表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の花嫁ー運命の時ー  作者: 和路(わんじ)
7/19

神の花嫁ー運命の時ー

時間がこのまま止まれば良いのに、永遠にこのままでずっと一緒に

居られれば良いのにと、美巫は生まれて初めてそう思った。

そして、その願いは今は、叶えられない事も心で感じていた。

その美巫の不安な気持ちを感じ取り、華夜月の尊は自分の気持ちを

吐露した。

「美巫、本当にありがとう。そなたが強く想ってくれたから奇跡が

起こり、こうして新しい名と共に生き返る事が出来た・・・」

「天の意志の声が届き、転生を命じられた時、夢を見ているのかと

最初は思った。何しろ、ツイン・レイとして長い時を見守って来て

何度もそなたの転生に立ち会って来て、こんな日が来るとは、全く

想像すらしていなかったのだから」

「ツイン・レイとしては、制約があり他の神々や守護の存在の様に

あからさまに、直接力を使ったり幸を送る事などは出来ず、何度も

ツイン・レイで無ければと思ったよ」

「そうすれば、苦しみ、悲しみ、辛い思いをしているそなたを即刻

神としての力で幸せにしてあげられるから・・・」

「だから、次に関与する事が出来る、私の寿命が尽きる時の為にと

幸を集めて来て、やっとその日が来て渡す事が出来た」

「しかし、いざその時が来て、私は神として生を受けて以来初めて

執着心を持ってしまった。自分の全てを捧げても構わないと思って

いたそなたを前にして、これで二度と会えなくなる、記憶も消えて

しまう、そう思うと耐え難い気持ちとなった」

「寿命はどうしようも無く、ただそなたが無意識でも私の姿を見た

事が無いのに、良く似た絵なるもので意識してくれていて私の事を

最期に理想だったと聞いて、とても嬉しくて救われた」

「だから、私からも言わせて欲しい。美巫、この世の全ての何より

一番に愛してる」

「私もこのまま美巫と、こうしてこのまま、ずっと一緒にいたいと

思っているよ。だが、そなたはまだ人として、生きている身だから

この狭間の世界でずっとはいられない」

「お互いに離れ難いが、そなたは現実の人の世に戻らないと大変な

事になってしまう・・・」

「でっでも、戻ってしまったらまた会えなくなるし、前と同じ様に

貴方の姿を見れないだけでは無くて、こうして会話も出来ないわ」

「もう、離れたく無いのに・・・」

「美巫、・・・。私も辛いのだよ・・・」

「そなた達の想いと絆は分かった。今一度の例外の奇跡を送ろう」

そう、第三者の声が響いて来た。

「華夜月の尊よ、そなたは、ツイン・レイとしての役目は外せぬが

制約自体は無くしてやろう」

「その証として、新たに縁を結びし時に、渡すはずの幸の形を変え

契約の婚約指輪として互いに交換して契りを結び、残りの幸の力を

勾玉に変えて、現実世界でもお互いが呼び合え、姿を視れて会話も

出来る様にする事を許そう」

「なんじら、互いにそれを受け入れるか?」

「勿論だ」

「勿論です」

二人同時の声が響いた。

「分かった。では叶えよう」

「これからも互いを守り、その愛を貫く事が出来れば、未来永劫に

そなた達は離れる事は無くなるであろう」

その声が終わると、華夜月の尊の身体が光り出して、その光が消失

すると、華夜月の尊の手に、指輪と勾玉が現れた。

「今の声の方は、天の意志の方?」

「ああ、その様だ・・・。天の意志の恩恵だな」

「これでずっと互いの事を今の様に感じ取れ、制約も無くなったから

美巫のそばに居て関わる事が出来る」

「だが、本当に美巫は良いのか?」

「この契約をすると言う事は、その・・・、私の花嫁として未来永劫

他の者と結ばれる事は無くなるであろう」

「永遠に私と共に在ると言う事になる。それでも良いのか・・・」

「永遠に私の想いは変わりません。華夜月の尊様のそばにいます」

「貴方が私の事を長い長い時をかけて想っていてくれた様に、今度は

私がその想いに応えてお返しをする番です。大好き、愛してます」

「美巫、私も愛してる。誰にも渡したく無い。本当に良いのだな?」

「永遠に私の想いは変わりません」

「そうか、では儀式に入るぞ」

その後、華夜月の尊の先導の元、難しい祝詞が響き渡り最後に互いの

誓いの指輪と勾玉の交換をするだけとなった。

「永遠にこの指輪と勾玉にかけて、変わる事なく互いを想い、愛する

想いは変わらない事を誓い、ここに永遠の契約を結ぶ」

「契約の証として、指輪と勾玉に込められし力を最大に発揮せよ」

「なんじ月森美巫よ、そなたは永遠にこの華夜月の尊を、未来永劫に

伴侶、夫としてそばにいる事を誓うか?」

「はい、誓います!」

「では、誓いの証としてこの指輪と勾玉をそなたに捧げる」

そう言うと、華夜月の尊はまず翡翠の勾玉を美巫の首に掛けてあげると

今度は指輪を結婚式の時の様に左手の薬指にそっとはめた。

そしてその後で今度は美巫の方から、同じ様に勾玉と指輪を華夜月の尊

にしてあげ、儀式は無事に終わった。

「美巫、これでずっと一緒にいられる。本当に嬉しいよ」

「私も、嬉しい。これからは貴方と共にそばにいられる」

「美巫、この指輪に触れて私の名を呼べば、すぐに駆けつけるし、勾玉

をしていれば、現実世界でも今の様に私も実体を保てて、今の様にして

姿を現して触れ合う事が出来る」

「じゃあ、現実世界でも今の様に会えるんですね」

「そうだよ、本当に天の意志の方のお許しのおかげだ」

「名残惜しいけれど、そろそろ美巫は戻らないといけない」

「えっもう、戻らないといけないの?」

「これ以上は危険だ。大丈夫だよ、もう私達は繋がっている」

「さあ、戻るよ・・・」

そう言うと華夜月の尊は美巫の額に優しいキスをすると、美巫は急に

睡魔に襲われた様になり、気を失った。

次に目覚めると、美巫は自分の家の中の布団の中だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