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プロローグ【オペレーション・リクルート】前編

 白萩学園


 周りを山々に囲まれて存在している、広大な敷地を持つ『学園』である


 この場所には、少々おかしな所がある


 ――人の曲げない思いが、能力として具現化する――


 武器として具現する事もあれば、事象として現れる場合もある


 そして未開のそれを、当然のごとく教師達は恐れた


 十分に凶器となりうるものを、生徒が自由に振るえるのだから


 だから学園側は、対策を用意した

 

 『生徒に信念を持たせない程、教育すればいい

  さすれば、秩序は保たれる』


 誰かのその発言は、瞬く間に教師陣への救いの言葉として広まった


 そして、創立より15年


 ほんの少しの例外を残しながら、学園は平穏へと向かっている―――



 ◇◆7/4 Wed 08:12 白萩学園指導棟2F 廊下◆◇

 

 さっきまでいた部屋が、爆炎に包まれる。

 ほんの数メートル後ろの光景が、赤と黒に変わる。

 前を走る男に連れ出された理由が、なんとなく分かった。

 理解しても、俺はただ走るしかなかった。

 走って、後ろの脅威から逃げることしかできなかった。

 「ったく、"生徒会"の連中もやることがえげつなくなってきたなぁ………」

 先を行く男が悪態をついている。

 『センパーイ、そんな愚痴はいいですから、とっととそこから脱出してくださ~い』

 「テキトーだなぁおい!! ワンコ、お前それでも司令官か!?」

 『まぁまぁ。そこはどうでもいいんで、とっとと"転校生"を安全に連れて来てくださいね~』

 「作戦無しでかよ!!」

 さっきもらった通信機から声がしている、が。

 ………しっかし随分とまぁ、悠長にやってるなぁ………。

 これって一応、学園への反逆ってことだろ?

 しかも捕まるとヤバいって、資料に書いてあったような気が………。

 てか、こうしている間にも後ろからは追手みたいなのが来てるし。

 多分、さっき部屋を爆破したのもあいつなんだろうなぁ。きちんと髪を揃えて、メガネかけて、いかにも優秀な学生ですって顔してやがるのに、やることはえげつない………。

 「止まれ!悪ガキ共!!」

 ほらね、追手だった。

 自分が燃やした部屋の事なんて気にとめてないご様子だ。

 「おっと"転校生"、後ろ振り向くなよ。教育に悪い事で定評のある副会長様だ」

 「聞こえているぞ、反逆者!!」

 怒声が聞こえる。

 後ろにいる副会長様とやらは、やはりというかなんというか………酷くご立腹なご様子だった。

 「ところでお前さ、運動神経に自信はあるか?」

 それは前を走る男から俺に向けられた、唐突な質問だった。

 「は?まぁ、一応それなりに………」

 「じゃ、いけるか」

 答えてすぐに、質問者は唱える。

 

 「突貫突破乾坤一擲!!!―――トランス!」


 活発な声で叫ぶとともに、現状に2つ、変化が起きた。

 1つは、

 「這え、火蛇ほのお!!」

 炎が音無く地面を伝って蛇のように迫ってきた事。

 数は4つ。

 それぞれがそれぞれの軌道をもち、走っていた俺達に追いつかんばかりの速度で迫ってくる。

 こちらは真面目副会長の"能力"だろう。

 もう1つは、俺の横にいるヤンキー君の腕に、

 「パイル、バンカー………か?」

 人の右腕に付く代物ではないとは思うが、そうとしか思えなかった。

 槍のような先端。

 それと不釣り合いな巨大な胴体。

 こんな構造をしている武器は、経験上パイルバンカー以外に思い浮かばなかった。

 それが何もない所から腕に装着されていく………、いや。腕の上に構築されていくのも、随分と不可思議な光景だった。

 ………なるほど、これが"能力"ってやつか。

 俺の人生で一度もそんなものを見たことが無かったのは、ただの偶然か、当然か。

 それだけ非常識な光景が、この場所には広がっていた。

 「ブチ込んでくぜ!!」

 掛け声とともに、彼の腕に創造された能力パイルバンカーが向かった先は、地面だった。

 コンクリートに軽くヒビが入る。

 と、そこへ。

 「砕け!!」

 破砕機は音を立て、二度目の衝撃を送る。

 コンクリートの塊は罅を広げて行き、そしていとも簡単に俺達の周りの地面は崩れ落ちる。

 蛇のように伝ってきていた炎も、伝う地が無くては行き場を失うだろう。

 そこまでは理解できる。

 それを計算して地面を落とすのも、まぁそれなりに利口的な判断なのだろう。

 が、しかし。

 いきなり建物の二階から一階へ自由落下である。

 空中へ放り出される俺と、ヤンキー能力者。

 が、取る行動は自然と似通っていた。

 「「よ、っと、っと。ほっ」」

 俺もそいつも、もちろんというように落ちる瓦礫を使って足に負担をかけないように着地。

 漫画とかによく出てきそうな、しかし実際には難しいであろうことを、普通であるかのようにしてしまう。

 ………運動神経良ければ出来る、ってレベルのものなのか?これ。いや自分が出来てるからなんとも言えないが。

 ちなみに、向こうの馬鹿は右手のそれのせいで随分と不格好な動きになっていた。(それでも瓦礫渡りは出来るのだからはたまた凄いのだろうが)

