神の花嫁ー運命の時ー
美巫は耐えがたい悲しみの感情で、目が覚めた。
「夢だった?あんなにリアルな感覚だったのに?」
ふと頬に手をやると、涙で頬は濡れていた。
そんな美巫の前に、心配そうな面持ちで華夜月の尊が姿を現した。
「美巫、大丈夫か?そなたの魂の叫びが聞こえて、慌てて飛んで来た」
「美巫、そなた、誰か私以外の神から、力を与えられたのか?」
その言葉を聞いた美巫は、やはり先程の事はただの夢では無くて本当の事だった
のだと悟った。
それと同時に夢でないと言う事は、神であった仙は自分に力の全てを注ぎ込み
それと引き換えに消える事となった事が現実で、また自分は、犠牲を払わせてしまった
のだと思い知らされた。華夜月の尊の時も、仙の時も、命と魂を捧げてくれた。
華夜月の尊の時は、お互いに恋に落ちた事もあり運良く天の意志も味方になってくれ
復活してくれたが、それも前世からの深い縁があった事も大きな要因の一つだったと
後で聞いていた。しかし、仙はたまたま神の遣いで来た神社で私に会ってしまった為に
片想いで壊れてしまわぬ様に、最後は自分の事を捧げて消える事となった。
何て自分は罪深いのだろうと、胸が詰まり華夜月の尊の姿を見てまた涙が溢れ出した。
「美巫、そなたが抱えている事を話してくれ。何があったのだ・・・」
美巫は華夜月の尊に、夢だと思っていた先の出来事を全て隠さずに話しをした。
「なる程、これで美巫の魂に私以外の神気が宿っている訳が分かったよ」
「だが美巫、その様に自分を責めてはいけない。仙は一番良い方法を取ったに過ぎない」
「彼は自分の事も愛する美巫の事も守ったのだ」
「あのままではきっと彼は壊れて嫉妬に駆られた荒神になってしまっただろう」
「だからもう、自身を責めるな・・・。美巫は悪く無いのだ」
「そなた程、美しい魂は神々が、魅了されない訳がないのだから・・・」
「だから私は美巫の事が心配なのだ」
「これは序章に過ぎない様な気がする」
「もう、私なんかの為に傷付いて欲しくないのに・・・」
「美巫・・・」
華夜月の尊は落ち込む美巫を、優しく包み込む様に抱きしめた。