神の花嫁ー運命の時ー
「情報と言えば、最近変な噂を耳にしたな」
光陽神が一声を口にした。
「その情報とはどう言ったものなのだ?」
華夜月の尊が気になり、直ぐに聞き直した。
「実は最近になって、何故か人間界を含め、神界で幸や恩恵のエネルギーが
とても少なくなって、原因が分からないと騒ついている」
「知っての通り、幸や恩恵のエネルギーは、神界を通じて人々の為に放たれ
又、人間界での生じた幸や恩恵のエネルギーが神界へ届き、お互いに相互の
バランスを取りつつ、より良い方向に向かう為にコントロールされて来た」
「ところが、何故かそのエネルギーが神界で一点に集中し突如消えてしまい
皆、調べはしたが未だ分かっていない」
「ただ、神の誰かがそのエネルギーを独り占めしているからだと言う事しか
分からず、その神が誰なのかも分かっていないそうだ」
「もしそれが本当だとしたら、このままでは人間界も神界もバランスが崩れ
負のエネルギーが強まるばかりとなる」
美巫はその話しを聞いていて、やはり先の少年の主人が関わっていると確信
したが、疑問も湧いた。
そもそも、神様のいる神聖な場所に鬼がいられるのか?そして神様に変身して
神々の中でバレずにいられるものなのだろうか?と言う事だった。
これから、行方不明になった神様を探し出して、その鬼を、退治するにしても
聞かずにはいられなかった。
「聞いてもいいですか?」
「どうしたのだ?何が知りたい?」
華夜月の尊が気にして聞き返した。
「あの、疑問なんですが、神様のいる神聖な場所なのに鬼がいられるのかとか
神様に変身して、他の神々様にバレずにいられるのかとか、私自身は、神界は
聖域だから、鬼の様なものがいられる場所じゃないと思っていたので・・・」
「確かに美巫の意見は良く分かる。しかし、この鬼は何か特殊な力を持っていて
神界に、そして何より五柱の神の一人になりすましたのだろう」
「それに、五柱の神はそのエネルギーを操れる程の上位の位だから、狙ったのも
関係しているのかも知れない」
「本当にそんな力のある鬼が、神聖な神々様の世界で悪さをしていてのさばって
いるのなら、絶対に許せない!」
「皆さん、力を貸して下さい!まずは行方不明の神様を探しましょう」
美巫の想いに、皆は力強く賛同の声をあげた。
そして神様探しが始まった。




