表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敗者の街 ― Requiem to the past ― ※旧版  作者: Roderick Anderson (訳:淡月悠生)
序章 迷い蛾
16/83

16. 発端

Furthermore the information from me.Help.【HN:Rod】 投稿日時9/20 3:51

キース・サリンジャーは、俺……ロデリック・アンダーソンのメル友だった。

2015年の夏、仕事に関する愚痴の後、連絡が途絶えたかと思えば未来の日付から「殺されるかも」なんてメール。

その数日後、異動が決まったと平気な様子のメールが来て何があったと尋ねても心当たりなんてない、と。


そして、それから数週間後、キースの友人からメールが来た。受信ボックスに残っていた俺のメールから連絡先を知ったらしい。


「キースが失踪した。何か知らない?」


嫌な予感がして、その相手がキースから聞いたっていう街の名前を聞いた。

……正直、驚いた。俺もよく知っている街だったからな。……マンチェスターからバスに乗って1時間くらい……と、そいつ……「カミーユ」は、馴れ馴れしく伝えてきた。

さらに、俺の部屋でもラップ音だの金縛りだの、怪奇現象が起こり出す。そんな中でメールボックスを覗くと、自動的にひとつのメールがピックアップされた。


「巻き込むつもりはなかった。奴らが目をつけている。とにかく逃げろ」


アドレスは表示されず、送信者欄に「Levi」とだけ表示されるというホラー。しかも空白のメールとか文字化けメールも大量。

途方に暮れてると兄さんがやって来て、弟が悪夢にうなされたりして大変だとか何とか。

ついには、二度と会わないと思っていた弟も含めて3人で話し合うことに。


「……行くべきだと思う」


意外にも、弟……正確には義弟のロバートは乗り気だった。


「メール見せてもらったけど、僕には何かを伝えたがってるように見えるし」

「ロッド、キースくんは大事なお友達なんだよね?」

「……一番メールしてたし、一番勇気くれたのはあいつ」

「じゃあ、俺とロブで行ってくるから、ロッドはここで待機しててくれる?」


その後、ノエルっていう別のメル友がその街在住だと発覚し、アドバイスを受けて色々書き留めることにした……ということになる。


俺は普段童話作家もしているが、作風が全く違うからペンネームは伏せておく。

やけにオカルト系を受け入れるのが早いと思われるかもしれないが、俺の育った国では幽霊に住民票が出る……と言えば、国籍も察しがつくだろう。

……実際、幽霊のような存在には心当たりがありすぎる。


「で、でも怖いな。俺は幽霊苦手だし」

「……僕がついてる」


ロバートは、仕事で世話になった教授が亡くなって傷心していたらしい。

俺が32になった今でも、ロバートが甘えたなのは変わらないし……兄さんの、怖がりも同じように変わらない。


「じゃあ、僕は準備してくる。……兄さんも来て」

「あっ、うん。またね、ロッド!」


ロバートが玄関から立ち去り……ローランド兄さんはそのまま霧のように消える。


……ローランド・ハリス。享年21。

過労により15年ほど前に列車事故で死亡している。……未だに彼は、自分の死を受け入れることが出来ない。


「……ここらで、ちゃんとしないとかもな」


兄さんよりだいぶ老けた顔が、パソコンのモニターに映っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