表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敗者の街 ― Requiem to the past ― ※旧版  作者: Roderick Anderson (訳:淡月悠生)
序章 迷い蛾
12/83

12. 2016年春 part5

title:Spring 2016 part5

from:Keith〈Keith-BPB@GGmail.kom〉

2016/11/23 16:16@

あまり何もできないまま、夏になろうとしていた。

街を見て回ってはいたけど、やはり、僕にできるようなことは何もない。


初夏に近づいているのもあり、疲れてベンチにもたれかかる。今日はあのチンピラはいない。


「……はぁ」


思わず溜め息。そんな時、目の前に誰かが立っているのが見えた。いつの間に?と顔を上げると、じーっと青い目でこちらを見つめてる……ええと、どちら様……?


「……どうぞ……」

「え?あ、うん」


渡されたのは、弁当。え?なに?なんで?


「頑張ってる、お礼」


ぺこりとお辞儀をして、その人は去っていった。……不思議な雰囲気の人だったけど、なんだか癒される。

恐る恐るお弁当を食べてみたら、かなり美味しかった。誰だったんだろう、あの人……


でも、少しだけ荒んだ心が癒された。

大して書くことでもない気がしたけど、それでも、すごく嬉しい気持ちだったから書いておく。



「……また、あの街行ったの?」

「うん」

「俺、やっぱり逃げてたらダメかなぁ……」

「逃げたい?」

「無理、罪悪感で死にそう」

「じゃ、だめ」

「うん……」

ついでに言うと弟は歴史学者です【HN:Rod】 投稿日時9/19 4:23


「お前の癒し報告を誰が求めたんだよ……」

「え、いらなかった?」

「めっちゃ欲しかった……」


ロバートの自我が安定してきているのが、文章からもわかる。

語り口調が「キース」より堅苦しくない。


「……ロッド兄さん。僕が僕じゃなくなったら、研究室のパソコン代わりに処分してね」

「自分でやれ」


冗談でなく真面目に言うあたり、こいつの能天気さが伝わってくる。


「……そうだよね。僕が、なんとかしないとだし」


いつものように明るい声で、ロバートは自身に気合を入れた。

……したたかな奴だよ、本当に。


「ところで、最後の会話は?」

「……え、なにこれ。知らない」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