宇宙の旅・統率
敵意を感じ、その腕輪に向けて春が刃を向けエリリも抜刀しようと右腕を動かした所
「やめなさい」
大声で制止するパカル。
「龍之介様は地球の代表大使、そのような方に怒りに任せて危害を加えようとした
この者の行動は如何なる理由があっても許されない行動、春殿は護衛の任務を
しただけの事、タキムクに非があります。」
と、床で倒れているタキムクを蔑む目で見ていた。
その言動で他の船員は腕を降ろしていた。
龍之介はタキムクに歩み寄る、恐れて斬られた右腕を左手で押さえながら足を
バタつかせて後ろに逃げようとするタキムク。
龍之介は落ちていた右腕を拾い逃げようとするタキムクを抑え込んで斬られた腕と
腕を合わせる。
血が噴き出し続けている腕に龍之介が手を翳すと白い光が傷口を包みだす。
「悪かったな、だが大丈夫、ほらもうもとどおり。」
噴き出していた血は勢いが止まり、蒸発したかのように消えていき傷口も
ふさがっていく、白い光が消えると斬り落とされた腕は何事もなかったかのように
繋がっていた。
床に座り込み、グウパアグウパアを繰り返したり上にあげたり前に突き出したり
しながら自分の腕の感触を確かめるタキムクの目には涙があふれていた。
「春、やりすぎだぞ、すまなかったな。」
「しかし、殿下、この者は・・・・・・」
と、言葉をつづけようとする春。
「春。」
「はい、申し訳ありませんでした。やり過ぎました。みねうちにするべきでした。」
謝り頭を下げる春。
「船員の失態は私の責任、罰は私が受けます。」
「ピロリン船長、良いのですよ、斬られた恐怖だけで十分な罰になったでしょう。
そんなことより私は早く外に出たい、狩りをしたい。」
龍之介にとっての興味は今着陸している星の探検であった。




