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転生人後(てんせいじんご)  作者: 倶利伽羅
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女神

女神のお話です。

眩いまでの光に包まれた神域。

「天照様ぁ~。転生、上手くいきましたかぁ~。」

天照大御神の小間使いの真似事をしている天宇受売命あめのうずめが高天原から界を渡って神域に入ってきた。

「うん、上手くいった。これで何十年かは楽しめるだろう。」

天照は人の悪い微笑を作ると、天宇受売命に顔を向けた。

「刀術と魔法と魔刀術ですか?良いんですかね、才能あげすぎですよ。天御中主神あめのみなかぬし様に知られたら怒られますよ。」

天御中主とは、宇宙開闢後最初に生まれた神で日本神話の神々は二柱の神を除いて全てこの神の連枝である。また、伊邪那岐神いざなぎ伊邪那美神いざなみに国作りを命じた神でもある(別説有り)。現在は高天原より上位の神域であるオノゴロに隠棲している。

「大丈夫だよ、八意思兼神やごころおもいかねのおっさんから許可貰ってるから。それに太祖神(天御中主のこと)様だって、問題にしないさ。実際、毎日のルーチンワーク数十億年続けるのは精神的にきついんだよ。たまには、興味の対象を作って観察してみてもいいだろぅ。人間が昆虫を観察するみたいにさ。」

「それで、下級神の真似して「転生の儀」を行ったというわけですか。まあ、いいですけどね。でも、転生した世界は地球のある世界より格段に存在が弱い世界ですよ。才能や加護を与えなくても地球の魂が転生しただけで、最強になれるような差があるんですよ。」

天宇受売命が確認するように天照大御神に問う。

「その点は大丈夫さ。魂の格による補正は封印しているよ。ある条件を満たさない限り解放されない。」

天照大御神は手を少し前にだし、高天原からお茶を呼び出した。

「お前も飲むか?}

「はい、いただきます。」

天宇受売命がお茶を受け取ると二柱は椅子を呼び出し座る。

「もし、解放されたとしても百年も生きれない人間だ。大したことはできないよ。ま、力と才能に振り回されて魔王然としてもあの世界の半分も壊せないさ。」

「それならいいんですけどね。」

天宇受売命はお茶を含むと天照大御神を探るように見つめる。彼の神は、転生した魂に変化がおこることを期待しているのだろうか。どのような変化を期待しているのか?

天照大御神の興味とは何なのか、と考えてみる。

それは、転生先の世界の生物が受ける可能性がある災厄を見たいのではなく、ただ単に転生した人間の生きるための足掻きを見たいのかもしれない。大きすぎる才能と力を持った人間は得てして不幸になる。周りが普通の生活をさせてくれないからだ。

「転生先の管理神には連絡を入れたんですか?」

「入れたよ、面白い魂をおくるからよろしく、とね。あ、あの魂には私の加護をつけといたから。ランクで言うとSSSランク級超絶加護を。」

「管理神程度では、あの魂への介入は不可能ということですね。まあ、楽しむためとはいえ、よくやりますよ。」

天照大御神の本願地は地球のある世界であり、それをコピーして作られた異世界には名前のある神ではなく、異世界の宇宙の運行を管理し、生物を進化させる管理神がいるだけだ。その管理神も異世界では人間に複数の名前をつけられ、それぞれの信者を持っている。そして、その信者たちはそれぞれの神の名のもとに殺し合いをも行っている。

何にせよ、天照大御神は自らの本願地以外の世界は楽しむ道具並みにしか思っていないのだろう。天宇受売命は考察を止め、再びお茶を含んだ。


後日、天照大御神は転生先の世界に刀がないことに気づき、神鉄を用いた刀を二振り最大限の加護を付けた状態で異世界に送ることになった。

天照が異世界の生物に対して冷たいように感じるでしょうが、日本の神だけでなく世界のほとんどの神は人間に対しても、影響力のある世界に対しても良い神であることの方が珍しく、大抵が試練や問題を丸投げしてきます。しかも、その先にあるのが希望ではない場合場合が圧倒的に多いから困りものですよね。

高皇産霊神と神産巣日神を忘れていました。天御名主神と併せて「造化の三神」でした。

次回は、11月7日に更新したいです。

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