 「………おいおい、お前何者だよ」

 「………ただ運動神経がいいだけの転校生ですよ」

 「嘘こけ。普通の転校生にあそこまで出来るかってーの」

 「地面いきなり落としたのはあんたでしょうに………」

 と、場を茶化す会話に、通信機から声が割り込んでくる。

 『あの〜センパイ、私さっき『安全に連れてきて』、って………』

 「実力試しだよ、実力試し」

 『トオル、さすがに地盤落としはやり過ぎだと思いますよ』

 今までの可愛らしい声とはまた違う、別の声が入ってくる。

 今度は男の声だった。

 「あ〜、大先生。すんません。ちょっと焦ってたもんで」

 『まぁ、それはいいですけど………立ち止まっている方が危険だと、僕は思いますよ』

 「「あ……」」

 ふと俺も声をあげてしまった………

 そして、向こうの階段の方から、燃えるほのおが見えた。

 俺は隣にいる彼に冗談半分で訊く。

 「……もう一度、地面崩します?」

 「何言ってんだよ、ここ一階だぜ………」 

 「ですよねぇ………」

 「………………」

 「………………」

 しばしの沈黙の後、

 「「逃げろ!!」」

 判断は共に早かった。

 初対面の割に、俺はそいつと意気投合していた………ような気がする。

 が、パイルバンカーなんて代物のせいで俺たちの歩みはさっきより遅く。

 「逃がさんぞ!」

 向こうの男から来る火蛇ほのおは数も増え、速さも上がっている。

 あぁ………、本格的にまずいだろ、これ。

 俺、こいつらみたいな能力なんて微塵も持ってないぞ………

 「おいワンコ!姫はどうしたんだよ!!」

 『安心してくださいセンパイ。すぐそこに』

 直後、俺たちと炎の間に割り込む影があった。

 それは小さな影だった。

 白と黒を基調としたゴスロリ風な服装。

 それを身を包む小柄な体格。

 腰まで伸びる長い黒のストレート髪。

 あと両の腕に抱えたネコのぬいぐるみ。

 ゆったりとどこからか出てきた彼女は、俺たちを一瞥した後、ゆっくりとした動きで炎と対峙する。

 対峙する、とは言っても少女と炎。

 酷く圧倒的だ。

 なので一瞬止めようかとも思ったが、やめておくことにした。

 彼女が炎に向けて、静かに袖に隠れた左腕をさしだしたからだ。

 一件意味不明な行動、更には自殺行為にも見える行為だが、なんとなく場の流れ的に察していた。

 そしてその推察は、彼女の静かで透明な声で、確信へと変わっていく。

 ――――――そっか。こいつも、―――

 

 「怠惰なる守り手より来たれ、―――トランス」

 

 ――――――"能力者"か。

 俺はふと、思った。

 ………なるほど確かに、こいつは姫だ。

 この光景を見れば、さっきから彼女が姫と呼ばれる理由をなんとなく察することが出来る。

 それは、先程まで地を這い迫ってきた炎。

 こちらに向かってきていたその火は、彼女の前に立った瞬間に恐れをなして消えて行く。

 おそらく盾の"能力"であろう。透明な障壁らしきものが見える。

 その光景はまさに王と賤民のようで、酷く圧倒的だった。

 そして俺は理解した。

 自分をまるで王のように見せる、小さな女の子。

 容姿だけでなくこの能力を持つからこそ、彼女は姫と呼ばれているのだろう、と。

 (ま、彼女があんな容姿じゃ無けりゃ、姫じゃなくて女王とか呼ばれるんだろうけどな)

 夢も希望も無い話である。

 「くっ………、イレギュラーか!」

 向こうはどうやら相当悔しがっているご様子で、追撃は諦めたようだ。

 「じゃ、急ぐぜ"転校生"!!」

 俺たち二人は、姫を置いて『指導練』と書かれた建物の外へと出る。


 ◇◆◇◆◇


 校舎内に残された二人は、静かに牽制し合っていた。

 (さて、どうしたものか)

 副会長は思考する。

 彼女イレギュラーの能力は絶対の盾。

 炎による攻撃だろうが拳の一撃であろうが、完全に防いでくる。

 そのバリアが今、廊下を隔てている。

 もしくは、彼女自体立方体が防いでおり、見えないが見える透明な盾は、その一面にすぎないのか。

 一面だけならいいが、四方を囲んでいたり立方体だったりしたら厄介だ。

 ――――が、どちらかの判断もつかない。なら………

 副会長は右手を後ろ手に構える。

 そして一気に、前に広げる!

 「燃えろ!!」

 彼の掌から、炎の波が発生する。

 廊下を覆うほどの火は、まっすぐに目の前の少女に向かっていく。

 容赦は無い。

 (どうせこの攻撃は当たらないんだろうな………、だが!!)

 火元の人間はそれを知っている。

 が、これが本命ではない。

 「穿て、火槍ほのお!!」

 左手で作った新たな炎は、槍とも針ともとれる形状であった。

 長さは1メートル程だろうか。それが3つ、副会長の背後に現れる。

 行け、と指示すると同時、炎はそれぞれまっすぐに窓の外へ向かう。

 パリン、と割れる音がして、破片が棟外へと落ちて行く。

 が、校舎の損害は気にしない。

 破損は気にせず違反者は捕まえろ、というのが教師陣の言い分であった。

 生徒会はただ、それに従う。

 (校舎を壊してでも―――、)

 そのまま何処かへ飛んでいくと思われた火は、空中で静止する。

 そして向かう先、"能力"の対象が、3つ全て棟内へと変わる。

 そう、

 (―――違反者は捕らえる!!)

 中にいる、少女に向かって。

 炎が飛ぶ。


 初投稿で至らない所多々ありますが、これからも宜しくお願いします!!

 感想ご意見などございましたら、レビューとか私のブログに書き込むでも何でもよいので、くれるとありがたいです。

 ていうか募集します!!アドバイスとかくれると、特に感謝です!!


 作者ブログ『とある高校の文芸同好会のブログ』

 http://blogs.yahoo.co.jp/cruseidars757


 

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