10.洞窟の魔物
洞窟への道中も苦戦すること無く順調だ。勇者くんも剣を振るうことに慣れてきたかな?
「……アインザー……洞窟にはどんな魔物が居る?」
『えー……行ってからのお楽しみー』
「……折るぞ……」
と地を這う様な声を出すクラウスくん。怖いぃ……。
『く、クロウベアですぅ……数体いますぅ……』
と正直に吐くしか無かった。
「ちっ……凶暴な魔物だな……レオン……気を付けろよ……」
「分かってるよクラウス。クラウスもね」
「ああ」
「アタシはー?」
「……俺達が守るから大丈夫だ……」
と頑張って照れない様にしているクラウスくん……健気ー。てか、俺がって言えば良いのに……。
「うん、頼りにしてます」
と微笑む。……あっ、クラウスくんの心臓にクリティカルヒットしたな……。
『さてさて、そろそろ洞窟だよー』
とクラウスくんへの助け舟だ。
「……結構広い洞窟だね……入る?」
「魔術であぶりだしても良いが……村の方へ逃げられると厄介だからな……入った方が良いだろう」
「き、緊張するね……」
とハンナちゃんはロッドをぎゅっと握る。
『大丈夫よー。みんななら出来るっ!』
……ちょーっと手強い魔物かもしれないけど……。
「ありがとう……じゃあ入るよ……」
と勇者くん達は慎重に洞窟を進んでいく。明かりはクラウスくんの魔術だ。
しばらく進むと無数の大きな爪痕に、無残な村人の姿もあった……。
「ひ、ひどい……」
とハンナちゃんは口を覆う。
「……近いかもな……」
とクラウスくんは辺りを警戒する。
「う、うん」
と勇者くんの喉が鳴る。俺を握る手がちょっと汗ばんでいる。
『……もうすぐだよ……』
とクロウベアの気配を感じた。……とりあえずは一体の様だ。
少しするとクロウベアはその巨体を現した。……勇者くん達よりかなりデカイ。
そして、その名の通りの鋭い爪である。勇者くん気を付けてね。
クロウベアは開けた場所で村人の骸を漁っている様だった。
「まだこっちに気付いてない……行こう」
と勇者くんは小さく呟いて駆けた。あー……勇者くん危ないよー。
勇者くんが俺を振り下ろす……がクロウベアは瞬時に振り向き、鋭い爪で俺を受け止めた。……やっぱり。
「えっ?」
『勇者くん下がって!反撃来るよ!』
勇者くんにクロウベアの鋭い爪が迫る。そろそろ防御術を展開しないとなー。と思っていたらクロウベアが風で吹き飛んだ。クラウスくんの魔術だ。ナイスっ!
「レオン!追撃だ!」
「う、うん!」
と勇者くんは俺を握りしめて、再びクロウベアへ駆け、振り下ろす。
クロウベアは体制を崩していたのでモロにその攻撃を受けた。クロウベアの肩から胸がザックリと裂け、咆哮を上げる。
……あっ、ヤバイ。
『勇者くーん……呼ばれてもう一体来るよー。気を付けてね』
と言うが早いか、もう一体のクロウベアが駆けてきた。
「ちっ……増えやがって……レオンそっちの一体は任せた!」
と出てきたもう一体はクラウスくんが相手をしてくれるらしい。
「う、うんっ!」
と勇者くんは深手を負ったクロウベアと対峙する。
クロウベアはがむしゃらに勇者くんへ攻撃してきた。死にものぐるいってやつだろう。
勇者くんは何とか俺でその攻撃を捌く……ほー防御出来る様になってきたのかね?……あー勇者くんも死にものぐるいね。
『勇者くーん。ちょっと隙を作ってあげるから、一撃で決めなよ?』
とクロウベアへ炎の魔術を放つ。……本気じゃないから軽めだ。でもクロウベアの視界を奪うぐらいは出来ただろう。……さあ勇者くんっ!
「でやぁあ!!」
と勇者くんは俺を一閃させて、クロウベアの首を切り落とした。
『OKーOKー上出来上出来!さあクラウスくんを手伝おう!』
そうクラウスくんは素早いクロウベアにちょっと苦戦中だ。攻撃を避けないといけないから魔術に集中出来ないのだ。ハンナちゃんを必死に守っている。前衛がいないとこうなる。
クロウベアの爪がクラウスくんに迫る!……が勇者くんが俺で受け止めた。ひゅー度胸も出てきたんじゃないの?うひひ。
「クラウス、僕が止めるから魔術を!」
「ああ!」
と勇者くんはクロウベアの攻撃を何度もいなす。ちょっと慣れた?
そしてクラウスくんの魔術……氷の刃がクロウベアの心臓を貫いた。
「よしっ!倒せた!」
と喜ぶ勇者くん。
「ああ」
とクラウスくんも喜んでいる。
「怪我はない?」
と心配するハンナちゃん。
「僕は大丈夫だよ」
「俺もだ」
「……良かった……」
『さてさて、お三人……奥にまだ一体居るよー……何かちょっとコイツらよりデカイかも……』
とすこーしヤバそうな気配を感じる。
「っ!……倒さないと……進もう」
と俺を握る手に力を込める勇者くん。
「アインザー……この先に開けた場所はあるか?」
『んー……あるよ。そこに居るみたい』
と精霊に聞いて答える。
勇者くん達は奥へ慎重に進んでいく。すると先程より大きなクロウベアが居た。
すぐにこちらへ気付き、襲いかかってきた。勇者くんが後衛二人を守る。
「クラウス、ハンナ!詠唱を!!僕が抑えるから!」
と勇者くんは指示を出した。おおリーダーらしいじゃん!
クラウスくんとハンナちゃんは詠唱を始めた。
しかし、勇者くんにどんどんクロウベアの攻撃が向かう。勇者くんだけじゃ防ぎきれなくて俺の防御術が何度も発動する。
『勇者くーん……押し負けてるよー。反撃もしないとー』
「わ、分かってるけど……っ!」
とクロウベアの爪をいなす。
そして二人の詠唱が終わったのか、クロウベアを氷と光が貫いた。巨体が倒れる。
「お、終わった……」
と勇者くんは尻餅をついてしまった。
『うん、もうクロウベアは居ないねー。みんなお疲れ様ー』
「ふぅ……終わったのね……」
「ああ」
『勇者くーん、んじゃあ長老さんへ報告に行ってあげなよー』
「そうだね……ふぅ……」
とゆっくり立ち上がる。
それから洞窟を出て、村へ戻って長老へ報告をした。そしたら大変喜ばれて色々ご馳走してもらった勇者くん達だったのでした。
そしてもう遅いからそのまま村に宿泊しました。……ふひひ……そろそろお楽しみのお手入れタイムですよーん。
ああんっ……今日も気持ち良かったです。




