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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日みた夢が怖かったので

作者: 飴ちゃん

あまりにも意味深すぎて夜中に起きちゃいました。私立滅裂ですが、起きた衝撃で描いたものなので許してください。

20〇〇-⚪︎-⚪︎ 【〇〇県〇〇市にて殺人事件が発生しました。男は家にいた女性を刺し、庭先で暴れていたところを不審に思われた近隣住民によって通報されたとのことです。現代、殺害された女性の妹との連絡が取れていないため――――】


 真夏の雲ひとつない空の下、古びたテレビから似合わないニュースが響いていた。


「人間には0か1しかないんだぁぁ!!ぶぉぉぉ!!」

 

 家に変な人が来た。私はいつも通り家族と過ごしていたが、買い物をしようと家を出ようとした時に奇声を上げる人間と目があった。男は狂気的な声を出し、何かを振り回しているのを確認した。私は県の警察学校に通っているが、男の狂気的な姿に怯えるしかなかった。今家にいるのは妹が1人。彼女は電話をかけ部屋から出てくるなと叫んだ。逆上した男は近づいてくる。とりあえず2階に出ようと廊下を走ろうとしたが、中途半端に履きかけた靴により激しく転倒。男に追いつかれ「ぶしゅぅぅぅ!!!」と奇声を上げられながら足のふくらはぎあたりを攻撃された。


「……あれ?」

「ぶしゅぅぅぅぅ!!」


 男はまだ何かを叫びながらふくらはぎに何かを押し付けていた。振り向くと武器の正体が、ダンボールでできたハリボテということに気づいた。私は一瞬で冷静になりダンボールを回収、叫ぶ男に声をかけた。


「たかひろくん?」


 クミは奇声を上げる男の名前を告げた。

 たかひろくんはクミとの幼馴染だった。高校を卒業後に警察学校に入学した私とは違い、地元で有名な専門学校に入学したと聞いていたが……


「ぶおぉぉぉ!!」


 目の前の姿に幼馴染の面影はかなり少なかった。痩せ細った体にボロボロのTシャツ、髪はギトギトで異臭もしてきた。まだ何か言っている幼馴染に対し、


「くさいから風呂入って」


 と告げた。狂っていた思考の中私からの言葉にみるみる冷静になっていく。そして「あえ?」奇声が止まった。私はため息をつき「私の家のお風呂使わせてあげる」そういうとクミはたかひろを風呂場に連行し服のままシャワーのお湯を流し鍵をかけた。


 15分後、お風呂から出たたかひろはバスタオルに身を包んだ状態で出てきた。


「……ごめん。おかしくなってた」

「ふうん」

「たまにあるんだ。自分の中の思考に囚われて体が制御できなくなる日が」

「風呂入ったら冷静になれたじゃん」

「そ、そうだね。でも僕の家のお風呂使えないからな」


 たかひろの言葉に首を傾げる。彼の家はご両親もいたはずじゃ?


「……僕の両親は去年の年末に死んだよ。2人とも立て続けに体を悪くしてね」

「そ、そうなんだ」

「学校もうまくいかなくなって、病院で精神病を診断されたんだ。たまに思考が操られて制御ができなくなるから」


 たかひろの顔は明らかにおかしかった。目のクマは濃く広く、何日も食べていないのか頬はげっそり痩せていた。


「そう。じゃあ私の家で過ごす?」

「え?」

「学校でおかしい人は散々みてるからさ。むしろあんたを家に置いていく方がもっとおかしくなりそう」

 「…………」




 こうしてたかひろは私の家にいることになった。


 たかひろは解離性人格同一症と診断されている。普段の人格とはまた別の人格が存在し、コントロールがたまに効かなくなるらしい。幼少期のトラウマが原因らしいが、彼の両親は物静かで何も言わない人だったのに実は家族中はよくなかったのだろうか。


 たかひろの性格は、子供のように暴れるとき、冷静なとき、ぼろぼろとただ泣いている時がある。その人格が現れるときは何か幼少期の思い出をフラッシュバックさせた瞬間に起こるらしい。でも少しずつ私の家での生活を続けていくうちに良くなっていった。冷静なあの人格が保たれている時間が増えていった。


