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魔法学園の補欠合格者、不遇職召喚士でも【インスタント魔法】で無双し最強を目指す  作者: 椿紅颯
第四章

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第24話『詰め寄るご令嬢、一触即発の危機』

 お昼休み、ギリギリのギリで間に合った。

 そして座学の授業を無事に終え、全てから解放されたぐらいの解放感が一気に押し寄せてくる。

 天井に腕を伸ばし、それはもう気持ち良すぎるぐらいに伸びて伸びて。


「――」


 んんー! くぅー! という声を出したいところだけど、それは我慢。

 さて、毎時間の休み時間に席へと来るアリシアの対応時間――あれ? 珍しくリーゼのところへ行ってる。

 と呑気に思っているけど、大丈夫なのだろうか。

 昔は違ったという話だったけど、今の2人は混ぜるな危険だったはず。


「――っ!」

「~~!」


 ほら、言わんこっちゃない。

 あの2人の仲裁に入れるの、自画自賛とかじゃなくて僕しか居ないでしょ。

 と、立ち上がったけど、まさかのアリシアだけ廊下に出て行ってしまった。


 とりあえず事情を聴くために、リーゼに話を聞いてみよう。


「リーゼ、どうしたの?」

「ああ……。私たちだけの秘密を話せ、と聞く耳を持たなくてな」

「でもそれって、木剣での打ち合いで話ことになってなかった?」

「それは……そうだけど、アキトの過去を本人の許可なしで話すのは違うだろう? 本人が居ても言うつもりはないが」

「まあ一理あるけど、約束を無下にされたら誰だって怒るんじゃない?」

「アキトはアリシアの味方をするね」

「いやいや、そうはならないでしょ。てか、アリシアは僕に聞けばいいのにどこに行ったの?」

「どうやら同室の――スレンだったか? の教室へ行った」


 なんで? どうして?

 さっきも言ったけど、僕の過去話なんだから、僕に直接聞いたらよくない?

 という疑問しか浮かび上がらないけど、向かってしまったのなら仕方がない。

 ここでボケってしているとスレンに迷惑が掛かってしまうから、僕も向かわないと。


「……スレンの教室、どこだか知ってる?」

「ああもちろん。案内してあげよう」

「助かる」

「いいわよ。アキトのためだったらなんだってしてあげるんだから」


 ウキウキで立ち上がったリーゼの後を追い、廊下へ出た。


 歩いている最中、僕はちゃんと気が付いている。

 そもそも、どうしてアリシアは僕の同室がスレンだということを把握していて、しかも配属されている教室を把握しているのはなぜか。

 そして、さも当たり前に僕を案内しているリーゼも、どうしてアリシアと同じ情報を持っている謎について。


 どこかへ向かっている最中、キラキラした目線と憎悪の目線を察しつつ足を進める。


「ここよ」

「案内してくれてありがとう」

「少しばかり、アリシアを怒った方がいいと思うわよ」


 既に数人が前入り口に集まっていて、アリシアが来ていることを察した。

 リーゼに催促されつつ、教室の中を覗いてみると――まさかのアリシアがスレンの机に両手を突いていた。

 全員の視線を1ヵ所に集めていることはすぐにわかる。


 さすがにこの状況を見過ごすことができないから、教室の中まで入り、アリシアの腕を掴む。


「アリシア、場所を変えよう」

「あらっ。ご主人様ったら大胆っ」

「スレンも付き合ってもらっていい?」

「うん、大丈夫だよ」


 アリシアのことは無視し、再び廊下へ。

 そのまま教室から離れて階段を下りて、踊り場まで移動した。


「アリシア、さすがにそこまでする必要はないでしょ」

「だってリーゼが約束を守らないから」

「それはそうだけど、人の過去をペラペラと喋るのは違うでしょ」

「そうやって断るから、スレンくんのところに行くしかなくなったわけえでしょ」


 と、互いの言い分がぶつかっている状況で、スレンは苦笑いしかできていない。


「もう、僕が直接アリシアに言えば解決する。それでいいでしょ」

「ええまあ。今回の件はそれで解決するわね」

「じゃあそれで決まりってことで。で、だ。僕からも聞きたいことがあるんだけど」

「何かしら?」

「というかリーゼとアリシアに質問なんだけど。そもそもの話、なんでスレンが同室だってわかってるの?」

「そ、それは……」

「ドウシテカシラネ」


 どっちも隠し事は下手だ。

 リーゼは目線を下げて誤魔化そうとしているし、アリシアに関しては目線を斜め上に向けて変な言葉遣いになっている。


「2人の身分が凄いことはスレンから教えてもらった。だから、この状況で周りが騒いでいたこともすぐにわかった。そして、そんな有名人が詰め寄ってきたら、スレンは立場上気まずくなるでしょ」

