魔王復活の日
ラインバースの森の奥ショッギョムッジョ!
ラインバースという名を別の作品で見たなとかあのにじふぁんがあった時のSSで見たなと思うそこの貴方!!
お久しぶりです。そして知らない人は初めましてインスタント魔王と申します。
駄文ではありますがおつきあいを!!
「俺を打ち破ったか……まっただの人間が神に力を分け与えられたものに勝てるわけがなかったのか。面白い……これほどの力を持っていれば他から干渉されることはないだろう」
魔王城の一角、魔王の玉座がある崩れた壁の部屋にその赤い血を流しながら魔王がそう宣言する。
「うそ……でしょ……」
勇者と呼ばれた兜を着込んだ者からは、驚愕の声が上がる。
魔王の体を構成していた魔力がその維持をしきれずに崩壊し、魔王の本体である人の体が現れる。
「恥を承知で頼みたい、勇者……虐げられし魔族や亜人たちを頼む!!」
片膝をつき、魔王の体がゆっくりと崩れる。
「何故、貴方が!!貴方は人間で死んだはずでしょ!!」
「はは、意外そうだな勇者……いや……ミーフェリア。俺は思うのだ、魔族と亜人たちが人族……我らと対等な地位を得て笑い合えたらきれいな世界が見えるだろうな。俺には力でしか支配できなかったが……お前は違うだろ……」
魔王の呼吸がどんどん小さくなっていく。
「期待しているぞ、勇者よ。その威光が偽りの物ではないことを信じて……」
これが魔王の1度目の死だった……
そして次に魔王が目覚めたのはその世界じゃなく、地球と呼ばれる異世界……
6歳の頃友人たちと遊んでいるときにサッカーボールを頭に受け、魔王としての記憶がよみがえる。
そしてその世界で科学者となりさまざまな知識を蓄えた魔王は、平和な世界で平和な日常を過ごしていた。
ただ魔王が研究していたのは異世界転移の研究であった……
「もうそろそろか」
その20年後彼は末期のがんとなりベッドに張り付けになる生活を送っていた。
文字もろくにかけなく、声もろくに出せなくなる前に彼は自分の娘を見る。
「世界は一つではない、平和も一つではいけない……数ある平和の形……それが成った時世界は変わることができるだろう」
彼の漏らした言葉は願いだったという。
異世界に行くこと……なぜそれがその願いにつながるのかは誰もわからない。
そして魔王は……3度目の転生を遂げる。
目覚めは12歳のこと……彼が元魔王領……現在は魔国ミーフェリアと呼ばれる地を訪れた時だった。
◇
ミーフェリアにある王城に足を入れた瞬間に、俺は妙に懐かしい既視感を覚える。
「何だこの気分……」
見たこともない場所なのに、なぜか胸が熱くなる。
「どうなされましたか?」
付き人の我が領地の兵士が俺を覗き込んでくる。
「魔王様がお呼びです」
謁見の間でひざまずく。
「楽にしてくれていい」
顔を上げると、今代の魔王が王座に座ってきた。
「ずいぶんと若いな名は?」
「アルバート・フォン・ラトリシアです。先日、子爵位を渡されて領地運営をさせていただいております」
俺がそういうと、魔王は懐かしそうに目を細める。
「どうか?」
「いや、先代魔王……お前たち人間では勇者ミーフェリアがよく私に語ってくれた初代魔王の名に似ていたのでな」
初代魔王……人間に絶望した人間が正体だと勇者ミーフェリアは語ったといわれている。
その名は彼女は生涯明かさなかったことを……
「失礼ですが魔王陛下は初代魔王の名前を?」
「あぁ、この件は内密にな?他に漏れたら大変なことになる」
そう笑いながら言う陛下に対して、妙な安心感がある。
「解りました。本日は我が国の王より親書を持ってまいりました」
魔王陛下に陛下からの手紙を献上すると、その場で無作法に読み始めた。
「ふむなるほどな、アルバート殿すぐに返事をたしなめるので、本日はとまって行かれてはいかがかな?」
「もともとこちらの方に宿をとり一泊する予定でしたので……よろしいのですか?」
「いいのだ。お前からは、どうも我々を馬鹿にするような目ではなく親愛なるものを見る目をしているしな」
そうですかと小さく言う。
通常の人間は彼等を人外のものとし下等な生き物だと決めつけまるでゴミを見るような目を浮かべる。
