神の花嫁ー運命の時ー
「私は本当に救われるのかな・・・。奇跡は本当に起きてくれるのかな?」
今までの生々しく、容赦なかった現実の日々が思い出され、思わず心の声を
吐露していた。
それも仕方のないことで、それほどまでに彼女の心は疲弊していた。
どんなに真面目に頑張っても、どんなに苦しい時に祈っても、助けて欲しい
と願っても、現実なんて変わるわけもなく、結局自分で考え、悩み、行動し
何とか今と言う日々を生きているからだ。
そんな時に、この予言を受けたのだから当然、すぐに信じて喜ぶなんて事は
出来るはずもなかった。
しかし、今回はその思いを覆えす日が本当に来る事になるとは、この時には
まだ思いもしていなかった。
それから何日かたったある日、不思議な夢を見たのでした。
霧が立ち込める中、鳥居の様な所を歩いていて、その先に誰かが立っている
のが見えたのでした。
近付いて行くと、霧で顔は良く見えないが綺麗な長い銀色の髪をした男性が
いて、美巫に話しかけて来たのでした。
「美巫よ・・・。我が魂と縁を結びし者、月森美巫よ。待っていた」
「我が力の全てを、そして我が集めし幸の全てを受け取って欲しい」
「もう、時間がないのだ・・・。我はもう・・・」
「えっ?時間が無いってどうゆう事ですか?貴方は誰?」
「どうして私なのですか?」
「それは~~~だから・・・欲しい・・・」
「ごめんなさい、よく聞き取れないの。声が小さすぎて聞こえないの」
「お願い、もう一度言って欲しい」
そう言った瞬間、目が覚めた。
何故か涙が両方の頬を濡らしていた。
この切なさは何だろう?どうしてこんなにも胸が締め付けられる思いになる
のだろうかと、戸惑うばかりになった。
それに時間が無いと言っていた事も凄く気にはなったが、よくよく考えると
夢なのだし、こんなにも気にするのはおかしいし、もうやめようと思った。
そんな彼女に反して、その後同じ夢を何日も続けて見るのでした。