 最初の頃は私が決めたことに家族は文句を言った。だけどたかひろのあまりの豹変振りに承諾するしかなかったらしい。警察学校に行っている間、家族は誠心誠意関わってあげたらしい。


 私は警察学校を無事に卒業し、地元で就職。たかひろは学校を退学し地元でパートのダンボール詰みを始めた。実家に住み普通に過ごす。


 夏休みをもらったと言うことで姉が私の家に帰省した。その祝いでご飯を食べにいくらしい。私は3人姉妹の真ん中なので、弟のような人が欲しかった。だから私はひとりぼっちになるたかひろに気を遣ってその日は家にいることにした。仕事が終わり帰ってきたたかひろを夜の晩酌に誘う。


 たかひろの側にいること好きだわ。なんか気を遣わなくていいって言うか。きっとそれはたかひろも思ってくれてるよね。


 


 だからつい、話しちゃったんだ。

 


「私、やっぱりあんたのこと好きだわ」



 顔が酒とは違う何かで赤くなる。やばい、言っちゃった。でもたかひろを救ったのは私なんだしきっと――――


 

 

「え、無理」




 断られ、た?


 


 あれ、この姿どこかで、


『いやだよ!』


 笑顔が可愛い男の子が私に言う。子供の頃の私もこうして彼に振られた。


 思い出した。

 私は振られたショックでたかひろをいじめていた。



 たかひろのことを好きだと思っていた自分は振られたことで悲しくなった。優位に立てなくなった私は彼に冷たい態度を取る。クラスのリーダー的な存在の私が彼を拒否することですぐに広まりいじめにつながった。私はその状態に高揚感を得て、彼のいじめがエスカレートするように仕向けた。


「……え」

「僕、さえちゃんと付き合っているんだ」


 出されたのは妹の名前だった。私が警察学校で実家にいない時に付き合ったらしい。



 はあ?




 私は逃げるように自分の部屋に駆け出した。意味がわからなかった。自分が好きな相手が妹が好き?付き合っている?私がいないと精神を保つことすらできないのに?あれ?あれれ?でも私が実家いない時に徐々に回復してきたって言った?あれ??



 自分の中がめちゃくちゃになる感覚がした。



 そして何より、追いかけてこないことが事実の証明だった。



「もしもし?私、クミだけど――」



 ……たかひろは嫉妬に、憎悪に駆られた私が何をしでかすか知らないらしい。



 数日後、さえは病院で帰らぬ人になった。妹は実家に帰宅途中、車で誘拐され精神的身体的にダメージを与えられた。犯人は捕まらなかった。


 さえの保険金は家族に引き渡され当然たかひろはもらえなかった。残念だね。葬式で媚びなく姿は面白かった。



 ……でもたらない。



 私はたかひろを徹底的に追い詰めた。私の名前を使えば地元の男たちはくる。彼をボコボコにし、警察に来る被害届を隠れて握りつぶした。精神疾患持ちだって言えば簡単だ。

 金銭的余裕も無くした。ただえさえ安月給なのに、迷惑料として以前よりも倍額徴収した。あいつには帰る場所がないもんね。



 でも全然足らない。

 だから私は彼に徹底的な一撃を加えた。



 私は実家を出て遠くに引っ越しをした。たかひろの安心した顔はうざかったが、電話越しに全てを話してやった。


 子供のトラウマの原因も、妹を殺したのも、最近起きた事件も、警察が話しを聞いてくれないのも、


 全て私のせいだよって!!!



 話した後はもう愉快でたまらなかった。高揚感がたまらない。たかひろは無言で話を聞いていたけど、次から次へと言いたいことが増えてくる。


 でも最後に言われた言葉で冷や水をかけられたように冷静になった。

 

 ……私はすっかり忘れていた。たかひろは自分の理性が抑えられなくなる時が来ることがあるのを。




「お前、許さないからな」



 


 この日、家にいたのは姉だけだった。


 【現在も被害者女性の妹とは連絡が取れておらず警察は捜査を進めているとのことです】

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