26.パーティ離脱します
翌日、メイドさんがやって来て再び姫様からお茶会へのお誘いだとメッセージカードを渡された。勇者くんが参加の返事をするとメイドさんは直ぐに下がってしまった。
『ふひひ……勇者くーん。良かったねぇ』
「う、うん」
と勇者くんは幸せそうにメッセージカードを抱きしめている。
「すまんが……俺は今日は不参加にさせてほしい。まだ訓練がしたいんだ……」
「…………訓練……そうね……そうよ。……私も訓練しないと……」
とハンナちゃんは手を握り締める。
『ハンナちゃん?……大丈夫?』
「ハンナ?」
とクラウスくんもその様子を変だと思ったらしい。
「……私……今のままではダメなの……だから一旦……パーティを離脱させて下さい」
と思い詰めた顔で俯く。
「……抜けてどうする……」
「……王都の聖堂教会で修行をやり直します……お願い……」
「そんな急にどうして?」
と勇者くんは困惑顔だ。
「急じゃないわ……ずっと思ってたの……私、足でまといだって……皆に守ってもらわないと満足に戦えないんだって……同じ様な立場だったクラウスも新しい力を手に入れてしまったし……もう私だけなのよ……」
と涙を零す。
そうハンナちゃんは領主邸に居る頃にクラウスくんの新しい力を目の当たりにしている。……勇者くんはまだだけどねー。
それで思い詰めたのだろうな……。真面目な子だから……。
「……分かった……だからそう思い詰めるな」
とハンナちゃんの思いが分かるクラウスくん。
「ありがとう……クラウス。レオンも良い?」
「うん……ハンナがそう思っていたなんて……ごめんよ……」
「ううん……私が悪いの……だからしばらく離脱するね」
「うん……元気で……」
「……アインザー……ハンナにも分体は持たせられないのか?」
と無茶振りが飛んできた。
『ええ、えーっ?何で?』
「勇者のパーティメンバなんだ……離れた途端配下に狙われたらどうする……」
『ああー……それもそうだよねー……はぁん……仕方ないなぁ……とか言うと思ったか!無茶言うなよぉ!おおん……流石に三分割は無理ですん……だからクラウスくんの短剣をハンナちゃんに渡して』
「その手があったな……ほらハンナ」
と分体の短剣を差し出す。
「良いの?……クラウスの先生なんでしょ?」
『あー……クラウスくんはもう大丈夫だから。気にしなーい気にしなーい。それに勇者くんと一緒に居るんだからいつでも指南できるしー。ほら受け取ってーハンナちゃんにこそ必要だわさー』
と分体から喋る。
「ありがとう……二人共……」
とゆっくり短剣を受け取った。
『んじゃあ聖堂教会まで送ってあげますよーん』
と陣を出現させる。
「……じゃあまたね……強くなって帰ってくるからね……」
とハンナちゃんは姿を消した。
『……寂しくなるねぇ……特にクラウスくん……』
「そうだね……でも何でクラウスが特になの?」
と首を傾げる勇者くん……鈍いっ!
『それはねー……』
「折るぞ……」
とドスの効いた声がした。
『ひぃ……ごめんなさい、ごめんなさい。言いません。許してください魔王様』
「……誰が魔王だ……この駄剣……。まあ言わないなら許してやる」
『ありがたき幸せー』
「一体何なの?」
「……お前はまだ知らなくて良い……」
「えー何それー?」
『とにかく勇者くん……そろそろ姫様とのお茶会の時間じゃないの?遅れるよ?』
とクラウスくんへ助け舟だ。
「はっ!そうだ!行かないと……でもクラウス一人で大丈夫?」
『大丈夫よー俺が色々教えましたしー。移動術だって習得したのよこの子……怖いわー。まあ、一応心配なんで守護は掛けとくけどね』
とクラウスくんへ守護魔術を掛ける。
「複雑だな……だが、ありがとう……じゃあな」
とため息をつくクラウスくん。
そしてクラウスくんは移動術で消えてしまった。
『ほら勇者くん!姫様の所へ行かないと!』
「う、うんっ!」
と駆け足で勇者くんはこの前の中庭へ向かった。
そして姫様と二人っきりで幸せなお茶会を過ごしましたとさー。良かったねぇ。
連載を土曜日(24日)から週1に変更しますのでお知らせをご覧下さい。
すいません。




