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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

優しい殺し屋

作者: 楚羅


優しい殺し屋をよろしくお願いします。


【ザアァァァァ!】


激しく降る雨の中。僕は立っている。


此処は公園。


今は真夜中。


周りは・・・・。


血の海。5、6人の死体が転がっている。死体はどれも、体に刃物の切り傷、刺し傷がたくさんある。


そして


僕の右手にはサバイバルナイフが握られている。


「依頼完了。」


感情の無い声で呟く。


依頼。それは、この公園で1週間前にホームレスの一人が焼死体で発見された。犯人はこいつら。こいつらを殺してほしいと匿名で依頼がきた。それが依頼。


そう。僕は・・・・・・・


・・・・。殺し屋。




「にゃぁ・・・。」


子猫が近づいて来る。


「・・・・。君も、一人なのか。」


子猫に問うように呟く。


「みぃ・・・・。」


『うん』と返事をした気がした。


「そうか・・・。」


子猫の頭を撫でてやる。子猫は気持ちよさうに目を細める。


「・・・・。一緒に来るか?」


「みゃー。」


これは雨の降る日の事。小さな出会い。


そして、優しい殺し屋の物語。




―――――――


「おーい。クロー。ご飯だぞー。」


「みゃー!」


あの出会いから数日がたった。僕は子猫に『クロ』と名付けた。

クロはかなり衰弱していたが、今は元気になった。


「クロ。美味しいか?」


「みぃ?みゃー!」


とても美味しそうにご飯を食べている。


「さて、僕はそろそろ行きますか。」


今は朝の8:30。今日は月曜日。学校がある。


あ、自己紹介しましょう。


まず。僕の名前は『鷹籐総弍』(たかとうそうじ)です。

『私立清馬学園高等部』の二年生。

容姿は・・・・・。自分で言うのもあれですが、普通だと思います。


「みゃー。」


(そんなことないニャ!そーじはカッコイイニャ。イケメンニャ。)


ん?今誰かの声が聞こえたような。


クロを見ると此方をじーッ。と見てくる。


【なでなで】


とりあえず。クロを撫でてやる。


「みゃ〜ん♪」


うん。嬉しそう。


「じゃあ、行くねクロ。またお昼に。」


「みゃ〜。」


(いってらっしゃーい♪)


ああ。幻聴が・・・・。






―――――――


【ガラガラ】


「おお、総弍。はよーす。」


「おはよう。椿、魅月」


「おは、総。」


僕に挨拶してきたのは『朝倉椿』(あさくらつばき)といい、挨拶を返してきたのは『海堂魅月』(かいどうみつき)という。


椿は成績優秀、運動神経抜群、性格良しと何でも有りの人。

凄くもてる。


次に魅月


椿と同じく成績優秀で運動神経も良い。容姿もとても可愛い。

常に無表情だけどそれがいいと、一部の男子に絶大な支持を得ている。


「何ぶつぶつ言ってるんだ?病気か?」


「独り言だから気にしないで。」


そう言って僕は席に座った。

僕の席は窓側の一番後ろの席で、前が椿。隣が魅月となっている。

「知ってるか?近くの公園で殺人事件があったの」


ああ、あれか。


「え!?そうなの?」


嘘だ。もちろん知ってる。殺ったの僕だし。


「しかも何人も殺されたらしいんだよ。」


クズ共をね。


「私も知ってる。それに、その公園で焼死体が見つかったじゃないか。」


「怖いな〜。」


一生懸命生きてる人を笑いながら殺したんだ。当然の報いだと思うんだけどね。


【ガラガラ】


「おーい。おまえらー。席着けー。」


担任が来て皆席に着く。


「さて、まずは先生の『おはようNiceデイ』からだ。はじまるぞ〜。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







―――――――


「にゃー。」


(ただいま昼食中)


「今何か言った?椿。」


「いいや?何も。」


「気のせいか。」


今、午前中の授業が終わり昼食の真っ最中。

え?何で猫の鳴き声がするかって?


