神の花嫁ー運命の時ー
「どうして私をこの場所へ呼んだのですか?そんなに哀しそうにしながら・・・」
「我の寿命がもう少しで尽きる。その前に我が集めた幸と我の力を渡したかった」
「もしかして私にですか?」
「そうだ・・・。美巫、そなたと縁を結んでからずっと側にいて寄り添い長い長い
時の中で、ツイン・レイ(たましいのはんりょ)として見守って来た」
「しかし、ツイン・レイは制約があり、他の神々や守護の存在の様にあからさまに
手を出して助けたり、力を与えたり、普段は直接関わる事が許されず何回も何回も
どれだけツイン・レイでなければと、悔しく辛く思ったか分からない」
「ツイン・レイに許されている機会は3回だけなのだ。その3回とは、魂が転生して
産まれた時に一番最初に見つけられて幸を渡す事が出来る事で、もう一つは言わば
その逆で、魂が天寿を終えて天界へと戻る時、そして最後がツイン・レイとしての
神としての寿命が来て、離れなければいけなくなった時の3回だけなのだ」
「そしてその一番最後に言った、神の寿命が来て離れなければいけなくなった時が
来たのだ・・・」
「神の寿命が来て離れる前に、幸や力を渡せるからずっとこの日をこの時を心から
待っていた。今まで集めて来た幸を全て我の力と共に渡す事が出来るから・・・」
「ずっと愛していたよ・・・。何回も転生を見守りながら、男性の時も女性の時も
そなたのその魂と縁を結んでから、この想いは変わらない」
「転生したそなたを一番に見つけられた事も嬉しかったよ・・・。それだけが唯一
ツイン・レイで良かったと思えた事だった」
「今回、とうとう我の寿命が来てしまい、我の想いに天の意志が特別に力を貸して
下さり、そなたに接する許可とこの贈り物を渡す機会を与えてもらえたのだ」
「急な事で驚かせてすまなかった。しかしこれでもう、そなたは救われるし無理を
しなくても良くなる」
話を聞いていた美巫は、止めどもなく涙が溢れ出した。
その涙を愛おしそうに楓月の尊は自身の指先で拭ってあげると、我慢出来なくなり
美巫の事を抱きしめた。
「すまない・・・。最期だから、もう少しこうして抱きしめさせてくれ」
その言葉を聞きながら美巫は、不意に思い出した事があった。
それは小さい頃から思春期ぐらいまでの事で、漫画のキャラクターや、自身が書く
キャラクターの絵の姿が、この楓月の尊にそっくりな事でした。
それで気付いたのでした。
知らず知らずに、この楓月の尊の事を感じて分かっていたのだと言う事を・・・。
美巫は、この事を自分の想いを伝える事にした。