「はい……」

「……そうね。でもアキト、少しだけ勘違いしているわよ」

「何が」

「スレンくん、わたしが何度か詰め寄っても質問を拒絶し続けていたのよ。あんまり体験したことがなかったから驚いてしまったもの」

「さすがにね。友達を売るような真似はできないから」

「スレン……」


 自分より身分が上の人間に反抗して、僕のことを黙っていてくれていたなんて……。


「ありがとうスレン。やっぱり、僕はスレンと出会えてよかった」

「そんな真っすぐに言われると照れちゃうって」

「いいやありがとう! ありがとう!」


 横から鋭い目線が向けられているなんて気にしない!

 僕は今、心の底から初めての友達に感動して感謝しているんだ!


「こほんっ。それで、わたしたちは反省すればいいのかしら、それとも嫉妬すればいいのかしら」

「私はアキトが幸せになるのなら、なんだって受け入れるわよ」

「――とりあえず今は、次の授業があるから解散にしよう。全員、放課後の時間は空いてる?」

「ボクは大丈夫」

「私も大丈夫よ」

「主に合わせることが騎士の使命よ」

「それじゃあ――いいや、ちょっと待って」


 危ない、流れに任せていたら忘れるところだった。


「2人は、どうやって情報を手に入れたの」

「私は白状するわ。男子が話していたのを偶然聞いちゃったの。だから悪意はないし、現に悪用をしていないわよ」

「まあ、連日のあれこれがあったり、食堂で見ている人は居るから自然ではあるか」

「信じてくれたありがとう」

「わたしは、男子生徒数人へお淑やかに(・・・・・)お願いしただけよ」

「なるほど、確かにアリシアが笑顔でお願いしたら男子は簡単に情報を吐くか。それで、本当は?」

「家の紋章が刻まれているネックレスを、わざと見えるように制服から出してお願いしたわ」

「……それ、お願いじゃなくて脅しっていうんだぞ」

「あらそうなの?」


 これだよこれ、アリシアの悪いところ。

 恐ろしいことだとはわからずやってしまった、みたいな驚きを表情と手で口を隠して演出しているけど、絶対に確信を持ってやっている。

 全てが計算されていて、自分が男子にどう見られているかすら計算に入れて行動し――いや違う、自分に気がありそうな人を操っているんだ。


 罪の意識がないように装って、本当に恐ろしいことをする。


「ちなみにアキト。抜け落ちているようだけど、アリシアは何回もスレンくんのところへ行ってるからね」

「リーゼ、なぜそれを()言うのかしら。話が終わる流れだったでしょ」

「アキト、私は先に戻るわね」

「待ちなさいリーゼ!」


 凄い勢いで階段を上っていく2人、取り残された僕とスレン。


「スレン。いろいろと迷惑を掛けてごめん」

「いいよ。あの2人と関係ができたって聞いたときから、薄っすらと覚悟はしていたから」

「本当にごめん」

「大丈夫大丈夫」

「言いそびれたけど、今日の放課後は変に改変されないためにも全員で話そうと思ったんだ」

「それでいいと思うよ。でも……ボクの心臓が絶えてくれることを願うばかりだけど。さっきだって、全速力で走ったみたいにバクバクだったから」


 そうだよな。

 これから先、リーゼはわからないけどアリシアはスレンに何かしそうで怖い。

 ずっと一緒に居ると錯覚していたけど、言われてみれば今日は朝以外ずっとアリシアの姿を見ていなかった。

 お昼休みに関しては学園長のところへ行っていたし、まさか僕が目を光らせておかないとなんて……。


 でも逆にいい機会なのかもしれない。

 これから関りが増えそうな予感はしているし、スレンも2人に慣れてもらえたら今後が安心だ。


「じゃあ戻ろうか」

「だね」

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