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敗者の街 ― Requiem to the past ― ※旧版  作者: Roderick Anderson (訳:淡月悠生)
序章 迷い蛾
11/83

11. ある罪人の記憶

title: a certain sinner’s memory

from:I

2008/8/29

「……何で、逃がしたんだ」


男が、低く呟いた。


「逃がしたわけじゃない。……不用心で残念だったね」


もう一人が、静かに呟く。


「彼は外では生きられない」

「どうだか」

「……彼が壊れる様は見ものだろうけれど」

「……まさか、壊すつもりで」


幾度かの応酬の後、奴が下卑た笑みを浮かべた。思わず息を呑む。……敵に回しては、いけない男だとは知っていた。


「立場をわきまえていないね」

「何を言って……」

「対等な関係だとでも、思っていたのかな」

「……まさか」

「ちょうどいい、そろそろ死のうかと思っていた」

「……成程……」

「君は、前に私が羨ましいと言ったね」

「確かにお前の方が頭はいい。戦闘能力で常に勝っていたのは私だが」

「……ああ、確かにそうだね。実戦でなら」


ぞわりと、全身の毛が逆立つのを感じる。

……この男は、自分の欲望のためなら……

他人を犠牲にすることを、利用することを、厭わない。



「……君に、私の名前と肩書きをあげよう。もう死ぬ男のものだけれど」


こいつは、昔から僕を見下していた。

あの戦場で恋人を殺された恨みを……敵に向けさせた。

僕が右肩を負傷したのは、彼が僕の狙撃の腕を褒めた後で……


知っていた。彼は最初から、


「欲しかったんだろう?『ハリス家長男』の肩書きが」


この外道はいつでもそうだった。人を意のままにしようとする力を持っている。

手を汚さず、裏で操る男だ。


「……私も舐められたものだ」


ただで負けるものか。

……お前が、それを選択するなら、


「全てを奪うと、言ったね」


お前が捨てた名前の男に、お前は殺されるだろう。

何度でも、奪い返す。


……何度でも、殺してやる。

勝つのは「私」だ。

嫌な予感【HN:Rod】 投稿日時9/18 21:18


……ハリス家長男……。


兄貴と、関係あるかもしれません。……だけど、ちょっと話したくないことなんで……すみません。

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