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033 ロベスピエール作戦③

 アリエルたちが向かっているのは『謁見の()』である。

 王城の中層に存在し、普段は多くの貴族家当主たちが(つど)う場所でもある。

 上層にある王族の生活スペースへ向かうには、そこを通らなければならないのだ。なお、王太子の元婚約者であったアリエルは上層に存在する王族専用の応接室を使ったことがある。そのため、その場所への道筋も把握していたのである。


 アリエルと護衛のラルフを先頭に、多くの民衆(革命軍)が『謁見の()』を目指して歩いている。さながらイスラエルの民を率いるモーゼのごとく…。

 そしてついに大きな扉の前へと到達した。

 ここがとりあえずの目的地である。

 民衆の中から盾を構えた者が複数進み出て、扉の前に陣取る。これは扉が開いた瞬間、矢や魔法が飛来してくるおそれがあるためだ。


 アリエルとラルフは革命軍を先に行かせるべく、扉の脇のほうへとその身を()けた。彼女は革命の指導者でもないし、わざわざ危険にその身をさらす必要はないからである(さらに言えば、大切な道案内人でもある)。

 扉が開かれ、革命軍が部屋の中へと雪崩(なだ)れ込んでいく。

 …が、そこには近衛騎士団が待ち構えていた。ここが最終防衛ラインということだろう。

 ちなみに、Sランクパーティー『巨大魚(バハムート)』のメンバー四人はこの場にはいなかった。おそらく上層で王族を直接警護しているのに違いない。


糞雑魚(くそざこ)平民どもがっ!貴様らは全員死刑である。我が剣の(さび)としてくれようぞ」

 一際(ひときわ)大きな体格で(きら)びやかな(よそお)いの騎士が口上を発した。近衛騎士団長だろうか?

 革命軍と近衛騎士団との間の距離は約5m、発言した男は一歩前に出ているため、もう少し近い。つまり、アリエルの能力の及ぶ範囲である。

 盾を構えて最前線にいる男のすぐ後ろに陣取ったアリエルは、発言した騎士の脳内(クモ膜下)に空気を生成した。

 すぐに床の上で転げ回って苦しみ始める(推定)近衛騎士団長。

 彼のすぐ後ろにいた騎士たちに動揺が走る。それはそうだろう。対峙している騎士たちの中では最も強そうな男が、いきなり戦闘力を喪失したのだ。


 革命の指導者的立場にいる男性が発言した。

「見たか!これこそが神の怒りである。王家に(くみ)する者には容赦なく神の鉄槌(てっつい)(くだ)されるであろう。剣を捨てて投降せよ。我が軍門に下るのであれば殺しはしない」

 これが第一から第五の騎士団であれば降伏することはなかったかもしれない。しかし、近衛騎士団には貴族の令息が多く在籍しており、剣の技量も総合的な戦闘力も低いのだ。そう、彼らは見栄(みば)えを重視している騎士団なのである(イケメン率が高い)。

 現在、床の上でのたうち回っている騎士にしても(外見だけは強そうだが)見掛け倒しなのかもしれない。


 一人の騎士が剣を床に置き、両手を上げた。さらにそれを見て降伏する者たちが続々と現れる。連鎖反応だ。

 こうして『謁見の()』は易々(やすやす)と突破されたのであった。

 余談だが、降伏した騎士たちは一人一人尋問され、平民ならば牢獄行き、貴族子息だった場合は(なぶ)り殺しとなった。『殺さない』という約束など、そもそも守る気は無かったのである。


 …


 アリエルとラルフほか革命軍の精鋭部隊は上層へと突入していた。

 王族がどこに隠れているのか分からないのが問題だ。おそらくは最上階かつ最奥の居住スペースだとは思うが、途中の小部屋に隠れている可能性も捨てきれない。

 そのため、数多(あまた)ある部屋を一つ一つ制圧(クリア)していくしかないだろう。

 ただ、ここで時間をかけてしまうと、その間に牢獄を制圧した騎士たち(第二から第五騎士団)が王城へ舞い戻ってくるかもしれない。一応、革命軍全員が王城へ入ったあと、水堀を渡るための跳ね橋は引き上げている。容易に王城への突入はできないはずだが、それでも王族の捕縛に時間をかけることはできない(王族を人質にすることで、帰還した騎士団の降伏を促す予定だ)。


「ふぅ~。エル坊、緊張するぜ。Sランクの冒険者が王家の味方に付いているってのはまじでヤバいよな。あいつらって一人で100人分くらいの戦闘力を持ってるらしいぜ」

「弓矢や魔法なんかの遠隔攻撃以外だったら、おいらの敵じゃないよ。てか、ラルフおじさんって遠隔攻撃されたときのための盾なんだからね。まじで頼むよ」

「まぁ、死なねぇように頑張るさ。それにしてもエル坊って元々は貴族じゃねぇのか?王城の構造を知ってることもそうだが、立ち居振る舞いなんかがそれっぽいんだが…」

 後半部分は小声で、アリエルだけに聞こえるように言ったラルフだった。自然と(にじ)み出る高貴さは隠せないのかもしれない。


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