それは、クロがいるからですよ。僕の膝の上に。


クロは僕たちの昼食を貪りにくるんですよ。


「にゃー!」


(フハハハ。さぁ、このクロ様に食事を献上するがよい!愚民共!!)


「黙れ。クソネコ。」


「にゃー!!!」


(なんだとぉー!!!)


なんだろうこの状況。


なんか。椿がクロに罵声を浴びせているし、クロもにゃーにゃー、にゃーにゃー、煩いし。


「食事くらい静かに食べれないのかなぁ・・・。」


「あの二人は犬猿の中だな。」


魅月・・・・。クロは人ではないよ。


「コノヤロー!」


「にゃろー!」


あ、取っ組み合いになった。


「さて、そろそろ止めるか。」


魅月が立ち上がった。


【ヴヴヴヴヴッ】


携帯が振るえる。


「はい。総弍です。」


(―――――――。)


「はい。」


(――――――?)


「はい。大丈夫です。」


(――――――。)


「分かりました。今日中に連絡します。」


(―――――――。)


「はい。では。」


【パタン】


彼等は僕が殺し屋だとは知らない。僕の正体を知ったとき。あの二人はどんな反応をするんだろうか。


そんなことを思っていると。二人の取っ組み合いは魅月の鉄拳制裁で強制終了していた。


その光景を見ていて自然と口元が緩んでいた。




余談だが椿は魅月にボコボコにされて保健室に行った。


理由は魅月が猫派だからによる。




――――――――


【ザクッ・・・。】


「た、助け・・・・。」


【グリュ・・。】


「ぎゃ・・・・。」


【ブシュァァァ!】


「あ、あ・ぐ・・・。」


【ドサッ・・・・。】


「あと・・・。一人。」


「な、何なんだ!お前はッ!!俺達が何かしたのか!?」


「・・・・・。」


「く、クソがぁ!!」


【カチャ】


【ドガン!】【ドガッ!】【ドガッ!】


【ガシッ】


近くに死んでいる男を掴み盾にする。


【バスッ!】【バスッバス!】


銃弾が死体にあたる。


そして、その死体を男に投げ飛ばす。


「ぐッ・・・・!」


【ダッ!】


【ドスッ・・・。】


男に一気に詰めより心臓にナイフを突き刺す。


「ぐ・・・あぁぁ・・・・。」


「何故、俺達にこんな事をする。そう言ったな。」


「はぁ・・・はぁ・・ぐ・・・?」


「簡単だよ。」


「はぁ・・はぁ・・・。」


「罪には・・・・、罰だ。」


【グリュッ】


ナイフを回転させ・・・・。


【ブシュッ!】


切り裂く。


【ドサッ・・・・。】


男は声もなく倒れた。


【プルルルルルッ】


(―――――。)


「もしもし。―――さんですか?」


(―――――。――――?)


「はい。依頼は完了しました。」


(―――――――。)


