対価と改変
二章 暴走と光
雷牙が朱雀国王朱翼に会ってから数日後朱雀国には他の三国の王が護衛を率いて集まっていた。
そしてここは朱雀国の城にある迎賓との食事をする部屋
「朱雀の王よ、あの手紙の件は本当なんだろうな?」
そう言ったのは玄武国の王、甲藍である。
「まさかあの不知火村の者がこの大陸を狙って居たとは信じられん」
そう言っているのは青龍国の女王睡蓮である。
「本当だろうと嘘だろうとあの村の者が邪魔なのは変わらん!!」
不知火村の存在が気に食わないと言っているのは白虎国の王琥珀である。
その頃不知火村では戦争が始まると言う噂が流れていた。
それもこの不知火村を標的とした四国の総攻撃と言うのだ。
「まさか現国王達は非戦闘区域と先代の王達と村長の調停を破ると言うのか!?」
村長である火龍の父は怒気を隠さず呟いていた・・・
「火龍ちゃん戦争が始まるって本当なのかい?」
「かーくんせんそうってほんとう?こわいよ~」
「火龍、戦争が始まってもお前達子供は絶対に俺達が守ってやるから心配するな!!」
火龍がいつもの鍛練の帰り道いつもと違う村人の怯えて居る様子に何があったのかと歩いていると火龍を見つけた村人達が尋ねてきた。
「戦争・・・ですか?
僕は何も聞いてないですから分かりませんが父上に聞いておきますね?
皆さんは心配なさらず過ごしてください。」
心の中では戦争が始まるかもしれないと言うことに怯えていたのだが 村人達を優しい笑みを浮かべて話し掛けるのであった。
「父上戦争が起こると言うのは本当ですか?」
火龍は家に戻るとすぐに父の元へ行き村の者が不安に話していた事を聞きに向かっていた。
「火龍帰ってきたか?
大丈夫だ、そんな噂より一週間後の青年の儀の事に集中しておけ。」
そう火龍の父である村長は嗜める。
この村では男は七歳で儀式を受け一人前として扱われるのだ。
と言っても儀式は村に伝わる神刀と妖刀が奉られた部屋に一人で入りその下にある湧き水に自身を映しそこに浮かぶ人影を見ると言う簡単なものだがそこに浮かぶ人影は最悪自身の死の瞬間が写し出されるただそれだけである。
しかし、この数年はその最悪しか写されていないのである。
火龍が出ていくのを見送りため息を漏らして
「これはやはり戦争は避けられぬと言う事なのか?」と小さな呟く。
その頃不知火村裏にある山の中腹では一人の男が眼下に広がる大地を見下ろしながら笑っていた。
「クックックッ、馬鹿な王で助かった。これで俺の願いが叶う!!」
そう呟き麓にある不知火村を見下ろし邪悪な笑みを溢していた。
そして一週間が過ぎた・・・
「では父上水鏡の間に行き青年の儀を行って参ります」
そう言って火龍は村の裏にある山の洞窟内に入っていく。
「これが水鏡の間か・・・」
そこには子供一人が横になれる位の水が湧き出している窪みとその窪みの近くの壁に白と黒の刀が交差するように掲げられていた。
「我は火龍、この村の長となる者なり。
古の時代よりの契約により我の未来を見せよ!!」
そう唱えると窪みの水が光を放ち何かを映し出し始めた。
「これが僕の未来・・・」
火龍はその映し出された物を淡々と見つめていた・・・そう悲しく無惨な未来の姿を
その日の夜
「おい、あれはなんだ?」
村の門番は近付いてくる幾多の明かりに気付いて呟いた。
それを聞き見たもう一人の門番は驚き焦った。
そこには四国の兵士が武装してこちらを目指していたからだ。
「すぐに村長に伝えろ!
四国の兵が武装して村に迫っていると!!」
門番が伝令役の者にそう言うとすぐに詰め所に向かい寝ていた他の門番達を起こして武装し始める。
「村長!村長大変です!
四国の兵が武装して村に迫ってるそうです!!
皆に伝えるべきでしょうか!?」
扉を開き伝令を伝え指示を仰ぐ
「すぐに村の者達に伝えて女子供は避難させろ!」
指示を受けた伝令役はすぐに村中に伝えて女子供は避難させていく
「 火龍!すぐに準備をして付いて来い」
村長は火龍を呼び準備が終えて来たのを確認したら裏口から外に出た。
それを追って火龍もすぐに裏口から外に出ると意識を失った。
「すまん」と呟く父を見つめて・・・
「ここは・・・?」
目を覚ました火龍は辺りを見渡していると不意に声をかけられる。
「ここは不知火村の裏山にある牢やだよ」
声のする方を見ると一匹の黒い龍がいた。
「牢ですか?後貴方は誰です?」
「あぁ牢だよ。もっとも随分前から使われてないけどな。
後俺はクロだ。」
「クロさんですか、何でこんな所に……ってそうだ!!僕はここに入れられてどれくらいになりますか!?」
「お前がここに来て半日位だな、夜が明けてきてるだろ?」
そう言うとクロは外を指した
火龍は急いで牢の入り口迄駆け寄った
そして見たのは燃え盛る村の姿だった
「村……が………燃えてる?」
火龍は一瞬理解出来ず立ちすくむが直ぐ立ち直り村に向かって駆け出した