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第五話 異世界転生には特典が付いていました。

2019/11/7修正実施

閻魔ちゃんの秘書の司録に案内され、閻魔大王の間の扉の前で、椅子に腰を掛ける龍之介。

閻魔ちゃんには先客が入っていたようで、中から声が聞こえてきた。

その声は大きく興奮しているようだった。


「あなたは、鬼畜よ!数多の婦女暴行殺人放火、こんな鬼久々に見たわよ。あなたはミジンコから輪廻転生を繰り返し、魂の浄化をしなさい!人間になったとき善行が出来るよう精進しなさい!あなたは、ミジンコの刑と致します!以上!司録いるんのでしょ?この者を連れて行きなさい」


漏れ出た閻魔ちゃんの声に震える龍之介。


「ミジンコ・・・・・・ミジンコ・・・・・・」


扉の外にいる龍之介に筒抜けに聞こえていた。


「本当にミジンコの刑があるのか・・・・・・ミジンコから輪廻転生を繰り返して、人間になれる日は、いつなのだろう・・・・・・彼は人間になれるのだろうか・・・・・・?しかし、罪状が罪状なだけに情状酌量の余地はなしだな。儂だったら斬っておるところだ」


ミジンコの世界を考えると顔色が悪くなる龍之介だったが、正義感からか?倫理観からか龍之介もまた、婦女暴行殺人と言う罪に対して怒りを感じていた。


「龍之介ちゃん、入って良いわよ。決まったのね」


閻魔ちゃんに呼ばれた龍之介は、閻魔ちゃんの間に入り椅子に座った。

閻魔ちゃんは上段の間の椅子に座っていた。

畳敷きの部屋に、椅子。

しかし、朱色に染められた、木造りの椅子は部屋の雰囲気に合っていた。

先日は畳に直接座っていたのだが、今日は先約の関係でか椅子だった。


「ようやく転生先が決まったそうね?人間界の時間で言うと約1年考えていたのよ。気がついてた?」


「え?そんなに時が経っていたのですか?気がつかなかった。で、結論は安土桃山時代の本能寺へ行きたいのです。変を止めて、織田信長が天下統一をする世を見てみたいのです」


「成る程、良いわね、織田信長ちゃんね、今、本人は天国で囲碁と茶に勤しんでいるけど。龍之介ちゃんの妄想世界で助けるのね。しかし、信長ちゃんは人気者ね。料理人が転生したり、うり二つの高校生が転生したり、女織田信長になりたいなんて言う変わった設定で行った人もいたわよ。今度は平成の大剣豪が転生ね。良いわよ。面白くなりそうね。安土桃山異世界時代許可します。では、装備や、持っていきたい物をそこに記入して頂戴5つまでね」


記入する用紙を差し出す閻魔ちゃん。


「え?」


閻魔ちゃんの言葉に疑問の言葉が出てしまう龍之介。


「龍之介ちゃんは異世界に裸でチンコブラブラさせた状態で転生したいの?それとも、死に装束のまま行く?それじゃ~戦国時代だもの即効殺されるわよね!それに恥ずかしいでしょ?ふふふっ」


持っていく物の希望を書く用紙を受け取る龍之介。

閻魔ちゃんは浄玻璃鏡と呼ぶタブレットを見ながら少し黙っていると、


「あっ!龍之介ちゃんは武芸百般だからチンコブラブラで戦えるわね。合気道で投げ飛ばしちゃえば良いか、 ふふふっ」


龍之介は美少女の微笑みが、どことなく変態の微笑みに見え悪寒を感じていた。


「閻魔ちゃん、失礼ですが、下ネタ好きですか?」


「えぇ、大好きよ、大好物よ。なかったら死んじゃうくらいにね、。下ネタが嫌いな人なんて、そうそういないでしょ?下ネタという概念が存在しない退屈な世界には、私は行きたくないわよ」


(・・・・・・なんだか、いつだか読んだライトノベルにあったような・・・・・・アニメを玄孫とみていたら、娘に怒られてしまった気もするが・・・・・・せっかくの美少女なのに・・・・・・台無しだな)


と、龍之介は心に思っていた。


閻魔ちゃんは再び浄瑠璃鏡と呼ばれるタブレットを見る。


「あら、龍之介ちゃんおめでとう、良かったわね」


「え?はい?」


「龍之介ちゃんは生前、寺社仏閣に願いを聞き入れて貰えないのにも関わらず足しげく通った事で得点が貯まって貯まりまくって、特典で異世界に10個持っていけるのと、出生身分も設定出来るわ。これはなかなか良いのよ」


「そんな得点制度があったのですね?ポイントカードみたいですね。マイレージ?はっ!もしかして、御朱印帳がポイントカード!そんなわけはないか・・・・・・御朱印帳確か250冊くらいになっていたはずだけど」


「そのくらいの特典がなきゃ、神様や仏の意味がないじゃないの、ちなみに神や仏も持ち回りの役職なのよ。意外でしょ?ちなみに御朱印帳はポイントカードではないけどね。御朱印帳はお参りした証しとして本人のお守りよ」


「・・・・・・なんか、天界ってサラリーマンと言うか、役所みたいですね」


「そうよ、役所と一緒。役所広司さんは働いていないけどね。ふふふっ」


閻魔ちゃんは、くだらない冗談も好きなようだった。

再び浄瑠璃鏡を見る閻魔ちゃん。


「あら、茨城県の御岩神社の奥の院も随分登ったのね。あそこは188柱の神様がいるから願い事が叶えやすいのに、龍之介ちゃんは叶えて貰えなかったのね・・・・・・宝くじの事ばかりお願いするからよ。

神様が後押ししたくなるような願い事でなければ駄目なのよ。例えば学業成就、病気平癒、商売繁盛、縁結び、これらで自らが頑張った時には、神様の一押しをしてあげるのだけどね。あら、筑波山神社奥の院も随分登ったのね?筑波山神社、御岩神社なんて茨城県最高クラスのパワ-スポット神社じゃない、本当に神社好きなのね」


「あ~心願成就の宝くじ当選はされませんでしたが、健康長寿は叶ったので。御岩神社や筑波山神社は地元の山だったので足腰を鍛えるのに丁度良かったんですよ。そのおかげで死ぬ直前まで自分の足で歩けましたけどね」


「なるほど、健康長寿を願ったのね。それなら神様の一押しはあったはずよ。でも、本来の目的の宝くじは当たらず、ふふふふふっ、残念ね。まぁあ、考えかたしだいね。奥の院登山のおかげで100歳まで元気だったのね。で、持っていきたいもの10個は書けましたか?」


「ちょっと、待ってくださいよ、いくら何でも早すぎますよ。今、話している間に書けません。

いきなり異世界に持っていく物と言われても、悩みますから。もし、無人島に漂着するとして、何を持っていきますか?って言われたら、とことん悩むほうなんですから」


「それもそうね。悩む時間もいっぱいあるわよ。死んだんだから、ふふふっ」


「それ、好きですね・・・・・・少し時間を下さい」


龍之介は個室に通され、異世界に持っていくものを慎重に悩むのであった。

通された個室は龍之介好みの、書院造の落ち着いた部屋だった。

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