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魔法学園の補欠合格者、不遇職召喚士でも【インスタント魔法】で無双し最強を目指す  作者: 椿紅颯
SS

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SS第8話『彼女たちの誇りを懸けた戦い』

※この話は作品のネタバレが含まれているため、最低でも本編第31話『起きている展開を予想しつつ急行』を先にご一読いただくことを強く推奨します。


――――――――――――――――――――


「2人で来るなんて、約束すらまともに守ることができなくなってしまったのかい?」


 それほど走ることはなく、目的人物が居る場所まで辿り着いた。


 学園の敷地内で森の中、これといって珍しい場所ではない。

 しかし、男女だ2人だけで顔を合わせるにも珍しくはないが、それは友人同士や親密な関係にある条件があってこそだ。


「逆に聞くけど、私をこんなところに呼び出して何をするつもりだったのかしら」

「おいおい、口の利き方まで忘れてしまったのかい? やれやれ、これだからじゃじゃ馬お姫様は」


 両手両肩を持ち上げて呆れる男は、侮蔑の笑みを浮かべながらため息を吐いた。


 しかしリーゼは弁明などせず、挑発に乗ることもなく胸を張り目線を外さない。


「私は決めたの。あなたを婚約者にしないって」

「ふんっ。どこぞの聖女に入れ知恵されたのか知らんが、そう易々と言葉に出せるほど簡単な話ではないだろ」

「お父様とお母様には、ちゃんと私から話をするわ」

「決定権などない飾りの道具が――まさか、あの(・・)どこの馬の骨かもわからないボロ雑巾に好意でも抱いているのか?」

「――残念ね」


 挑発を受け、アキトを貶されたとて2人は表情一つ変えず微動だにしない。

 いや、彼女たちは互いに顔を合わせて微笑む。


「あまりにも安い挑発に軽い言葉で笑えるわ」

「そうね。わたしの主様がボロ雑巾? ふふっ、無知も極まると滑稽ね」

「虚勢を張っていられるのも今だけだ」


 腰に携えた剣を抜き、構える彼に2人も準備を始める。


「【紅蓮の朱剣】」

「【蒼穹の盾剣(しゅんけん)】」

「はぁ……? 正々堂々――」

「剣なんて持っているわけがないでしょ」

「わたしたちは魔法士。正々堂々と振舞うなら、こちらが道理というものでしょうに」


 紅の剣と蒼の盾と剣を発現させた2人を前に、一方的に痛めつける予定だった彼は歯を食いしばってむき出しにする。

 今すぐに沸騰するのでは、と顔を真っ赤にして欠陥を浮き出している表情は、2人にとってやる気の燃料となった。


「アリシア。私、あんな人と婚約するの絶対に無理だわ」

「見るに堪えない醜悪が顔に滲み出ているものね」

「てめえらぁああああああああああ! 俺様を侮辱しやがってぇええええええええええ!」


 怒りに支配された男は情けない声を上げつつ、圧倒的な剣技を有しているとは思えないほど剣をブンブン振り回しながら突進してきた。

 獣のソレと変わらない突進を対処は難しいものではなく、アリシアが1歩前に出て盾を前に突き出して払う。

 普通であれば、足を止めたり横に回避するだけでいいが……。


「ぐはっ」


 剣を弾き飛ばされた挙句、盾を顔面に強打して仰け反り、尻を地面に叩きつける勢いで転倒してしまった。


「純粋な剣技だけなら勝てないというのに、なんと情けない」

「こ、このやろぉ! お、俺だって魔法を使ってやる!」

「はぁ……もう忘れたみたいね」

「うるさいうるさいうるさい! くらえ!」


 今度は、盛大にため息を吐いたリーゼがアリシアの前へ。

 未だ地面に腰を下ろしている状態から放たれた水の玉を、紅の剣で薙ぐ。


「私たちは『()』なら、あなたに勝てないと言っているのよ」

「ひ、ひぃ!」


 リーゼは紅の剣に炎を宿す。


「剣の痛みは沢山知っているけど、この痛みは自分じゃ確認できないからどうなるかしらね?」

「お、おい! そんなことをして許されると思っているのか?!」