俺はというと、意思疎通ができるのであれば自分と姿が違えども友になれそして家族にもなれると思っている側の人間なので、魔王陛下はそんな俺の本心を見抜いたのだろうなと思う。
「ではお言葉に甘えさせていただきます」
外で待機させていたお付の兵と共にメイドに案内されて王城の中を歩く。
王城の壁はところどころすすけており、俺は直さないのかなと首をかしげる。
「どうかなさいましたか?あぁ壁の汚れなどですね?これらは初代魔王様と英雄ミーフェリア様が戦った跡となってます。ミーフェリア様の遺言で謁見の間や壁の崩れ以外などは直していないのですよ」
俺の心臓がドクンとはねる……
剣戟の音が聞こえ始め、王城の廊下がゆがんでいく。
俺の頭を記憶が一瞬にして駆け巡り、俺の人格を侵食していく。
いや、俺の人格そのままに魔王としての記憶が根付いて行っているのか……
「俺……初代を知る者はこの国に残っているのですか?」
「えぇ、軍の元帥様や宰相様は初代魔王様の時からこの国におられるお方ですが……どうかなさいましたか?」
ぼんやりと白銀の鎧を身にまとった勇者の姿を思い出しながらも俺は口を開く。
「その方々とお話しすることはできますか?」
お付の兵はぎょっとしたような表情を浮かべる。
「出来ますがよろしいので?内政干渉などを疑われるはずですが」
お付の兵は監視役も含めている。
その点で言えば大丈夫なように逃げ道はないというわけだ。
「ふむ、内政にかかわるようなことを聞くつもりはないのだがね?俺は初代魔王様がどのような人であったかを聞いてみたいのですよ。伝承や嘘ではない彼ら特有のね?」
俺は兵士に納得させるために口八丁で言いくるめようとする。
「後、兵士よ……初代の時代からこっちの情報はないんだ。いつ何が起こるかぐらいは把握できる情報を知ってもいいと思うわけだが?」
小さく笑うと、兵士はそれもそうですね。
「こちらの部屋になります。お付の兵の方はこちらに」
「あぁ呼ぶ場合、ラインバースの森の奥には何があると思う?って言っとけ絶対慌ててくるから」
案内されたドアをくぐりながら、いたずらをしてやった子供みたいな笑顔を浮かべてそういった。
俺は広い部屋の中にある椅子に座ると、ゆっくりと目を閉じる。
ポーンと音が鳴り響き、俺の体から魔力が空間に染み出ていくのがわかってくる。
その魔力は振動となって大気を揺らし俺はゆっくりと目を開けた。
「……気づいてくれよ!!誰が来るかはわからないけどな!!」
俺はほくそ笑むと、ゆっくりと椅子の背もたれに背を預けた。
◇
「宰相……気づいたか?」
「何者かが、魔力ソナーを指向性なしにはなったようですね?自分はここにいるアピールで」
私、ネルフィーはゆっくりと目を細める。
「ソナーの魔力が妙に懐かしい……初代魔王陛下と同じ魔力の波長を感じますね。これは……」
少し首をかしげた後、魔王陛下が笑い始める。
「宰相は初代の名を知っておったのであったな。今日王国より使者として参った客人……名をアルバート・フォン・ラトリシアという」
その名を聞き、私は目を見開いた。
「初代……魔王陛下!!あの時、勇者に殺されこの国を彼女に託したはず!!」
「他人の空似だろうな」
そう陛下が仰るが、この魔力ソナーはだったら一体何のためにと……
「失礼します」
メイドが私達の部屋に入ってくる。
「宰相様か元帥様にお会いしたいと客人のかたが……」
「……陛下……やっぱり初代の可能性が……おい、客人はほかになんと?」
あれだ、あのソナーの後にメイドが客人が呼んでいると言いに来るのがおかしいのだ……
絶対今回の客人は私達をもてあそんでやがる。
「ラインバースの森の奥には何があるとおもう?と……」
「使用人……元帥を呼んで客人の元へ連れてけ。どうせ客人は第一客室だろう私は先に行ってる」
「おい、どうしたというのだ!!」
魔王陛下はあわてて私を止めようとするが、私は少しイラついているので止まらず口だけ開く。
「陛下!!今回の客人、確実に初代です。この城の名ラインバースは私を含めた元直属部隊との押し問答でなずけられました。その押し問答が始まった時の言葉が先ほどの……」
ラインバースの森の奥には何があると思う?だ!!
