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父、龍之介との交信3

「いかがなさいました?正忠様」


「大丈夫だ、なんでもない、又右衛門、兄上様に父上様と連絡できたと伝えてはくれ、元気で働いているとな、事の次第は密書に(したた)める」


「関白殿下は鹿島神宮で修業の身ではなかったのですか?」


「詮索無用、ただそう伝えれば良い、幕府目付け役だからこそできる事、わかるな」


「はっ、幕府の極秘事項で御座いますね」


「そういうことだ、すまぬが再び茨城城に戻り伝えてくれ、私は勿来城に向かい出航の準備に取り掛かる、又右衛門が勿来城に戻り次第出発する」


御岩神社を下山した後、正忠は勿来城へ、又右衛門は再度、茨城城に登城した。

又右衛門が登城すると、早朝にもかかわらず正長がすぐに謁見、又右衛門は事の次第を伝え密書を渡す。

すると、密書を呼んだ正長は嬉しそうにした。


「ははは、父上様は元気か、あちらでも戦っているとは流石、父上様、宗矩も読め」


早朝にも関わらず柳生宗矩は茨城城に在住していたため又右衛門の到着を聞くとすぐに正長の書院に入っていた。


「若様、関白殿下は鹿島神宮にて修行中、そのように言われては困ります」


「そうだな、そうであったな又右衛門、この事は他言無用ぞ、いや、忘れよ」


「はっ、忘れました」


「又右衛門、今日は何のための登城か?」


又右衛門は一呼吸置き熟慮し答えた。


「正忠様、御命令の通り伊予、松山城への出立の準備に入られた事を報告に参りました」


「ん、それで良い、それで良い。では、又右衛門も勿来城に入城し引き続き正忠と行動を共にせよ」


「御意」


又右衛門はすぐに又右衛門の為に準備された一両編成臨時蒸気機関車で勿来城に向かった。

機関車の窓から見えるただただ青く、静かな波の茨城の海を眺めなが一人考えていた。


「関白殿下はいったいどこにおられるのだろうか・・・・・・なぜあの山頂で正忠様は笑われたのかがわからぬ、あの時、木の陰から正忠様を監視していたが関白殿下が、お出まししたような事はなかった。ただ岩の柱に触っていただけのはず、わからぬ・・・・・・神託者であられる関白殿下・・・・・・謎だ、わからぬ」


一人、心の中で考えながら波に記憶を流すかのように海をずっと眺めていた。


勿来城ではかねてより準備は進められていた為、蒸気機関飛行船艦艦隊に荷物を積み込むだけであった。

この頃には、蒸気機関自動車改造版フォークリフトが開発され荷物を積むのもさほど時間を必要としていなかった。

荒木又右衛門が到着するころには、出航の準備は整えられていた。

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