12. 2016年春 part5
title:Spring 2016 part5
from:Keith〈Keith-BPB@GGmail.kom〉
2016/11/23 16:16@
あまり何もできないまま、夏になろうとしていた。
街を見て回ってはいたけど、やはり、僕にできるようなことは何もない。
初夏に近づいているのもあり、疲れてベンチにもたれかかる。今日はあのチンピラはいない。
「……はぁ」
思わず溜め息。そんな時、目の前に誰かが立っているのが見えた。いつの間に?と顔を上げると、じーっと青い目でこちらを見つめてる……ええと、どちら様……?
「……どうぞ……」
「え?あ、うん」
渡されたのは、弁当。え?なに?なんで?
「頑張ってる、お礼」
ぺこりとお辞儀をして、その人は去っていった。……不思議な雰囲気の人だったけど、なんだか癒される。
恐る恐るお弁当を食べてみたら、かなり美味しかった。誰だったんだろう、あの人……
でも、少しだけ荒んだ心が癒された。
大して書くことでもない気がしたけど、それでも、すごく嬉しい気持ちだったから書いておく。
「……また、あの街行ったの?」
「うん」
「俺、やっぱり逃げてたらダメかなぁ……」
「逃げたい?」
「無理、罪悪感で死にそう」
「じゃ、だめ」
「うん……」
ついでに言うと弟は歴史学者です【HN:Rod】 投稿日時9/19 4:23
「お前の癒し報告を誰が求めたんだよ……」
「え、いらなかった?」
「めっちゃ欲しかった……」
ロバートの自我が安定してきているのが、文章からもわかる。
語り口調が「キース」より堅苦しくない。
「……ロッド兄さん。僕が僕じゃなくなったら、研究室のパソコン代わりに処分してね」
「自分でやれ」
冗談でなく真面目に言うあたり、こいつの能天気さが伝わってくる。
「……そうだよね。僕が、なんとかしないとだし」
いつものように明るい声で、ロバートは自身に気合を入れた。
……したたかな奴だよ、本当に。
「ところで、最後の会話は?」
「……え、なにこれ。知らない」