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降臨

ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


その轟音は正忠だけが聞こえるものではなかった。

その轟音は地球全体に響き渡っていた。

静まり返った深夜の大日本合衆国だけではない。

爆撃が続く地、蒸気機関鉄鋼船が沈む地中海、ヨーロッパ、アメリカ、インド、オーストラリア、アフリカ、南極、北極、ありとあらゆる地に同時に響き渡る。

その音は、雷とも地鳴りともわからぬ音。

世界の人々はその音が聞こえると動きを止め空を見上げた。

空には蒸気機関飛行船とは明らかに違うまるで島が空を飛んでいるような物体が宙を浮かんでいた。

世界各地で同時に。

それを目にした多くの者は、世界の終わりを感じた。

神に拝む者、家に入りテーブルの下で丸くなる者、とにかく走り逃げようとする者、慌てふためいていた。

従一位征夷大将軍平和維持連合代表補佐役藤原朝臣三上虎之助正長は、茨城城の天守でそれを見上げ動くことをしないでいた。


「殿、早く避難を」


側近が避難を促す。


「必要ない、大丈夫だ」


「えっ、しかし、殿」


「あれはおそらく・・・・・・」


次男・嵐山城城主・正三位大納言禁裏御守衛総督京都守護藤原朝臣三上鷹之介正光は、急ぎ御所城に参内していた。


「帝、おそらくあれは」


「で、あろうな」


「はい」


三男・勿来城主・従三位権中納言日本国総代大将軍補佐藤原朝臣三上熊之介正忠は、再び岩に向かって話しかけた。


「父上様ですか?」


その答えは返ってはこなかった。


バリバリバリ、バリバリバリ、バリバリバリ、


世界の空は昼であっても夜のように暗くなり稲光が走ったのちに静かになる。


「者ども、我はこの地を、この世界を支配する神、三上龍之介正國なり、愚かにも同じ星で住まう同種の殺し合いを続ける貴様らに嫌気がさした。貴様らには滅びの道を与える、消えよ、行く先は地獄なり、選べ、火の地獄、水の地獄、風の地獄、針の地獄、飢餓の地獄、すりつぶし地獄、ありとあらゆる苦痛の世界に引導を渡してくれよう」


その言葉は世界のあらゆる言語へと変換されすべての者に理解する言葉となって天から響いた。

その言葉を聞いたものすべてが地べたに這いつくばり許しをこうていた。


「貴様らは今、何を願っておる?許しか?自分だけが助かりたいと願う傲慢か?子を助けてくれと言う子孫を残す本能か?しかし、我は許さん、我は甘くはない、この場で許してもまた貴様らは争いを続ける、ならば醜い生命を無に帰すのが我の務めなり」


世界の人々は天から聞こえる声にひれ伏し一心不乱に許してくださいと祈っていた。


許してくれ~


許してください


どうかお許しを


この命捧げますから許してください。


「ふはははは、ふははははは、ふははははは、今、貴様らは心を一つにした、その心を忘れるな、今回は見逃してやる、この日の出来事を子々孫々伝えよ、争いが起きた時我は再びこの地に来る、ふははははは、ふははははは、ふははははは」



島のような巨大な浮遊物は一瞬にして消え去り、暗闇のさらには七色のオーロラが物語の幕を下ろすかのように降り注いでいた。

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