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作者: 石森ライス

これもはるか昔に書いたものを偶然見つけたので、せっかくだから投稿しました。時間のある方は読んでみてください。

風、それは毎日変化するもので、同じように自分の気持ちとか考え方も毎日移ろい行くものだと思っていた。絶えず変化する物事、祖先はそのことを無常と言ったようだけれど、よく言い表しているなと思った。

今夜の風は少し強く、冷たい。嵐がやってくる前兆のような風だった。今夜の天気予報はどうなっていただろうか・・・よく思い出せない。

午前12時40分、今は自転車で川の土手の上を走っている。明かりはとても少なく、足元が見えない。

左を見るとかすかな明かりでかろうじて見える真っ黒な川があり、右には住宅地があった。こんな体験はめったにないから面白い。

何でこんな真夜中にこんなところに私が来たのか、特に際立った理由はない。ただ、なんかもやもやするから外に出てちょっと考えてみたかった。

自分が何を考えているのかわからないと思ったことがある。何に価値を置き、どういう道を進めばいいのかがよくわからない。大抵の小学生がプロ野球選手になりたいとか、歌手になりたいとかそういう漠然とした夢すらもったことがないのだ。

ごちゃごちゃと考えているうちに、もう30分以上この土手に来てから経過しているらしい。するとにわかに雨が降り出した。そういえば夜中は変わりやすい天気だと天気予報で言っていたのをやっと思い出した。

30分も考えても結論が出ないから今日は帰ろうと思い、なるべくぬれないように懸命に自転車をこいだ。がそうこうしているうちに土砂降りになり、土手もぐしょぐしょになっていた。すると一瞬の地に自転車がスリップした。私の視界は分けわかんないことになっていた。土手を転げ落ち、全身の痛みを感じつつ、何とか顔を上げた。すると直後に目の前に雷が落ちてきた。突然視界が真っ白になり数瞬のちに遅れてはぜる音が聞こえ、また視界は真っ黒に戻っていった。目の前に雷が落ちるなんてこれもめったに経験できないことだった。

このことによって考えることが馬鹿らしくなってきた。ベつに人生にどんな価値観を求めるだとか、どういう道に進めばいいのかなんて考えなくていいのだ。雷のように、ただ今という時間を懸命に生きればいい。ごちゃごちゃと色々考えるとあっという間に時間がたつが、逆に何も考えないで何かに集中していてもあっという間に過ぎてしまう。

笑いながら泥だらけの自転車を起こして泥だらけの道を帰っていった。ただそんなことは気にしなかった。世の真理を悟ったように思えるから・・・。


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