれる。
『あふん……んんっ……いやん……しょ、そこらめぇーん』
と今日も一日が過ぎました。
※次の更新は1週間後の土曜日になります。
週1連載に切り替わります。




