表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敗者の街 ― Requiem to the past ― ※旧版  作者: Roderick Anderson (訳:淡月悠生)
序章 迷い蛾
6/83

6. 噂

情報を集めようにも、ロバートに危険がある以上、下手な行動は許されない。

……だが、キースも知っているはずのBBSは俺の発言ばかりで埋め尽くされていく。半ば諦めかけていた頃、惰性でクリックしていた更新ボタンがひとつの返信を読み込んだ。



The rumour【HN:no name】 date:1986/12/22

この街の噂? んなもん山ほどあるな。……あー、「悪人が出会っちゃいけない何か」か。

まあ、こんな街だし誰でも自分以外が何とかしてくれるってのは思いてぇだろ。だからこそ、余計に広まる。

悪いことしたら酷い目に遭うって、どこでも説話やら童話やらで使い古されてるネタだ。事実っちゃ事実だしな。


ま、人間生きてりゃ必ず悪いことするもんだしよ。してねぇって自分で言う奴ほど信用ならねぇ。


……話逸れたけど、お前もその「何か」について知ってんなら情報交換と行こうじゃねぇか。どうだ?


「……僕は、「それ」が罰を与えてるつもりだって聞いた」


……ああ、そうかもな。いや、そう言われりゃ確かにそうだ。……なるほどな。


「君の情報は?」


っと、見かけに寄らずいい食いつきだな。いいぜ、教えてやる。「それ」は……


この街のどこかで、常に獲物を探してる。現れない場所はどこにもねぇ。


お前もせいぜい気を付けろよ。「自分は善人だ」なんて信じてる奴ほど……もれなく餌食になるぜ。

【HN:Rod】 投稿日時9/16 16:41

レスありがとうございます


えーと、投稿日時めちゃくちゃバグってんのなんでです……?西暦の表示あったっけ、ここ……。

あと、追記のメモに覚えありますか?


このメモです【HN:Rod】 投稿日時9/16 16:58




***




過去からは逃げられやしねぇ。

逃げたと思っても、後ろから食いついて来やがるもんだ。


なんでかって?そりゃあお前さん、自分の中にくっついてるもんから逃げられると思うかい?


業だの、罪だの、他人に裁かれるようなモンならどこまでも逃げりゃあいい。

……てめぇの腹を食い破ったバケモンに食い殺されねぇ限り、どこまでも好きに生きやがれ。


なぁに、神様を恨む必要なんざこれっぽっちもねぇ。人生なんざ、生まれた時から大博打みてぇなもんさ。


ああ、それはそうと……お前さん、「自分が何者か」ちゃんと理解してるかい?

キース・サリンジャー……。……それがお前さんの名前ってんなら、「有り得ねぇ」とだけは伝えておくぜ。じゃ、また会おうや。




***




遡ること、2~3時間ほど前。


「兄さん、変なメモがあった!変なメモになんか書いてた!」

「頼むから落ち着け。こっちまでテンパるだろ……。それ、後でメールで寄越せよ。いいな!」


頼りにならねぇやつだ……と思いつつ、しっかり書き留める。

……俺には、それしかできない。それくらいしか、できることがない。


「……ロッド兄さん」

「あ?」

「僕は、何かを変えられるかな?」


電話先で、ロバートは確かに決心を固めていた。

……逃げ方を考えていた俺よりも、強い覚悟を持って。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