転生
2回目です。宜しくお願いします。
眩しい光が瞼を通してさえもわかる。今朝の夢で見た感じに似ている。
「ええと、いいですか?認識番号123456789-5さん。わかりますか?」
誰かの声が聞こえる。俺は声の方向に体を向けようとするが、意志を体に伝達できない。
「ああ、あなたの体は荼毘に付されましたので、魂だけの存在としてここにいるんですよ。」
声のほうに意識を向ける。そうすると、日本神話に出てくる天照大御神が着ているような服を纏った黒髪の女性がいた。
「あなたが、先ほど瞼越しに光が見えていた様に思ったのは、まだ肉体の感覚が残っているのでそう感じただけです。今のあなたは死んだ直後に回収した魂だけの存在ですよ。」
(俺はやっぱり死んだんですか?それと、あなたはどなたですか?)
魂だけらしい俺は、それでも声を発しようとした。だが、やはり発声器官がないせいか、言葉にはならなかった。
「大丈夫ですよ。ここでは思念だけで意思疎通ができますから。」
女性は安心させるように微笑んだ。
(わかりました。先ほどと同じ質問ですが、俺は死んだんですか?あなたはどなたですか?それとここはどこですか?)
「私はここの管理人です。名前はありません。それとここは私が管理する神域です。そしてあなたは死にました。ですので、魂だけでここに存在しています。」
神域?何の神域なんだ?
(すみません。もう少し詳しく教えていただけませんか?)
女性は困ったように笑うと、
「はい、申し訳ありませんでした。ここは、生前異世界転生を望んだ魂の集まる神域です。そして、私はその魂の転生を行う下級神です。」
女性ははにかむように笑う。
(なるほど、異世界転生ですか。でも俺はそんな話は誰にもしたことはありませんよ。)
「生前、魂だけここにお呼びして確認いたしました。あなたには夢のように思えたかもしれませんが。」
ああ、あの時の夢か。内容は憶えてないけど確かにこの光の中だったかもしれない。
(そうですね、この場所には夢の中で来たことがあるような気がします。しかし、その時の夢の内容が思い出せません。)
「そうでしょうね、いくら異世界転生時のボーナスの希望調査も兼ねているとはいえ、その時の希望を全部かなえてあげることはできません。そして、そのことは意図的に記憶から消去しています。」
(どうしてですか?)
「希望を憶えていると何で全部かなえてくれないんだ!というわがままな魂がいますから、こちらとしては憶えていてもらっては困るのですよ。」
(そうですよね。で、俺のボーナスってなんですか?)
「あなたのボーナスは、あなたが一番希望したものはかなえられません。ですが、刀術・魔法・魔刀術の才能と異世界の一般常識と生活スキル、お金もうけ才能が与えられます。」
(そうですか、それだけでも十分すぎます。有難うございます)
「あなたは記憶を引き継ぎますか?ただし、あなたのパーソナルデータは記憶から消去されますが、今言ったボーナスと前世のパーソナルデータ以外の記憶、つまりは前世の社会制度とか、乗り物、料理とかの記憶は残すことが出来ます。」
俺はしばらく考え込んだが、新しい生なので真っ白な状態から始めても良かったが異世界で生きるためには前世の記憶も役に立つかもしれない、と思った。
(引き継ぐ方法でお願いします。)
「わかりました。それでは、あなたの記憶と自我はあなたの転生体が3歳になるまで封印されます。それは転生体の脳があなたの記憶や自我を引き受けることが出来るのが3歳以降だからです。それと、体の発育や魔力の上昇等により順次様々な才能が解凍されます。そう、あなたの前世の世界のコンピュータの圧縮ファイルのように脳の片隅にある才能が解凍されていきます。」
(わかりました。それで、俺の転生先の場所とかはわかりますか?)
「あなたの世界にあるファンタジーRPGのような世界になります。ただ、転生体がどんな家に生まれるかはわかりません。それはあなたの前世のカルマによるものだからです。あっと、そろそろ時間の様です。充分な説明とはいきませんでしたが、より良い来世を。」
(ありがとうございました。)
最後の方は駆け足気味だったが、まあ充分だろう。それでは来世へ行こうか!
誤字脱字等ありましたら教えてください。