これを知っているのは初期の魔王軍創設メンバーぐらいしかおらず、現在生きているのは私含めて4人……そのうち二人はここには寄り付かないので……
「なるほど、ならばその眼で確認してくるといい」
「ありがとうございます」
私は歩いていく、何かが変わるという確信を持ちながら。
◇
「懐かしい気配がするなぁ……」
歩いてくる気配は一騎当千と呼ばれた魔族の女性の物だった。
「それに、別の気配歩くチャリオットと呼ばれた虎の獣人のか!!なるほど、あの二人がこの城に詰めているというわけか」
扉がノックされて、俺はにやりと微笑みながらどうぞというと、予想通りの人物が入ってくる。
少し黒みがかった肌に赤い目を持った女性は俺を見るなり目を丸くする。
「やぁ久しぶりだね?ネルフィー。ラインバースの森の奥には平和な国があるといい」
「あ……あぁ……」
彼女は声にならない声を漏らす。
「ん?まだ足りねぇか?んじゃぁ、魔王カーライア復活したぜ?」
かっかと笑っていると、虎の顔をした筋肉質の男がネルフィーの後ろに立っていた。
「やぁクワクギル久しぶり。まずは部屋に入ってはなさないか?」
そういうと、うつろな歩みで彼女たちが入ってくる。
「……で?まぁアンタが初代……つうことは大体わかるんだが、今まで何してた?」
クワクがそう声を上げる。
「普通に死んでたよ。どうも始まりの俺……魔王カーライアが自身の魂に細工してな、記憶と性格を蓄積できるようにしてあるらしいな」
俺は自身の手を見る。
「そんな細工をしてやがって……下手し魂が壊れて……」
「そのために条件式での記憶の解放が行われるようにセットした。一つは懐かしいと感じた時、一つは死の機器が起きた時にな。俺はさっき目覚めたばっかりだしな」
小細工やる時は徹底的に小細工を仕掛けましょうっていうことなんだけどなぁ……
「しかし、人間の姿は成れないものですね?」
「あーあんまり見せたことなかったからなぁ……まっ魔王やってた時の姿に戻るわけいかんし、しばらくはこのままだろうなぁ……」
そういいながら、魔力を纏い黒い鎧をまとった筋肉質の鬼が現れる。
「生まれ変わってもそれはできるんですね?」
ネルフィーがそういい、俺は苦笑いを浮かべる。
「あぁ、一応な体は以前とかっては違うがちょくちょく力を戻すとするよ」
さてと―――
「今後の話だが」
悪巧みを始めよう……
今度は誰にも邪魔されないように、邪魔させないように綿密に段階を踏んで……
力押しじゃなく知識で世界を翻弄しよう。
さぁはじめよう―――
出来るだけスパンを短くできればいいなと思っていますが、当方ゆとり教育世代の大学生に思えないぐらい大学生活がムリゲとかしてますので長いスパンで見てもらえればなと思っております。