「どの口が言うのよ。アキトを痛めつけ、その剣技と権力でどれだけの人を従わせてきたのか忘れたの?」


 完全に形勢逆転――というより最初から優勢の2人は、これから彼の体に全ての仕返しをするつもりでいる。

 ちなみに2人は、憎悪が顔に滲み出ている彼は地面を擦りながら後退していても、微塵も憐みの感情を抱いていない。

 徹底的に力で押し通し、謝罪させるまで続ける気迫で足を進める。


「そ、それ以上近づくんじゃない!」

「いいえ」

「来るなって言っているだろ!」

「お断りするわ」


 しかし男は、状況とは裏腹に不敵な笑みを浮かべる。


「ふはは、はははははっ!」

「リーゼ! わたしの後ろに!」


 急に体を起こしたと思えば、瞬時に魔法発現を確認したアリシアは盾を構えリーゼの盾となる。

 そして、2人を襲ったのは凄まじい威力の水魔法で、その速度も目を見張るものであった。


「リーゼ、あの人は魔法士としての技量はあれぐらいなの?」

「いいえ……」

「なぁんだぁ? まだまだ慣らす必要があるということか」

「そ、それは……!」

「ああ、わかるだろ? 【アーティファクト】だよ」


 外観は、なんの変哲もない少し大きめの腕輪。

 しかしリーゼはソレの重要性を知っている。


「【アーティファクト】? あれが?」

「ええ。あれが略奪された【アーティファクト】」

「あの半年前ぐらいの?」

「――そうよ」


 逆転の一手を講じられ、2人は固唾を呑む。

 この世界で【アーティファクト】という代物を知らない人間の方が少なく、学びの施設に通ったことがあるのなら、その始まりと危険性を知っている。


【アーティファクト】の力は、七魔聖1人分と同じである、と。


 であれば、現状で2人がとる行動は逃走の1択しかない。

 立ち向かうのであれば、未熟の身で七魔聖と事を構えることと同意であり、勝ち目が微塵も発生しない絶対的な敗北が待っているのみ。

 意志の強さなど関係なく、幸運が入り込んでくる余地すらない絶望。


「……わたし、主の名誉のためなら死ねるわよ」

「アリシア……」


 覚悟を示されたリーゼは、自身が即答できない不甲斐なさを悔いる。


「……私は――親友となら――」


 リーゼがアリシアの気迫と覚悟に応えようとしたときだった。


「――2人共、大丈夫!?」


 なんと、大きな音を立てながら地面を滑ってスレンが姿を現した。


「スレンくん!?」

「事情の説明は後! ここから離れるよ!」

「でも――」

「いいから早く!」


 主のために命を懸けようとしている騎士は指示に従わず、友のために命を懸けようとしたリーゼも足を動かさず。

 彼は状況を理解できず、口をポカンと開けたまま全ての行動を停止している状況。


「まだよ!」

「騎士の誇りに懸けて、絶対に引かない!」

「もっと痛い目を見ないとわからないようだなぁ!」


【アーティファクト】による、増幅された水魔法が放たれる。


「はぁあああああっ!」


 今度もアリシアが盾で防ぎ弾き飛ばすも、想像以上の威力に片膝を地面についてしまう。


 しかし逼迫している状況を前に、スレンは全てを無視して切り札を出す。


「アキトが来る!」

「――わかったわ」

「でもアキトは……」

「大丈夫、わたしの主様(・・・・・・)を信じなさい」

「……わかった」

「そんなことをさせるかよぉおおおおおおおおおお!」


 さらなる追撃は、今までの以上であり長居することは死を意味する。

 逃走を開始しようにも、次の攻撃をどうにかしなければいけない。


「俺を侮辱した報いだぁ!」

「――さすがに、頑張りすぎだと思うよ」

「なっ!?」


 漆黒の魔法障壁で、【アーティファクト】によって増幅されて放たれた水魔法は打ち消された。


 そんな、前代未聞のことを成し遂げられる男が無事に到着――!

ここまで読み進めていただき、本当にありがとうございます!


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