「はい。では、失礼します。」


【ピッ・・・・。】


【パタン】


「さて、君は誰かな?」


「・・・・・・・。」


「僕は依頼意外で人を殺しはしないけど、この事を口外するなら君も殺さなければならないんだ。」


「・・・・・・・。」


「もう一度聞く。・・・・君は?」


「こ・・・・し・・。」


「?」


「こ・・・して。」


小声で何かを言ってる・・・・・。

まぁ、大体予想は付くけど。


「殺して・・・・。」


やっぱり。


「・・・・。何でかな?」


「生きてても、意味が、ない。」


「・・・・・・。」


この子は・・・・。


「そうか。こいつらに殺されたのか・・・・。」


「・・・・。そう。」


そして、彼女は口を開いた。


「私は両親と幸せに暮らしてた。でも、父が事業に失敗してこいつらに借金した。

そして、利子だとか言い訳を付けてこいつらは多額の返済を迫ってきた。当然払えるわけがない。無理だと、もう少し待ってくれと懇願した。

でも、こいつらは待ってくれなかった。それどころか家まで乗り込んできた。

そして、両親を殺して臓器を売り、私を売り飛ばして金にしようとした。」


「で、売られそうになったところを僕が来たと・・・・。」


【コクッ・・・。】


「なるほどね。」


「もう、私には何も残ってない。売られるくらいなら死んだ方がまし。貴方になら殺されても良い。」


「・・・・・・。」


「だから、お願い。貴方は殺し屋なんでしょ?」


彼女は懇願する。彼女の目からは生気が消え失せている。


「・・・・・・。」


「お願い・・・・。殺して。」


彼女をどうするか。その結論はもう出ていた。


「ねぇ。」


「?」


「本当に君は死にたいの?」


「え?」


「だから、君は本当に死にたいのか。て聞いてるんだけど。」


「・・・・・。」


彼女は黙る。


「君があいつらの様になりたいと言うなら殺してやる。」


「・・・・・。」


「もう一度聞く。」


【ビクッ!】


「!!!!??」


言葉と同時に殺気を出した。

それはもう人を殺せるくらい。


「・・・。死ぬか?」


【ゾクッ・・・。】


「ヒッ・・・・・。」


口調を変える。


無機質で冷酷な者のように。


彼女は小さな悲鳴を漏らす。目は大きく見開き、うっすら涙が見える。


彼女は僕の周りで死んでいる男達の死体を見る。


死体はどれも切り裂かれ、目を見開いて死んでいる。酷いやつは臓器が出ているのもある。


僕は黙って彼女を見る。


「い・・・だ・・。」


「・・・・・・・。」


「・・・や・・・。」


段々声が大きくなる。


「い・・・・やだ・・・。」


やれやれ。


「嫌だ・・・・。死にたくない。」


やっとか。


「死にたくない!・・・・。死にたくない!!!!」


うんうん。


「まだ・・・・。死にたく、ない・・・・。」


・・・・・。


「う、うう・・・・。うわあぁぁぁぁん!!!」


泣いちゃった・・・。


「よしよーし。大丈夫、大丈夫。」


出来るだけ優しく抱き締めてやる。


「うう、グスッ・・・・。」


落ち着いてきたようだ。


「君の名前は?」


「司。『枢木司』(くるるぎつかさ)・・・・。」


「司ね。僕は総弍。鷹籐総弍。よろしく。」


【ニコッ】


マックの従業員の様な営業スマイル。


「・・・///////」


一発で泣き止んだ。効果は抜群だ。でも、顔が赤い。大丈夫か?


「で、でも・・・。家がない・・・//////」


まだ赤いな。


う〜ん。家ねぇ。


「ならさぁ。僕の家に来る?」


「え・・・?」


「たから。僕の家に来るかって。」


「いいの・・・?」


「此処で会ったのも何かの縁だし、それにほっとけないしね。」


「お兄さんはホントに殺し屋なの?」


「よく聞かれるよ。」


ははは、と苦笑い。


「で、どうする?」


「うん。これから・・・・。よろしくお願いします。優しい殺し屋さん♪」


「うん。よろしく。」


今日も外で雨が降っている。


これも、雨の日の出会い。


そして、これは。






優しい殺し屋の物語。






―――――――



「クロぉー。司ぁー。ご飯だよ〜。」


「はーい♪」


「みゃー♪」


あれから数日が経ち、司は僕の家に来た。まぁ、僕が来いと言ったから来たんだけど。


「早く食べよう!お兄ちゃん。」


「みゃー!!!」


(クロはお腹ぺこぺこにゃ!!!)


「わかった、わかった。」


「せーのッ」


「「「いただきたーすッ!!!」」」


さて、今日も頑張りますか。


て、誰だ!!何か一人多かったぞ!?




〜つづく〜



この作品はこれからも短編として投稿します。


是非とも、お読みいただきたいです。


次回もよろしくお願いします。

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